Career

MLB球団でのインターンについて

Booth 2年生のIです。

秋学期が始まり、日々宿題とソーシャルイベントに追われています。

夏季休暇中のMLB球団でのインターンシップについてご紹介します。MBA生のインターン先としてはユニークだと思います。MLB球団のビジネスサイドの業務に関する日本語での情報は少ないようですので、業務のイメージが湧くよう、以下つらつらと記載します。

インターンの経緯

Boothでは、夏季休暇中のインターンシップが卒業要件です。

自身のスタートアップでの活動で代替するなど、例外もありますが、基本的には全員が参加します。

従って、社費生の私も、インターン先を見つける必要がありました。
折角の機会、憧れの米国スポーツ業界で働いてみたいなと思い受入先を探しました。Boothアラムナイや、派遣元企業のアラムナイなど、色々な縁あってMLB球団の事業戦略チームにお世話になりました。

(画像:インターン先の球場。築15年程度で比較的新しい)

インターンシップ概要

大きくは以下のような感じでした。


期間:6月から8月までの10週間。シーズン真っ最中。(インターン先球団はチーム再建中であり、インターンシップ開始時点で、既にプレーオフ進出が絶望的でしたが…)

形態:球場内にあるオフィスに毎日出勤。選手の通用口、ブルペンの脇を通って通勤していました。リモートも可能でしたが、球場での経験は代替し難いと思い、毎日出勤しました。

(画像:選手・社員用通路。歴代選手の写真が並ぶ)

組織:球団のビジネス部門(約50人)の中の事業戦略チーム(約10人)。私以外はビジネス部門全員がアメリカ人でした。 (球団組織は、大きくプレー側とビジネス側に分かれます。従って、私のチームは映画Moneyball みたいに出塁率や奪三振率を計算する所ではありません。)


因みに、戦略部門の従業員は、所謂高学歴が多かったです。Stanford MBA、Booth MBA、Columbia MBA、Prinston のComputer Sciense 修士、Harvard のApplied Math等々。出身業界も投資銀行・コンサルティングが半数以上でした。

待遇:IBDやコンサルでインターンをする同級生の10~20% 程度の給与 + 毎試合のチケット!!(パッションに導かれて選んだ環境なので…)

インターン規模:MBAインターンは私一人、同じ戦略チームにはHarvardの体育会の学部生が1名いました。営業、マーケティング、球場整備、映像作成など各部門にもそれぞれ1-2名ずつ学部のインターン生がいました。みんな年齢が私より6-7個下で、なかなか話題も合わずコミュニケーションに苦戦しました。

プロジェクトのテーマ

米野球界は、コロナ禍での観客動員数減少に直面しています。加えて若年層の間での人気低迷が深刻であり、サッカーやバスケにシェアを奪われています。合わせて、各所のデジタル化が進んでいて、例えばチケットレス・キャッシュレスは日本のプロ野球より進んでいます。

その中で、「いかに新旧のサービスを通じて観客の満足度を上げ、沢山球場に来てもらうか」を事業戦略チームは検討しています。

私が期間中に従事したプロジェクトテーマは以下です。

  • シーズンチケットの購入者/額は近年のチーム成績、経済状況、コロナ禍、商品ラインアップを反映してどのように変化したのか?→次年度以降のシーズンチケットの金額・特典をどうするべきか?

  • 球場における各要素への顧客満足度は、時系列・属性別にどのような傾向があるのか?足元で特に改善すべき部分はどこか?

  • 入場者プレゼント(Tシャツやボブルヘッド人形など)は、それぞれどの程度入場者を増やしているのか? 来年以降のラインアップはどうするべきか?

  • 収益性の観点では、試合の開始時間は曜日・季節ごとに何時がベストなのか?

