Japan Trek 2019

こんにちは、Class of 2020のT.Aです。今回は2019年3月24日〜30日に行われたJapan Trekについてお話したいと思います。

Chicago Boothでは冬学期から春学期の間の一週間において、様々な国(Israel、Colombia、philippines、Japan等)で学生主導のTrekが行われており、その国出身のBooth生等が企画、引率します。Colombia Trekは300名規模(!)で一年生の多くが参加するTrek(毎日パーティーらしいですが笑)ですが、Japan Trekも毎年人気のTrekになっており、70名の定員(Booth生のパートナー含む)に対して、先着順の今年はオンラインでの発売から約2分間で売切となり、多くの方がWaitlistに登録することになりました。

準備

Japan Trekの企画はClass of 2020のうち12名の日本人学生がTrek Leaderとなって行いました。最初の打ち合わせは2018年の10月ですから約半年間をかけて企画、準備をしてきました。11月にはJapan TrekのInfo Sessionを開催し、また、開催までに具体的なコンテンツ作り(自由時間のOptional Tourや宴会の企画等)や、集金や栞の配布といったロジを代理店と協力しながら一緒に進めました。実は、Japan Trekの代理店にはBoothの卒業生が起業された訪日外国人向けの旅行代理店のMichi Travel Japan(http://www.michitravel.com/)にお手伝いを頂いております!長年BoothのJapan Trekをサポート頂いているので、大変心強かったです。

行程

行程はざっとこんな感じです。
3/24(日)奈良・大阪(Optional):東大寺、鹿寄せ、大阪城、和食店でのWelcome Dinner
3/25(月)京都:金閣寺、精進料理料亭でのLunch、芸妓体験、着物体験、伏見稲荷
3/26(火)広島:宮島、原爆ドーム、お好み焼き村Lunch
3/27(水)箱根:箱根ホテルLunch、大涌谷、旅館(宴会、カラオケ)
3/28(木)東京:築地Lunch、Optional Tour(皇居、秋葉原、マリカー体験)
3/29(金)東京:Optional tour(渋谷、浅草、新宿、中目黒等)
3/30(土)東京:Optional tour(お台場、高尾山、豊洲市場等)、自由時間、Farewell Party

以下、写真と共に少し振り返りたいと思います!

3/24(日)奈良・大阪(Optional):東大寺、鹿寄せ、大阪城、和食店でのWelcome Dinner

image9.png
image13.png

3/25(月)京都:金閣寺観光、精進料理料亭でのLunch、芸妓体験、着物体験、伏見稲荷観光

image11.png
image2.png

3/26(火)広島:宮島、原爆ドーム、お好み焼き村Lunch

image4.png
image14.png

3/27(水)箱根:箱根ホテルLunch、大涌谷観光、旅館(宴会、カラオケ)

image3.png
image7.png

3/28(木)東京:築地Lunch、Optional Tour(皇居、秋葉原、マリカー体験)

image5.png
image6.png

3/29(金)東京:Optional tour(渋谷、浅草、新宿、中目黒等)

image12.png
image10.png

3/30(土)東京:Optional tour(お台場、高尾山、豊洲市場等)、自由時間、Farewell Party

image1.png
image8.png

振り返って

このTrekは準備も含め、期間中も大変ではありましたが、本当に楽しかったですし、多くのBooth生に日本の良さ、文化を理解してもらい、日本のFanになってもらえたことが嬉しかったです。Trek Leader一同、どうやったら参加者に楽しんでもらえるか、日本の文化を理解してもらえるかと常に考えながら取り組みました。結果として、Trek中には多くの参加者から労ってもらいましたし(過去最高の旅行と表現してくれた人もいました!)、たくさんの準備をしてきたことに対して感動してくれる人たちが多く、やって本当に良かったなと思います。BoothのCultureの一つに、”Pay it forward”のCultureがありますが、Trek Leaderみんなで少しでもそのCultureを体現できたのではないかと思います(そういえば、私はBoothの面接のときにJapan Trekに貢献したいという話をしました笑)。そして何より、この経験を通じてTrek Leader同士、また参加者達と仲を深めることができたことが今後の財産になると思います!

