誤解:「シカゴ(Booth)ってファイナンス・スクールだよね!」
→Boothがファイナンスに強いのは厳然たる事実。しかし、アントレ、マーケティングにも強いバランスのとれたプログラムであろう。
この誤解は根強いと思います。この件については、当ブログの2011年5月10日付の記事「ChicagoはFinance Schoolか?」に詳細がありますので、是非、当該記事をお読みいただければと思います。Boothがファイナンス以外にも各種の強みを持つ魅力的なプログラムであるというのはほとんどの学生にとっての共通認識だと私は勝手に思っています。
実際、就職活動の観点で見ると、2024年度はコンサルティングが最大勢力で、その次にTech、投資銀行系は3番目という状況です。授業でみると金融・経済学系の授業に強みがあるのは間違いないですが、学生自体はかなりバランスよく多様性がある印象です。
誤解:「シカゴって治安が悪そうで心配。”The Untouchables”の街だし・・・」
→普通に学生生活を送るにあたって治安の悪さを感じることはまずない。シカゴは、手頃な値段で都会の生活を楽しむという意味では全米の中でもかなり良い街ではないかと感じる。
私もシカゴに来る前は、シカゴは治安の悪い街だという先入観があり、両親からもシカゴで生活するのなんて大丈夫かと心配されました。しかし、実際に一年間暮らしてみると、普通に学生生活(通学や夜のダウンタウンでのパーティー等々)を送る分には治安の悪さはまず感じません。むしろ、シカゴはニューヨークやサンフランシスコよりも安い価格でダウンタウンに住むことができ、そしてダウンタウンではアメリカの郊外で暮らすと経験できないような都会の生活を楽しめるという点で、学生だけでなくパートナーの方々にとっても暮らしやすい街だと思います。
シカゴは、NYやLAと違って日本人にとっては良く知られていないだけに、不当にディスカウントされてしまう残念な街だと思います。しかし、実際に暮らしてみると想像を遥かに上回るとても良い街です。
冬の寒さ、西海岸と異なり日本系の店(無印良品、吉野家、ダイソー等)が限られるという点は正直ありますが、暮らす分に不自由を感じることはとくにありません。
誤解:「ハードコアな金融出身者にとってはMBAのファイナンス・会計の授業から学ぶものってほとんどないらしいね」
→Boothでは一年目からかなり難しい上級科目も取れるので心配無用。個人的には同級生からの学びも想像以上に大きいと感じる。
金融機関でバンカー、リサーチ、トレーダー等々をやっていた方はたまにこの種の誤解を持っていることがあります。少なくともBoothでは、1年生のうちからPhDレベルのかなり難解な授業を履修することができますし、有名なFama教授から論文の指導を受けられる授業も履修できたりするので、相当ハイレベルな知識と実務経験を持っているのでない限りは、学ぶ内容が簡単すぎると感じることはまずないと思います。また、これはどこのMBAプログラムでもそうだと思いますが、ケース系の授業では決まった答えのない問題(例:M&Aをする場合にどのような手法でいくら資金調達するか?、適切な株主還元策は?)について、授業、スタディ・グループで徹底的に考え、議論します。このような中で、様々なバックグラウンドを持つクラスメイトから、多様な考え方を学ぶことはとても有意義です。
一方で、上に書いたことと若干齟齬があるように聞こえるやもしれませんが、MBAとはあくまでBusiness Administration について学ぶプログラムです。(Boothでは学ぶことができるものの、)あまりに難しいファイナンスの知識を習得することは、MBA本来の目的とはかけ離れるようにも思われます。PhDレベルの高度なファイナンスの講義に興味があってBoothを志している方は、MBAではなくファイナンスのPhDという選択肢ももしかしたら一考に値するかもしれません。
誤解:「MBAって、1年生のときは忙しくて、2年生になったら遊び放題?」
→Boothは、1年生も2年生もプログラム自体の負担は同程度か。本人のやる気次第で楽にもできるし、きつくもできる。
1年生で10科目、2年生で10科目という、ベーシックな履修スタイルにすれば1年生でも2年生でもプログラムの負荷は同程度です。むしろ2年生では、よりレベルの高い科目に挑戦する学生も増えると思うので、全体的には2年生の方がプログラムの負担が大きくなる学生の方が多いかもしれません。過去のブログにも何度も書かれていることですが、Boothのウリはそのフレキシブルなプログラムにあります。そしてフレキシビリティを活用して楽をするも、激しく勉強するのも自分次第なので、2年生で簡単な科目ばかりを履修すればとても楽できるかもしれません。
その他にも、2年目はIn-semester でのインターンシップ(シカゴ、あるいはリモートでのスタートアップのインターンシップ)やクラブ活動のCo-chair(リーダー)などで、一年目と異なりかなり多角的にMBA生活を充実させることができます。
誤解:「MBAを通じて、英語力が劇的に伸びる!」
→多少は伸びるが、意識的に努力しない限り劇的に伸びることはない。2011年8月10日付のブログも参照されたい。
私がBoothにアプライしたときも、少しだけ、以上のような誤解を持っていました。このような誤解を避けるためにも、またよりよく学校を知るために在校生、(and/or)卒業生に話を聞いてみる、まとまった時間が取れそうなら是非キャンパス・ビジットをしてみることをお勧めします。ただ、ある意味シカゴという場所柄、日本語を使うことはかなり限定的になるので、結果的に英語力が伸びることはあり得ると思います。