  • チケット購入者について、年齢・性別・アプリの利用傾向・趣味など沢山のデータが存在するが、これをクラスター分けすると、どのような典型的な購入者像が存在するのか? →営業のアプローチをどのように変えていくべきか

どのプロジェクトもデータを分析し、その解釈を試み、それに応じた今後のアクションを検討する、というものでした。

(画像:時折入場者に配られるボブルヘッド人形。この観客動員へのインパクト測定がテーマの一つ)

日々の過ごし方-業務

  • 基本的にはExcel、Rでデータを加工・分析していました。顧客ポートフォリオの可視化、アンケートの分析にはExcelを、入場者プレゼントのインパクトを測る重回帰分析や、チケット購入者のクラスター分析にはRを活用しました。
    (入学までR未経験でした。フレキシブルなBooth のカリキュラムのおかげで、1年次の全学期でRを使う授業を履修できたため、なんとか求められた分析をこなすレベルに淘到達できたと思います。)

  • 分析結果は、上司、戦略チームリーダーに日々報告しました。プロジェクトの節目では、ビジネス部門のリーダーにもプレゼンをする機会を頂きました。アメリカ人しかいない環境、Boothでのグループワークより語彙も多いし、スピードも速く、苦闘する日々でした。

  • 今後のアクションの検討では、営業部門、マーケティング部門とも活発に議論をしました。戦略部門の分析をもとに、営業部門と重点アプローチ先を議論したり、マーケティング部門と入場者プレゼントの内容を議論したりしました。小さい組織であるため、部署間の距離が近く、分析結果がすぐにアクションに反映されていくのが印象的でした

日々の過ごし方-業務外

  • ランチは、球場近辺の飲食店で調達しました。空っぽのスタンドに腰掛けて、芝の整理や、遠征に帯同しない選手の調整を眺めながら食べていました。また、金曜日のランチは戦略チーム・マーケティングチームで食べに出ていました。

  • 社内のラウンジスペースではコーヒーや紅茶が飲めますが、クオリティが低かったです。(Boothの学生ラウンジの無料コーヒーのクオリティも議論を呼んでいますが、そこよりもう3段落ちます)。よって、インターン仲間と球場周辺のカフェに息抜きしに行くのが日課でした。

(画像:球場そばの人気コーヒー店。シカゴよりかなり南の町でとにかく暑く、アイスコーヒーが不可欠でした。)

  • 勤務時間中に試合がある日は、オフィスのテレビで放送されています。(移動の多いMLBでは、平日のデーゲームが頻繁にあります)緊迫した場面では、皆作業を止めてテレビの前に集まったり、階段を駆け下りてスタンドまで観戦に行ったりしていました。

  • ナイトゲームの場合は、勤務後にそのままスタンドに行き、気が済むまで試合を見ていました。少し早く上がれば打撃練習も見ることができるため、有名選手がプレーする日は、同僚と連れ立って見に行きました。

(画像:試合前の打撃練習の見学)

印象的な出来事抜粋

  • インターン中、球団の顔ともいえる選手が電撃移籍してしまいました。トレード期限当日は、みんなで慌ててグッズショップに行き、彼のグッズを買い漁りました。移籍前の最後の試合では、スタジアムにFleetwood Mac のGo Your Own Wayが意味ありげに流されていました。

  • トレード翌日の試合では、マーケティング部門のリーダーに呼ばれ、試合前のプロモーション映像を皆で眺めました。移籍した選手全員が綺麗にカットされた映像が完成していました。直前まで誰が放出されるか分からないため、50パターンほど徹夜で作ったそうです。

(画像:有名選手の移籍前夜。対峙する選手もインターン先の元主力選手)

  • 観客動員数を予測するモデルを作ろうと、天候、マッチアップ、日時、プレゼント有無などをもとに回帰分析していたのですが、数年前のある試合で、現状の変数では説明できない規模のエラーがありました(モデルの試算より1万人以上多く来場)。ミスかと思い調べていくと、前年に移籍していったスター選手が初めて帰還する日であり、街中の人がブーイングするために集まったとのことでした。