【ロングインタビュー】Private Equity and Venture Capital Lab

Boothの数ある授業の中で最も人気のある授業の1つがPrivate Equity and Venture Capital Lab(通称PE/VC Lab)です。この授業は、 PE/VCの両セクションに分かれて、実務家教員(PE: Chris McGowan, VC: Jason Heltzer/Ira Weiss)から実務を学ぶとともに、学期中にPEまたはVCで10週間以上インターンする設計になっています

あまり知られていませんが、シカゴはアメリカにおいて、カリフォルニア、 NY、ボストンに次いで大きなPE/VC市場で、シカゴだけでもPE500社/VC200社以上が存在しています

今回はそんなPE/VC Labの魅力やインターン事情について、2019年春学期にPE/VC Labを履修している3人に話を伺いました

Aさん:PEセクション。Class of 2020

Bさん:PEセクション。Class of 2020

Cさん:VCセクション。Class of 2020


―まず、PE/VC Labの履修方法について教えてもらえますか

A: 履修を希望する学生はレジュメを事務局に送り、レジュメをもとに本プログラムに参加しているPE/VCファームとのマッチングが行われます。面接等を経て、ファームからインターンのオファーを得た学生のみが授業を履修できます。プログラムに参加しているファームは80社ほど。1つのファームで複数人のインターンを受け入れるパターンもあり、全体として履修者は130人くらいです。今年は350人強が応募したそうです

C:授業は春学期(4-6月)ですが、アプリケーションは10-11月。すぐにファームが決まって1月からインターンする人もいれば、開始が4月以降になる人もいます

A:期間中に10週間以上、週15-20時間程度インターンを実施します。ファームはシカゴに限らず、NYやサンフランシスコでインターンしている人もいます。インターンに加えて授業が週3時間(1コマ)。授業はPEセクションとVCセクションで基本的に別々ですが、10週間の授業期間のうち2回ほど、同じゲストスピーカーの話を聞くため共通の授業となります

―皆さんはなぜこの授業を受けようと思ったんですか

B:投資銀行でPEのお客様と仕事をした経験があり、PE業務の奥深さを感じるとともに、内製化が可能でFAを雇うインセンティブが低いPEファンドに対して投資銀行が付加価値を出すためにはよりファンドのビジネスを理解しなければならないと感じていました。実際にPEファンドで働くという経験は、同じM&Aを扱うにしても違うサイドから見ることができるので、非常に役立つと感じています

A:私は前職で、地方の中小企業に投資をしたことがあり、日本のプライベートセクターには情報の非対称があると感じていました。他方で、アメリカにおけるPEファームはそのプレゼンスが大きく、情報の非対称性を解消する役割が進んでいると感じたため、実際に中から経験したいと思いました

C:私はVCセクションですが、VCが何を見て事業を評価しているのかという点に興味がありました。前職で投資関連の仕事をしていましたが、アーリースタートアップをどのように見定めるのかよく分からなかったため、VCで働いてシードのスタートアップを見てみたいと思いました

―皆さん、インターンはどこで行っていますか

C:Polsky CenterInnovation FundというVCでインターンしています。プリシードのみを対象としており、まだアイデア段階のビジネスや、技術のみの企業を支援しています。基本的にfollow-onは行っていません。ファンド全体で年に最大で10プロジェクトの支援をすることとなっており、5つのチームが、10週間で投資判断を行うサイクルを2回こなします。Innovation Fundには一般のアプリケーションより前の10月頃に応募しました。面接等のプロセスはPE/VC一般とあまり変わりません。チームの編成が特徴的で、MBA、ロースクール、公共政策、PhD、Undergradの学生の5人で構成されます。MBA生からは5チーム分の計5人が選ばれます。応募者は100人程はいたと思うので、倍率は高いです。なお、Innovation Fundのメンバーに選ばれた場合には、PE/VC Labの授業を履修するかどうか選択することができます。チーム内やチーム間でのFeedbackのほか、製薬の知財権の取得の仕方、 FDA approvalの取得方法、プレゼンテーションの仕方などを教えてもらいます。他のインターンシップに比べて研修制度はしっかりしていると思います