  • 他球団のビジネス部門との交流が盛んでした、他の球場のチケットを沢山貰いましたし、オフィスも訪問させて頂きました。そこでは分析の方法や、イベントのオペレーションなど細かく質問されました。試合では“競合”ですが、ビジネスでは”同志“だそうです。「まぁ、XXX(球団名)のヤツに聞かれたら何も教えないけどな」と上司は言ってましたが。

以上、これでもかというくらい、野球にどっぷり浸かった3か月でした。

感じたこと

  • 「グローバル」 と「米国ドメスティック」の差は大きい

    前述のとおり、私以外全員アメリカ人というインターン先の環境は、4割留学生がいるBoothとは異なりました。オフィスでは、私が絡む会話だけ話の流れが遅くなりますし、普段留学生と接しない彼らは、私の拙い英語を聞くことにMBAの同級生ほど慣れていません。雑談の中での、(おそらく)幼少期のテレビ番組だったりスラングだったりも理解できず、適応に苦労しました。Boothで1年過ごし、学内でコミュニケーションのストレスを感じることも減り、「あ、私、アメリカで全然いけちゃうな!」と浮かれていたのですが、ボコボコにされました。これには特効薬がなく、地道に進んでいくしかないのだと思いますが、道のりの遠さに愕然としました。米国で今後仕事をしていくうえでは、超えていかなくてはならない壁です。もっとこのままではダメだ、頑張らなくては…と痛感しました。

  • 共通の目標で結びついた組織は素晴らしい
    私のインターン先は、チームの繁栄のため、ワールドチャンピオン奪還のため、という目標を全員が共有していました。同僚たちの多くは、高学歴で、大都市でのエリートキャリアを離れ、給料を1/2、 下手したら1/3 まで減らして転職してきた人でした。全員が、お金やその後のキャリアなど個人の利益に属した理由ではなく、野球・チームへの情熱によって集まっていました。 彼らは、部署・階級を超えて、どうやったらチームが良くなるか、業務内外でいつも話していましたし、ディスカッションをしても各人が強いこだわりを持っているのでいちいち紛糾していました。あまり「組織の空気感」みたいなものを気にしてこなかったのですが、今後30年もこういった雰囲気の中で働いていけたら良いなと思いました。

  • 野球場はやっぱり最高
    裏側に回ってみることで、いかに沢山の人が一つの試合のために働いているかを知り、何気なく見ていた試合が、人々の努力が結した作品なのだと気づきました。夏の夕方、コンコースを風が吹き抜ける中で、私の時給より高い球場の生ビールを飲みながら眺めるBaseballは最高でした。シカゴにも立派な球場が2つありますので、新シーズンが始まったら、また同級生を誘って観戦に行こうと思います。

以上、長々と失礼しました。「へー、こういうインターンもあるのだな」くらいに思って頂ければ幸いです。

米国インターン就職活動101 (Part 2)

前回の投稿につづき、米国インターン就職活動101の後編です。

2-b.オフキャンパス

概要

各社独自のニーズ・タイムラインに基づいて会社主導で行われるプロセスです。募集されるポジションの数は無数に存在しますが、プロセスの時期・スピード感・面接内容等はインダストリーは疎か、各社、各ポジションでバラバラでかなりカオスな状況です。テック就活と業界を絞っても、プロセスはバラバラで以下のような悲劇が生まれます

●       大手テック企業の面接が10月上旬(MBA留学直後!)に突如開始し準備不足で撃沈。その会社、毎年翌3月が面接時期と聞いていたのに・・・

●       志望度そこそこ高い企業から1月にオファーを獲得。オファー返答期限以降にFAANGの面接を予定していたので辞退したが、結局FAANG全滅! それならオファーをアクセプトすればよかった・・・

●       Googleに応募したが何ヶ月も連絡が来ない。落ちたと思って志望度低い会社のオファーをアクセプトしたが、3月中旬に突然Googleからインタビュー依頼が来た。もっと早くに連絡してくれ・・・

オンキャンパスリクルーティングでの説明と同様に、オフキャンパスのリクルーティングプロセスを見てみましょう。やる事は基本的に一緒です。但し、それぞれの活動の位置付け・意味合いは大きく異なります。(赤字参照)

この中でも一番特徴的なのがネットワーキングの重要性でしょう。特にテック就活では従業員からのReferral(推薦)が非常に重要でこれの有無によってインタビューインビテーションが来るか来ないかの確率が大きく変わります。そういったReferralを得る為には、Linkedinなどで独自にコネクションを構築して、自分を推薦してもらえる関係を構築する必要があります。

これは時間が読み辛いプロセスであり早期に動き出す必要があります。

次に特徴的なのがポジションへの応募方法です。基本的には各社の採用HPを確認して応募をする事になりますが、各社がいつMBAインターンポジションを募集するか(そもそも採用するか否か)が非常に不透明である一方、募集開始後はローリング方式で早くに応募した候補者から面接を進める為、とにかく他人よりも1日でも早くに応募をする必要があります。どれだけ自分のキャリアがそのポジションにフィットしていても、企業にとって納得のいく候補者が先に見つかればインタビューすらされません。

上記より、オフキャンパスリクルーティングでは各プロセスにおいていかに他人より早く動けるか?が鍵となると言っても過言ではありません。

ここで、上記プロセスを改めてタイムラインで見てみましょう。先ほどの表と異なり大分混沌としている事が見て取れます。

一部の大手に当てはまる傾向がある「代表的な」タイムラインを太線で記載していますが、実際には点線で記載される時期全体を通して各活動を行う必要があります。何故なら、我々就活生は大手2-3社だけを受けて就職活動を行う訳には行きませんし、大手企業の中でもポジションによって大きく募集タイムラインが異なるからです。

また、以下がテック就活におけるサマーインターンのオファー獲得時期を示したものですが、やはりご覧の通り相当にロングテールである事がわかります。一般的に、オファーレターを受領してから1~2週間以内にアクセプトをしなければオファーを取り消されてしまいますので、準備の面もさる事ながら、時期的なコンフリクトをマネージする能力も必要です。

 

対象インダストリー

●       テック

●       スタートアップ

●       PE/VC

●       ヘッジファンド

●       メディア・エンターテイメント

など

Tips

●       就職活動をやり遂げる為に必要な能力
上記のようなカオスな状況下で就職活動を成功させる為には以下の能力が不可欠です

○       混沌とした状況でのプロマネ能力

○       正解の見えない状況で自ら道を切り開く能力

○       現状を理解し、各選択肢のリスク・利益を定量的に比較衡量する能力

幸いにして、フレキシビリティ・アントレプレナーシップ・データアナリティクスに定評のあるChicago BoothはMBAスクールの中でも特に上記能力を養える環境にありますので、Boothで学ぶ事ができたのは私にとって非常に幸運でした。

●       オフキャンパスでの採用難易度について
「日本人にとって○○は楽 or 難しい」との纏め方に以前より違和感を覚えていました。というのも ①採用側は候補者の国籍を気にしておらず不正確である上に ②日本人である形質は変えようがなく、建設的なアクションに繋がらないからです。

そこで、少し趣向を変えて就活難易度を判定するMetricsを作ってみました。精度は保証しませんが、採用担当者からどの要素がどう見られているのかのイメージは掴んで頂けるかと思います。ここで特に注目して頂きたいのがいかに多くの要素が自らの努力でコントロール可能かです。就活が始まってからも諦めずに全力を尽くせば道は拓けます。
(※精度チェック頂いたBooth・他校の米国就活経験者の方々ありがとうございます!)