B:私はNYのLMM Capital Partnersというファンドでインターンしています。ステージはバイアウトとグロース、インダストリーはManufacturingとBusiness serviceをテーマに幅広く対象としています。サイズとしてはLower-middle marketで、$20M-50MのEquity 投資がターゲット。私は、PE/VC Labの通常のアプリケーションでは先方から面接が設定された会社はありませんでした。そのため、アラムナイ経由や、LinkedInやPitchbook等を通じて様々なファームにコンタクトをして、最終的に、今インターンしているファンドが、PE/VC Labを知らなかったもののインターンを受け入れた経験があるということで交渉した上でオファーをもらいました。最終的に決まったのは3月くらいです。ちなみに、インターン先は授業が始まる4月の初週までには決まっている必要があります

A:私はSterling PartnersというPEファンドでインターンをしています。シカゴで30数年やっている老舗のファンドです。サイズは基本的にはmiddle capで、”first institutional capital”(他のファンドの後ではなく、最初の投資家)であることにこだわっています。業界にあまり縛りはなく、founderの自己資金を使ったグロース、インキュベーションに近い領域も対象にしています。私の場合はSterling Partners Investment Thesis Challenge (SPITC)というプログラムに応募しました。SPITCはチームとして投資アイデアを応募し、そのチーム単位でインターンを受け入れてもらう仕組みになっていて、1チーム4-5人、計5チームが受け入れられます。アプライしたのは13チーム。個人としてファームの業務を行うことはできませんが、関心ある領域に特化してインターンをすることができます。またSPITCに通った場合には、PE/VC Labを履修するか選ぶことができます。1月初がアプリケーションの締め切りで、11月くらいから準備を始めました。私のチームは私以外に中国人1人とアルゼンチン人2人がいます。後から知ったのですが、全員インターナショナル生のチームがSPITCに受かったのは史上初だったそうです

C:VCセクションでは、自分でインターン先を見つけた、または授業に関係なく元々インターンをしていた、という人たちが1/3くらいいます(アメリカ国籍に限る)

A:インターナショナル生の場合、1年目は自由にインターンができず、大学のプログラムとしてインターンする必要があるので、アメリカ人と比べると不利だと思います


―インターンではどのようなことをしていますか

B:主に2つあり、1つはディールのソーシングを捌く仕事をしています。様々な会社のInformation Memorandumが回ってくるので、それを1つ1つチェックして、最終的にその案件を追いかけるか、追いかけないか判断して10枚程度のレポートにまとめています。もう1つの仕事としては、追いかけている案件のExecutionを手伝うということで、例えば1週目にNon-Name Baseの情報を基にマーケットリサーチ、2週目に実際の対象企業の調査、3週目はFinancial Modeling、4週目は投資委員会向けの資料のまとめといった調子で実際のディールのタイムラインでヘルプを行っていました。上司との間では、電話とメールベースで成果物についてフィードバックをもらっています。週のコミットメントとしては、リモートゆえに仕事量の擦り合わせが難しく、結局5日間働くこともあります

A:私の場合は1-5月末がSPITCの期間ですが、ファーム側の意向を聞きながら投資対象を絞り、関連するトレードショーで興味を持ってくれる会社を数社見つけた上で、そのうち1つの会社を選び、デューディリジェンスを行いました。現在は1回目の投資委員会に通って、タームシートを作っている段階です。Sterling Partnersにも担当者はいますが、基本的に自分たちで回しています。定期的にその担当者との間や、チーム内で打合せを行っていますが、1日中拘束されるということはないです

―非常に高いコミットメントが求められる印象ですが、他の授業との両立はできていますか

A:PE/VC Labを履修する場合には、授業を3コマまでにすることが推奨(highly advised)されています。私の場合はComputer Scienceも専攻しており、計4コマ履修しています。SPITCは拘束時間が比較的少なく(10時間程度)、両立可能でした

C:私も4コマ履修しています。Innovation Fundの場合、インターンする時間は決まっていませんが、実際にはいつでもFounderから電話がかかってくるので、24時間対応しないといけないのが辛いところです。トータルでは週15-20時間くらい使っていると思います

B:授業は3コマとっています。他に履修している授業は Strategy Lab(チーム単位で実際にコンサルティングを行う授業)で、こちらもそれなりに負担はありますが、なんとか両立させています