3.  Chicago Boothの就活サポート

3-a.大学オフィシャルのサポート

就職予備校とも揶揄されがちなMBAスクールですが、Chicago Boothも就職には相当に力を入れているようで、手厚い就活サポートが受けられます。Boothには専属のCareer Serviceスタッフが10名程おり、各企業とのコネクション構築・各種イベントのファシリテート・1:1での就職アドバイスやインタビュー練習などを行っています。インターナショナル生向けのイベントも多く、就職活動の肌感覚がわからない日本人学生にとって大きな助けになります。

以下はBoothのCareer Servicesが行っているサポートのごく一部です。

  1. GTSシステム
    大学が管理するシステムで、就職活動の状況整理やレジュメ管理などができます。オンキャンパスの就職活動や各種の就職関連セミナー・1:1コーチング等の活動は基本的にこのシステムを通じて登録・管理します

  2. Career Service Program

全体で10時間程度の就職活動の全体像やTipsを学習するコースで、新入生は全員受講します。このコースを一通りやると効果的なレジュメ・カバーレターの作り方、自己紹介・ネットワーキング方法など就職活動に必要な知識が一通り身につきます

  1. Career Coach/Career Advisorのアドバイス
    企業のリクルーターと日々接している大学のCareer Coachや、就職活動を既にくぐり抜け成功させてきた2YのCareer Advisor等からレジュメレビュー・モックインタビューなどの様々なサポートを受けられます。面接直前の数週間は彼らやBoothの同期等と毎日のようにモックインタビューをすることになるでしょう
    ※なお、私もTech Industry Career Advisorとして活動をしています

3-b.Student Groupによるサポート

各業界のStudent Groupが上記Career Serviceと連携しつつ様々なイベントや就活サポートを行っています。例えばBooth Tech Groupでは企業とのイベント開催や企業/役職に応じた1Y学生同士のモックインタビューマッチング、Management Consulting Groupでは2Y学生によるモックインタビューなどです。

4.おわりに:米国就職、その先

米国で就職をする日本人MBA生は多くありませんので、やりようによって相当にエッジの聞いたキャリアを構築する事ができます。米国永住・海外ベンチャーの日本オフィス立ち上げ参画・VC資金が豊富な米国でベンチャー立ち上げ 等々・・・

とりわけ、前述の通り米国では総じて給料水準・WLBが良い為、特に仕事に拘りが無く永住を視野に入れている方にとって、リーズナブルなセカンドキャリアは無数に広がっていると言っても過言ではありません。

但し、何かしらのキャリアゴールがある方や将来的な日本帰国を視野に入れている方にとっては、仮説ベースでもキャリアゴールをしっかりとイメージしなければ危険です。例えば、将来的に外資系IT企業の日本(営業)拠点でのマネジメントを目指す人間が、IT繋がりと会社名を理由にFAANGのSourcing MgrやSCM職に飛びつくと、場合によってむしろキャリアゴールを実現不可能にしてしまう事になりかねません。特に、日本帰国を考えた際にランダムなポジションで満足していると、帰国後に付加価値になり得る ①特定の業務・業界知見 ②People Mgmt経験も無く40歳前後で帰国。求める水準の就職先に苦労するワーストケースシナリオも視野に入ってしまいます。


少なくとも①業務・業界知見に関しては就職活動時にコントロール可能な要素です。従って「米国就職」「テック就職」といったような大枠で一括りにせずに、できるだけ粒度の細かいキャリアゴールから逆算された就職活動をするように心がけるようにすると良いと思います。

米国インターン就職活動101


こんにちは、Class of 2023のYWです。

私は留学経験もなく日系メーカー勤めの純ドメでしたが、サマーインターン就活の結果サンフランシスコのユニコーン企業にて戦略企画の仕事を得る事ができました。活動中は米国での就活の全体像がわからず右往左往していましたので、似たような境遇の方々の参考となるように概要をざっくりとまとめてみました。

なるべく網羅的に書こうとは思いますが、自分自身の経験からテック企業就活の話が中心となりますのでご容赦下さい。なお、日本企業の現地法人や国際機関などは私に知見が無いので今回は触れません。

下記がアジェンダになります。今回はこのうち、1, 2aについてご紹介いたします。

  1. 米国就活の概況と意義

  2. 米国就活の流れ

    a. オンキャンパス

    b. オフキャンパス

  3. Chicago Boothの就活サポート

    a. 大学オフィシャルのサポート

    b. Student Groupによるサポート

  4. おわりに

  5. その他メモ

1.  米国就活の概況と意義

 米国就活を検討する人が大前提として考えたいのが「なぜ米国に残るのか?」との命題です。米国就活は相当に時間投下が必要ですし、必ずしも楽なプロセスではありません。従ってこのプロセスをやり抜く為には前述の問いに自分の中で答えを持つ事が望ましいです。これは人それぞれ考え方がある所だと思いますが、以下に代表的なものを記載しておきます。

  1. 魅力的な仕事の機会が豊富少しTechに寄った話になりますが、現在も最先端の技術・サービスの多くは米国で生まれています。そういった①業界・世界の最前線で②主体的に ③MBAでの学びを生かして ④事業・サービスを作り上げていく経験は魅力的ですし、それを実現できる企業・ポジションも豊富です。日本ですと、プロフェッショナル業・ベンチャー・外資系支社等、どの選択肢もこの①〜④を兼ね揃えたポジションは限られている可能性があります

  2. ワークライフバランスが良い全業界・職種において、WLBは日本の同職種よりも良好です。例えば、米国の子持ちの家庭では朝8時・夕方5時頃に子供の送り迎えが半ば必須の為、多くの人は夕方にパッと帰宅して、家族との時間を過ごします。(もちろん、限られた時間の中で最大限アウトプットを出す厳しい世界である事は言うまでもありませんし、多忙なプロフェッショナル業では夜に仕事を再開しますが)

  3. 年収が高い直近20年で日本は米国に大きく賃金の面で水を開けられてしまいました。Post-MBA職では、投資銀行などの一部プロフェッショナル業種を除いて日米では相当の賃金格差があります。また、上記業種の場合も日本ではその後のキャリアチェンジ時に相当の年収減を見込むケースがあると聞きます。一方、BoothのEmployment Reportを見ると卒業後ベースサラリーの中央値は$155k(=2千万円)となり、テック業界では$133kです。通常、テック企業の場合ベースサラリーに$10~30kの毎年のボーナスと$~100kの入社時ボーナス(現金+株式)が付きます。(その後、多くは数年ごとに転職と昇進により$50~100k単位で昇給を繰り返します)

  4. 米国が好きまた、米国の文化・気質・気候・自然・スポーツなどが純粋に好き、という理由も十分にモチベーションの一要素になるかと思います。

2.  米国就活の流れ

米国就活は大きく分けてオンキャンパスとオフキャンパスの2つのプロセスがあります。今回はオンキャンパスのプロセスについてです。

2-a.オンキャンパス

概要

大学と企業が連携をしてファシリテートするプロセスで、応募も大学の就活システム経由で行います。昔から伝統的にMBA生を大量に採用してきたインダストリーがこのプロセスに沿っており、学生としては極端な話「流れに乗っていれば良い」一方で、時間的融通が聞かないので全体の流れに乗り遅れない事が重要です。(イベントには出席する、コーヒーチャット前に自分のストーリーや強みを明確にしておく 等)

リクルーティングのプロセスはざっくり以下の通りとなります。日本の新卒就活と大体一緒なので、あまり違和感はないと思います。


上記の活動を全体タイムラインに落とし込むと以下の通りです。年末〜年始に活動が集中した短期決戦である事が見てとれると思います。

実際に米国投資銀行業界の例を見てみますと、殆どの人が1月にインターンオファーを受領しており、やはり各社横並びで採用活動をしている事がわかります。

対象インダストリー

  • コンサルティング

  • 投資銀行

  • 伝統的な大企業(消費財等)