―インターンの良かった点、また、不満に感じた点はありますか

C:Innovation Fundの場合、チームプロジェクトではありますが、 MBA生が4割ぐらいの仕事を行い、他のメンバーにビジネスについて教えながら進めていく形になります。ビジネスサイドの相談が基本的に私に集約されるのが辛いですね。夢を語られてもあまり響かない人にはオススメしないです。投資先と同じ熱さを感じられないと難しいと思います

A:自分たちがPEファームとして投資先にコンタクトして、デューディリジェンスを行い、アメリカのローカルな会社への投資を実際に検討している機会はとても貴重だと思っています

B:良かった点は、まずはアメリカで働くという経験です。英語でのコミュニケーションにより細かい点を確認せず進めた結果、後々手戻りが生じたこともあり、そういった経験も貴重だと感じました。他方で、金融業界での専門用語や常識等が、自分が日本で触れていたものと同じなので、全く違和感なく働けるなという感覚も得られました

A:同感です。アメリカの方が使えるFinancial instrumentsが多く、PE投資に対する心理的なハードルがずっと低いといった違いはありますが、裏で行っている業務内容は極めて日本と地続きと感じます。そこは自信になりました

―授業についても教えてください

C:VCセクションでは、Cap Tableを作るときにどのようにfounderの利益を確保しつつ自分の利益を最大化するか、シリーズAで上手くいかなければシリーズB,Cでどのように負けないようにするかといった実務的な内容が学べます

B:PEセクションでは、教授のChrisがとても親切で、話が非常に具体的です。授業には毎回テーマがあり、ファンドのストラクチャー、M&AにおけるSPAのターム、DDポイント、Value upプランなど、一通り学べるという点が良いです。前回はNegotiationの授業でしたが、これも良かったです。6人でチームを組み、ファンドに投資されている会社がRecapするというテーマでした

A:他にも、PE Labを履修すると、Chrisから様々な記事や役立つ情報がメールで送られてきます

B:Chrisはこれまで履修した全ての学生のレジュメを持っていて、現在履修している他の学生とはレジュメを共有したり、ホストのPEファームとパーティがあるなど学生と繋がろうとする姿勢は深く、彼は「この授業も含め、全てがネットワークだ」と言っていました

A:ゲストスピーカーも非常に良いです。例えば、この前はChrisのファンドのポートフォリオカンパニーのCEOが、Chrisと過去に揉めた時の話をしてくれました。当時の資料を見たり、その理由をChrisに聞いたりすることができ、面白かったです

―PE/VC業界に興味があるという受験生は多いです。BoothからPE/VCへの就職についてどのように見ていますか

B:シカゴエリアではPolsky Centerのプレゼンスが高く、Polskyの提供するプログラムもとても充実していると感じます。シカゴエリアのPEには、Boothが圧倒的に人を送り出していると思います

C:日本でも、PE/VC業界では多くのBoothアラムナイが活躍していますね

―最後に受験生へのアドバイスをお願いします

B:PE/VC Labはとてもユニークで、私もBoothの受験を考えたときに初めに注目した冠授業です。教授やクラスメートとの交流も含めて、授業でありながらも実務の経験を積めるというところは有意義だと思います

A:Boothは、他の学校に比べてPE/VCに関するプログラムが充実していて、とても勉強になると思います

Interviewer: K (Class of 2020)

自由度の高い授業環境: 2019 Spring Quarter

皆さん、こんにちは!Class of 2020のH.Mです。

11月2月にClass of 2020の日本人14人が、実際にどのような授業を履修しているかを投稿しました。今回は、2019年Spring Quarterの実際の履修状況をお伝えできればと思います。