  • 製薬大手など


Tips

  • カッチリとしたプロセスなので、コールドコールによるネットワーキング(=コネ作り)の効果はオフキャンパスリクルーティングよりは少ないです。リクルーターの目に留まるレジュメ・カバーレターを作成する。オフィシャルイベントで顔を売るといった正攻法の活動が肝心です

  • 就活シーズンは相当に忙しくなり授業と干渉する場合もあるので、可能であれば宿題サポート等をお願いできる友人を作っておくなど事前準備をすると多少楽になります


いかがでしたでしょうか。

次回は2bについてお話させていただきます。

アメリカでの就職について

Class of 2021のKMです。私からはアメリカでの就活についてお話しできればと思います。 留学前は「上位校でMBAを取得すれば自分を採用したい会社が沢山あるはず」という甘い期待を抱いていたのですが、現実はそこまで甘くないということを実感しました。私の経験談が、これからアメリカでの就職を考えている方の参考に少しでもなれば幸いです。

アメリカで就職しようと思った経緯

一番のきっかけはMBA前に前職の都合でアメリカに2年駐在した経験です。様々なバックグラウンドの人と一緒に仕事ができ、大変刺激的で多くのことを吸収できた一方、言語と文化の違いに苦労し、悔しい経験をしました。その悔しさが帰国後も自分の中にずっと残り、今回はリベンジの思いで再度アメリカで働いてみようと思いました。良くも悪くも成果が全てで、成果を残せば日本では考えられないリターンを得られる一方、サボればすぐ捨てられる社会だと思います。そのような社会が(何もないとサボりがちな)自分に向いていると思いました。

アメリカでの就活状況

正直なところ、インターナショナル生の就活はなかなか難しく、渡米前からある程度計画を練っておく必要があると思います。一番の問題はビザです。卒業後に長期的にアメリカで働くためには、まずOPT(通常1年、STEM認定だと3年)で大学のスポンサーの下で働き、その間にワーキングビザまたはグリーンカードをとる必要があるのですが、通常はそれらの申請のために雇用主にスポンサーになってもらう必要があります。雇用主には、申請のための費用やリーガルリスクが伴うので、そのような負担を背負ってまで雇用してくれる企業を探すのはなかなか難しいのが現状です(そのため、アメリカ人以外を現地採用してくれる求人企業は感覚的に全体の2、3割くらいなのではと思います)。
受け入れに積極的な業種としては、テック、コンサル、IBが挙げられます。英語がネイティブレベルであればコンサル、IBも狙えると思いますが、通常は現地勤務採用にする必要性が乏しいので、採用されても東京オフィス勤務にされてしまうのでは、という気がします(個人的な見解なので間違っていたらすいません)。一方、専門知識が武器となるテックであれば現地採用の可能性は高いと思います。
(英語ネイティブでなくテックにも弱い)私個人のお勧めは、自分のバックグラウンドの欲しているであろうローカル企業を積極的に探してみることです。例えば、私の場合は、米国外の中小型株に投資する投資ファンドに就職したのですが、そのようなファンドはアメリカ内に点々と存在し、日本のビジネスに精通している人を欲している可能性があります。また、私は公認会計士のバックグラウンドがあり、JGAAPに精通したコンサルタントであったり、日本企業と取引のある現地企業のFinance manager等のポジションは何社か募集を出していました。

ブースがものすごいお勧めである点

ビザが一番のネックになる点を触れましたが、その点でブースはかなり有利です。ブースは2020年より全ての卒業生にSTEM認定をしており、そのため、生徒は卒業後にOPTで3年間働くことが出来きます(他の学校の制度を把握していないのですが、通常は1年のはず)。1年しかない場合にはグリーンカード申請は厳しいですし、ビザの抽選に外れた場合(外れる可能性40%?)、強制的に日本に帰らされてしまうので、企業側もなかなかの理由がないと採用してくれないと思います。個人的にもSTEMがなければ今頃就職できてないだろうなと思います。。。