以下が履修科目の一覧です。各授業の分類については前回の投稿をご確認ください。

Foundation
Functions, Management, and the Business Environment
Electives
MPCS/他学部
Aさん 33040 - Macroeconomics 34702 - Private Equity/Venture Capital Lab 42701 - Strategy Lab
Bさん 30131 - Advanced Financial Analysis and Valuation for Global Firms 34702 - Private Equity/Venture Capital Lab 31702 - Leadership Effectiveness and Development (LEAD) Lab II 40000 - Operations Management
Cさん 30131 - Advanced Financial Analysis and Valuation for Global Firms 34101 - Entrepreneurial Finance and Private Equity 36106 - Managerial Decision Modeling
Dさん 30131 - Advanced Financial Analysis and Valuation for Global Firms 34205 - Life Sciences: Innovation and Finance 36106 - Managerial Decision Modeling SSA 62912 - Global Development and Social Welfare
Eさん 33401 - Money and Banking 35200 - Corporation Finance 37000 - Marketing Strategy 40000 - Operations Management
Fさん 30116 - Accounting and Financial Analysis I 33305 - The Firm and the Non-Market Environment 35200 - Corporation Finance 37103 - Data-Driven Marketing
Gさん 30120 - Accounting, Economic, and Regulatory Issues in Complex Deals 335200 - Corporation Finance 36106 - Managerial Decision Modeling
Hさん 37000 - Marketing Strategy MPCS 53001 - Databases MPCS 56600 - Introduction to Blockchain CAPP 30255 - Advanced Machine Learning
Iさん 34113 - Impact Investing 35000 - Investments 35200 - Corporation Finance 42701 - Strategy Lab
Jさん 35200 - Corporation Finance 36106 - Managerial Decision Modeling 42701 - Strategy Lab
Kさん 35200 - Corporation Finance 40000 - Operations Management 42701 - Strategy Lab
Lさん 35200 - Corporation Finance 36106 - Managerial Decision Modeling 40000 - Operations Management 42001 - Competitive Strategy
Mさん 33305 - The Firm and the Non-Market Environment 34702 - Private Equity/Venture Capital Lab MPCS 51042 - Python Programing MPCS 53001 - Databases
Nさん 30130 - Financial Statement Analysis 34104 - New Venture Challenge 40110 - Managing Service Operations

Boothの学期も3学期目となり、それぞれが思い思いの授業を履修しているのがよく分かります。いくつか特徴的な授業について実際の履修者に聞いてみましょう。


Impact Investing

以前もレクチャー形式では存在したようですが、Lab(実践)形式としては今年から新たに始まった授業です。受講者はapplicationによって選ばれ、5-6人1組で、実際の企業や組織をクライアントとしてプロジェクトを行います。私の場合は、クライアント(大学)が近隣の貧困地域の発展を支援するため立ち上げたファンドの運用戦略を提案するプロジェクトに入っています。

チームプロジェクトは基本的に授業時間外に行い、授業はimpact investingの意義やフレームワークに関するレクチャー、ケーススタディ、ゲストスピーカー(impactファンドのCIO等)による講義で構成されています。新しい授業ということで、Robert Gertner教授がかなり心血を注いで授業をデザインしてくれているのを感じます。また、Coach/TAとして近隣の impactファンドのCIOとsocial startupのCEOから常にアドバイスをもらっています。

私自身はこれまで履修した授業の中で一番面白いと感じています。以下、オススメpointを列挙します。

  • 歴史の浅い / データの少ない分野を理論的に説明

impact investmentはまだ歴史が浅く、情報を得るのも容易ではないため、構造化されたreadingやケースにアクセスできること自体が貴重です。さらに、教授がeconomics/financeの理論をもとにわかりやすくフレームワークを解説してくれるため、未知の分野ではありますが手触り感を持って学ぶことができています。

  • 公にされない実情を赤裸々に語る

この授業ではゲストスピーカーから、「missionを貫くのか、ファンド持続のためにreturnをとるのか板挟みになる」、「優秀なPE/VC出身者を雇いたいけど、returnが低いから十分な報酬が出せない」、「大金持ちのfoundationなら好き放題投資できるのでは?と思いきや、投資方法によってはtax benefitが無くなり苦しくなる」など、impact investmentが抱える課題が正直に語られます。普段の生活では知ることができない情報なので、将来のキャリアとして考えている人には大変貴重な機会だと思います。なお、ネガティブなことばかり書きましたが、social impactの創出が上手く投資先の市場価値向上に繋がり成功しているファンドの例も聞くことができます。

  • 総合格闘技的なソリューションの提供

impact investingは、ソーシング 、デューデリ、モデリングといったPE/VC業務はもちろん、クライアントのニーズ(創出したいimpact/達成すべきreturnにかかる制約等)の把握、対象地域の抱える社会的問題の調査、インパクトの計測方法の検討、今後の組織運営や投資先サポートに関するsuggestionと行った、ファイナンス、コンサルティング、social impactの知見を総動員してのソリューション提供が求められます。非常にexcitingで知的好奇心を刺激されるプロジェクトだと思います。

  • 経験値と志の高いチームメイト

これはチーム次第かもしれませんが、基本的にはファイナンスの業務経験がprerequisiteとなっているので、チームメイトの知識と経験のレベルが高く勉強になることがとても多いです。また、私のチームにはimpact investmentの経験者もおり、将来的にもsocial impactに関わる仕事をしたいという人が多いので、単なる授業という意識ではなく、地域のために貢献しようという思いでプロジェクトに取り組んでいます。

  • 心からやりがいを感じられるプロジェクト

これもプロジェクト次第ではありますが、私たちの場合は「頭の体操」ではなく確実に立ち上がる案件なので、提案したソリューションが実現される可能性が高く非常にやりがいがあります。また、social impactの長所として基本的にはwin-winを目指すので、クライアントだけでなく投資先候補、さらには近隣の他のファンドもプロジェクトに協力的で、データが手に入りやすく分析に集中できます(これはクライアントの性質にも拠るところが多く、for-profitの場合は違うかもしれません)。

このように非常に充実した授業で、今のところ総じて参加者の満足度も高いため、来年以降も継続されるのではないかと思います。social impact / impact investingに興味のある方には是非受けて頂きたいです。


Leadership Effectiveness and Development (LEAD) Lab II

LEAD IはBoothで唯一の必修科目で、9月に入学してから一番最初に行われる授業です。最初に行われる唯一全学生が受講する科目である為、学生各個人のリーダーとしての育成に加えて「Booth Communityとしての一体感を作り出す」ことが命題となっています。一年目から自由度が高いカリキュラムだからこそ重要なBooth特有の授業となっています。このLEAD Iは、生徒を大学に迎えるという意味も含めて2年生のファシリテーター(通称”LEAD Facil”)がすべてを運営する仕組みとなっており、その準備を春学期中に行います。春の準備と秋の運営、LEAD FacilになることこそがLEAD IIなのです。

これだけを伝えられると、LEAD IIは授業というより課外活動に近いように感じられると思います。しかし、行動心理学に長けているだけあり、LEAD IIを主観するLeadership Development Office (LDO)の熱意はかなり高いです。Coachingや人材育成に興味がある方には欠かせない授業であると言えます。私は他にもManagement and Organizational Behaviourの授業を3科目受講しましたが、LEAD IIが最も幅広く且つ深い理解を必要とする授業だと感じています。

また、LEAD Facilとして受ける恩恵は様々ですが、トップ5を以下にて記します。

1. Leadership Development Coachが一人一人に付き添う

10週間の準備において、他チームメイトとの関係や接し方を観察され、マンツーマンで指導を受けます。自分では気づいていない”癖”、対人関係をより円滑に進める為のツールを個人に合わせてCoachingされます。

2. 学部生を使った実証実験の機会

Booth入学の学生にベストな経験を提供する為、学部生を使いLEADワークショップの実証実験を試みます。行動心理学の論文やワークショップを隅から隅まで学んだところで、本番はやはり違います。学部生の反応に応じて、9月のLEAD Iの調整を行います。

3. LDOオフィスの使用許可

LDOオフィスは、規模的にはアドミッションオフィスと同等のサイズ感があり、ワークスペースはもちろん、コーヒー(一日一杯)やその他アメニティが揃っています。また、過去LEAD FacilやLeadership関係の教授等と交流できる場となっています。Polsky Centreまではいかないですが、かなり親密な雰囲気なのでチーム運営の相談等は気軽にできる環境となっています。

4. アラムナイネットワークとの関係

過去のLEAD Facilはもちろんながら、LEAD Iはアラムナイの協力を必要とする部分もある為、LEAD Facilとしてかなり上のアラムナイとやり取りすることがあります。LEAD Iの暴露に繋がってしまう為、これ以上のコメントは伏せますが、実際に経営を担っているアラムナイとの会話から学ぶことは多くあります。