さいごに

経験談として、自分のセールスポイントと現実的な就職先のイメージを持って就活に臨んだ人の方が成功しやすいのでは思います。また、MBAの学校選びにも繋がりますが、学校のロケーションごとに強い業界・弱い業界が違っているので、就職先のイメージに近いロケーションの学校に行くのがお勧めです。 もし、より詳細の話が聞きたい場合には、是非こちらのサイトを通じてお気軽にご連絡いただければと思います。

Pre MBAインターンについて

Class of 2022のYIです。

今年はCOVID-19の影響で各学校サマースクールがキャンセルとなったり、完全オンラインに移行したりと、MBA受験合格後の時間の使い方も例年とは異なる形になっています。また、Boothについては例年であれば、ランダムウォークと呼ばれる入学前に懇親を深めるための海外旅行が開催されますが、こちらもキャンセルとなってしまいました。

一方で、2020年は授業開始が9月21日(ただしオリエンテーションが8月31日から開始)となっており、合格してから渡航まで少し時間が空いていたことから、Pre MBAインターンをすることにしました。

留学同期を見てもPre MBAインターンをしていた人は非常に少ないですが、ぜひ挑戦して頂きたいと思います。私費留学の方が対象になるかと思いますが、以下具体的な動き方とそこで得られた経験、学びについて記載させて頂きます。

<インターン先の確保>

インターン先の候補としては①日系PEファンド、②コンサル、③スタートアップを考えていました。所謂外資系の大手のファームは組織が大きいこともあり、融通が利きづらいと思ったため候補として考えず、人数が少なくインターンの受け入れを検討してもらえそうなファームに絞って1社ずつお願いすることにしました。

具体的なアプローチ方法としては、MBA受験を通じて知り合ったアラムナイの方へのアプローチ、前職の上司の紹介という形で合計3社ほど当たり、有難いことに日系のコンサルで受け入れて頂けることになりました。

<インターン先での経験(業務内容、期間)>

当初は4週間を予定していましたが、渡航の時期を少し後ろ倒ししたこともあり、合計7週間のインターンをさせて頂くことができました。具体的な業務内容としては、①大手IT企業の中長期の経営計画策定のサポート、②スタートアップの資金調達のサポート、③日系企業の海外M&A案件のValuation、④日系企業の海外M&A案件のPre DDとなります。特に②についてはスタートアップと大手VCとの電話会議に参加させて頂くことができ、会議の臨場感を味わうことができました。

<インターンでの学び>

前職(総合商社)とは全く異なる環境で、インターン初期は議論になかなか参加できず苦労しましたが、インターンを通じ、クライアントから戦略コンサルが求められるアウトプット、クライアントが抱える課題へのアプローチ方法を学ぶことができました。またValuation、Pre DDについては参考書で理解はしていたものの、実務経験を得られたことが大きな収穫となりました。

<メリット/デメリット>

・メリット:MBA中のインターンの機会を有効活用できる

MBA中のインターン方法としては①サマーインターン(日本or現地)、②学期中のインターン(現地)の2つが挙げられます。サマーインターンは多くの人が1社、または2社でインターンをすることになりますが、Pre MBAインターンを活用することでさらにもう1社の仕事を経験することが可能となります。卒業後のキャリアを考える上で、一つでも多くの業界を経験できることは非常に大きなメリットです。

・デメリット:留学準備が疎かになる可能性がある

私の場合は英語力に不安があるにもかかわらず、インターン期間中は余裕がなく、英語学習の時間の確保ができませんでした。オンラインのサマースクールに参加し、英語力の底上げを図っている同級生もいた一方で、私は渡米してから英語には苦労しています。また学校から課される事前課題もありますので、それらへの対応が疎かにならないようにタイムマネージメントに留意して頂ければ、ほかにデメリットはないかと思います。

より詳細の話が聞きたい場合には、こちらのサイトを通じてか、直接ご連絡いただければ幸いです。