5. 違う学年の生徒とのネットワーク構築

LEAD Facilは週2回の授業をかけ持つことになる為、100人超の1年生と10週間対面することになります。また、LEADでは深くProfessional及びPrivateの話しをする為、LEAD Facilと1年生の絆はかなり強いものとなります。他リーダーシップポジションでも学年を超えた交流はあるものの、ここまで大人数と深い関係を築ける機会は他にないと言っても過言ではありません。

Coaching、人材育成、マネージャーとして欠かせないスキルを学べる最高の授業だと思っていますが、拘束時間は長いです。週10時間の授業時間に加えて、Leadership Orientation Retreat II (LOR II)というオフサイト研修、授業外での準備、さらに他2年生が9月を丸々休暇に充てる中、1年生と日々格闘するというスケジュールになっています。

拘束時間に対する費用対効果はどうなのか?

私個人の答えはまだ出ていないですが、歴代LEAD Facilで受講して後悔したという方はいないそうです。

皆様が9月にLEAD Iを開始するのをお待ちしております。


LEAD Off=Site研修場の下見時

LEAD Off=Site研修場の下見時

シカゴの食事情

こんにちは。Class of 2020のWです。

Boothの受験を検討されている方の中には「シカゴの食事情が心配」という方も少なくないかと思い、今回はシカゴの外食事情について書いてみました。

Booth生が住むダウンタウンには、様々なレストランが溢れていますが、まずは皆さんも気になっているであろう日本食について書きます。

ダウンタウン内にはいくつか日本食のお店がありますが、リーズナブル且つ行きやすいのは牛角でしょう。今やアメリカ全土に広がる牛角網ですが、シカゴにも複数あります。我々がよく行く店舗はダウンタウンキャンパスから徒歩5分程度のところにあり、グループワークの後に行くこともしばしば。期間限定でモツ鍋も出したりするのですが、なかなかイケます。

image1.jpg

https://www.yelp.com/biz/gyu-kaku-japanese-bbq-chicago

ラーメン屋もいくつかありますが、近いのはRamen Takeyaでしょう。鶏白湯ラーメンがウリで、他にも餃子、エビチリ、唐揚げといったサイドメニューも楽しめます。

image3.jpg

https://www.yelp.com/biz/ramen-takeya-chicago-2

この他にもUmai、Cocoroといった日本食を楽しめるレストランは複数あり、特にホームシックになることはありません。

https://www.yelp.com/biz/umai-chicago

https://www.yelp.com/biz/cocoro-japanese-chicago

次にシカゴのイタリアンについてです。

個人的にシカゴのイタリアンはアメリカNo.1だと思っています。ニューヨークのイタリアンは本場の味に近く、東京のイタリアンは日本人向けアレンジが強いという印象を受けているのですが、シカゴのイタリアンはアメリカ人向けのアレンジが効いている、他では食べられない味です。具体的には、ニンニクとオリーブオイルを強めに使う味付けで、パスタはスパゲッティもあるのですが、シカゴはローマ風が主流で、ブカティーニや小麦粉ベースのニョッキも多いです。また、イカスミを練りこんだリングイネもよく見ます。

オススメのレストランは、ダウンタウンキャンパスから徒歩3分のVolareというお店。ここのポモドーロスパゲッティとイカスミのリングイネは最高です。

image2.jpg

https://www.yelp.com/biz/volare-ristorante-italiano-chicago

他には、高級店のRPM Italianというお店がオススメで、こちらはRPM Steakというステーキハウスが経営しており、美味しいステーキと一緒にイタリアンを楽しめます。ここのブカティーニパスタは絶品で、カルボナーラは卒倒する旨さです。

image4.jpg

https://www.yelp.com/biz/rpm-italian-chicago

他にもQuartino Ristoranteという食材の味をそのまま使ったアスパラガスのリゾットが美味しいお店や、il Porcellinoという唐辛子とニンニクたっぷりのシーフードアラビアータが楽しめるお店もあり、イタリアン好きにはたまらない街です。

最後に忘れてはいけないのがステーキです。シカゴダウンタウンはステーキハウス激戦区として非常に有名で、数えきれないほどの人気店があります。特に人気なのは、上記で紹介したRPM Steak、Prime & Provision、そしてアイコニックな存在のChicago Cutです。

個人的にはPrime & ProvisionがNo.1で、フィレのブルー(表面だけを炙る焼き方でレアよりも生に近い焼き加減)は、まるで上質な中トロを食べているような旨さです。

https://www.yelp.com/biz/prime-and-provisions-chicago-4

https://www.yelp.com/biz/rpm-steak-chicago-2

https://www.yelp.com/biz/chicago-cut-steakhouse-chicago

Boothにビジットされる際には、是非イタリアンとステーキを楽しんでもらいたいです!

他にもシカゴはドーナツ、ポップコーン、チョコレートの有名店が多く、甘い物好きにとっても最高の街です。また、お洒落な隠れ家バーも多く、ナイトライフも充実しています(西麻布のバーがショボく思えてしまうような本場の本格的スピークイージー系も沢山あります!)。

Boothはそのアカデミックの質やプログラムの柔軟性など、多くの魅力が詰まっている学校ですが、一方でシカゴの街のもつ多様な食文化もBoothに通う大きなBenefitになりますので、是非ビジットの際に感じて頂けたらと思います。

Fintech at Booth

こんにちは、Booth Class of 2020のTHです。

ファイナンスとテクノロジーは多くのBoothの学生が興味を見せる二大分野であり、それらの融合であるFinTechに関連する活動は、自ずと大変な盛り上がりを見せています。私自身、FinTech ClubのCo-Chairとして、米国におけるFinTechの先進的な試みを数多く学んでいます。ここでは、BoothにおけるFinTechの取り組みの一部を、クラス内・クラス外に分けて紹介させて頂きます。

クラス内での機会

Boothの授業選択のFlexibilityを支える重要な要因として、学生や社会のニーズをいち早く取り入れる豊富な授業のラインナップがあります。例えば、FinTechの分野においては、‘The FinTech Revolution’ や’Cryptocurrency and Blockchain: Markets, Models and Opportunities’といった授業がここ数年で開講され、人気授業となっています。

また、Boothが近年力を入れているEntrepreneurship関連の授業を履修することで(EntrepreneurshipのConcentrationとして登録されている Boothの授業は、当記事執筆時点でなんと45も存在します!)、FinTechに興味がある学生とチームを組んでアイデアを試すことが可能です。例えば、私は一年生の秋学期に履修したEntrepreneurial Discovery(チームを組んで事業アイデアを練る授業)を通じて、FinTechに関するビジネスプランを構築する過程で、現地のFinTech企業のプロフェッショナルとの多くのコネクションを持つ事が出来ました(この活動を通じてインターンシップのオファーを貰った学生も居ます)。

入学してすぐの秋学期から、このような実践的な授業を通してアウトプットを試すことが出来るのは、BoothのFlexibilityの一つの真骨頂であるといえます。

クラス外での機会

金融活動が盛んなシカゴには多くのFinTech企業が存在します。Boothの学生は、Polsky Center(Boothが運営する起業家育成センター)やクラブ活動などを通して、それらとの緊密な関わりを持つことが出来ます。ここではシカゴの先進的なFinTech企業の一部を紹介させて頂きます。

BrainTree
2007年設立。Web上の決済サービスを営む会社です。米国の若者では知らない人が居ない’割り勘ツールVenmoを買収した会社として有名です。現在は決済サービス大手PayPalの一事業となっています。

Ascent
2015年設立。自然言語解析などの技術を使い、クライアントに関係のあるコンプライアンス関連の事象を自動的にアップデートするサービスを提供しています。Ascentは、近年米国で急成長している’RegTech’(Regulatory Technology)の関連企業に位置づけられます。

実は、上記の企業はどちらもBoothの卒業生によって設立されました。それだけではなく、どちらもPolsky Centerが主催するNew Venture Challengeを通してアイデアが練られ、Finalistとして勝ち上がったという大きな共通点があります(中でもAscentはPolsky Centerによって $315,000の投資を受け入れています(https://polsky.uchicago.edu/2018/03/01/uchicago-invests-in-regtech-company-founded-by-chicago-booth-alums/)

Boothの目玉イベントとして知られるNew Venture Challengeですが、その20年を超す歴史の中で、学校の一イベントという枠を超えて多くの起業家の育成に成功していることが分かります。FinTechという一分野をとっても、Boothの提供する機会の豊富さと、社会へのインパクトの大きさに驚かされます。