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Youは何しにBoothに?(後編)  

こんにちは、Class of 2023のKです。

前回からの続きで「Youは何しにBoothに?」の後編です。前編ではWhy MBA?と受験時代にやっておいて良かったこと、やればよかったこと等について3人から話がありましたが、後編ではWhy Booth?と一番印象に残っていること等について語ってもらいます。前編はこちらをご参照ください。

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モ: Chicago Boothへの入学の決め手はなんでしょうか?

C: やはりflexibilityとpay-it-forwardですね。「Boothといえばflexibility」なのでありきたりなのかもしれませんが、学生がそれぞれやりたいことを自由に選んで学べる点です。私はエネルギー業界を専門としていたのですが、ソフトスキル、投資判断、データ分析等を学びつつ、今まであまり知見のなかった起業について学んで将来的にエネルギー会社の海外進出に携わりたいと思っていて、Boothだと自分に合う形でプログラムを自由にカスタマイズできる点が魅力的です。また、もう一つのBoothらしさといえばpay-it-forward(ある人物から受けた親切を別の人物に親切をすることで親切の輪をつないでいくこと)のカルチャーですね。実際に私が受験生時代に接したBoothの先輩方は率先して時間をかけて丁寧に対応してくださったのが印象的で、このコミュニティの一員になりたいと心の底から感じました。入学後も学生同士で授業や就活、課外活動等で助け合う文化があると感じます。例えば、必修授業のLEADは2年生が代々ファシリテーターとして授業を仕切ってきましたが、LEAD終了後に「あの人みたいになりたい」「今度は自分がファシリテーターとして後輩のリーダーシップ育成に関わりたい」と同期が口々に言っていたのが印象的ですね。

モ:私もその点は本当に共感します。入学式でも副学長が式辞の中で”define your goal, connect with your community, and remember to pay it forward”と言っていましたね。当プログラムのFlexibilityについてはよく知られていますが、pay-it-forwardのカルチャーはまだまだ認知度が低いと感じますね。私自身もキャンパスビジット前まではBoothについてあまり知らなかったのですが、実際にキャンパスビジットに行った際にたくさんの在校生が親切に対応してくれて、プログラムの柔軟性をどう活用しているかを生き生きと語ってくださったのが印象的で志望度がグッと上がりましたね。

B: 私にとっては、シカゴ大学ではMBAとMPCS(Master of Computer Science)とのデュアルデグリーができることが一番の魅力でしたね。学びなおしをしたいという話を(前編で)しましたが、コンピュータサイエンスを理系のバックグラウンドなしに学べるチャンスを探していたところ、MBAと並行してコンピュータサイエンスを学べるのはBoothしかなかったというのが本当に大きいですね。

A: もうみんなが言ってくれたのであまりいうこともないのですが、付け加えるとするとシカゴの街としての魅力ですね。学生の9割が同じエリアに住んでいますが、ダウンタウンの一等地に住めますし、それでいて物価がリーズナブルなのも有難いですね。

モ:そうですね、家族帯同ですが徒歩圏内で生活は完結しますし、本当に便利ですね。色んな映画のロケ地になっていますし、有名な建築物、美術館もたくさんあるので本当に飽きないですよね。では、次のテーマに移りまして、これまで一番印象に残っていることを教えてください。プライベートのことでも結構です。

C: まず真面目な話からしておくと、本当に必修授業が(LEADを除くと)なくて、最初の学期から自分で履修を組んでいくこと、履修にあたっても入札形式で他の学生の行動を予測しながら札を入れること等もシカゴらしいなって感じますね。入札ポイント数によって人気授業なのかそうでないかが一目瞭然ですし、、、苦笑

A: 思った以上にファイナンスに興味ある人が少ないって感じたことですかね。特に南アジア出身の学生とかそうなんですが、起業とかスタートアップ界隈の人が多いですし、アントレ(起業)の授業が人気なところも全然ファイナンススクールじゃないんだなっていう。もちろん、授業の種類の多さはダントツですし、金融の知見を深めたい猛者にはPhdレベルの授業も提供されていますよね。

B: 僕は、思ったよりもみんなパーティー好きなんだなってことでしょうか。笑 Boothはみんな真面目なのかと思っていましたけど、ソーシャルイベントがとっても多いですし、学業・ソーシャル・就活のバランスをとるのが本当に悩ましいですね。

C: 確かに最初の一か月毎日ソーシャルあったのは衝撃でした。笑 

B: あと、さっきAさんからも話がありましたが、シカゴが街として思ったよりも全然良いってことですかね。街並みもきれいですし、バーやレストランもたくさんあって美食の街ですね。

モ: 3人からそれぞれ学業・ソーシャル・街としての魅力について話が出ましたね。素晴らしいです。最後に受験生へのメッセージをお願いします!
A: せっかくプログラムのフレキシビリティもあって、シカゴもいい街なので、もっと多様な人がMBA受験を選択肢として考えてくださるようになればと思います。

B: エッセイや面接対策ってやっているときは大変なのですが、これまでのキャリアや将来について真剣に考える貴重な機会だったと振り返ると思います。受験生活は大変ですけど、受験時代に苦労したことが意外と今に生きていると感じることも多いのでがんばってください!

C: 社会人になってからこんなに友達ができたり、コミュニティが広がったりすることはなかなかないので、今が大変でも諦めずに頑張れば新しい景色が絶対に見えるはずなのでがんばってください!

モ: 今日はありがとうございました。

 

初企画の「YouはなにしにBoothに?」はいかがでしたか?

海外留学のきっかけから当プログラムのカルチャー、シカゴの街としての魅力まで幅広いテーマについてカバーしましたが、3人それぞれの個性が出た対談だったのではないかと思います。受験を考えられる上で少しでもお役に立つような内容があれば大変幸いです。また定期的にこのような連載を続けられればと思います。

それでは!

Youは何しにBoothに?(前編)

“Why are you here and not somewhere else?”

「あなたは他のどこかではなく、なぜここにいるのか?」
ブースのキャンパス内に掲出されている言葉で、なんのためにChicago BoothのMBAプログラムにいるのかを考えさせられます。

こんにちは、Class of 2023のKです。

今年も残すところあと約1か月となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

こちらではサンクスギビング休暇(≒日本の正月休み)で学生も旅行に出かけたり、帰省して家族と過ごしたりとそれぞれの休みを過ごしております。

さて、今回は在校生3人を集めまして、キャンパスビジットでお話するような話題を対談形式でお届けできればと思います。初企画の「Youは何しにBoothに?」というテーマで今回は在校生のAさん、Bさん、Cさんの3名に集まってもらいました。

◆社会人歴/出身業界/私費or社費/海外経験

① Aさん: 15年卒 コンサル⇒VC 私費 学部時代に1年間米国留学

② Bさん: 11年卒 メーカー⇒メガベンチャー 私費 海外大学卒

③ Cさん: 15年卒 コンサル 社費 純ドメ

④ モデレーター: 15年卒 事業会社 社費 幼少期に6年間

モ: それでは早速1つめの質問ですが、MBAを目指そうと思ったきっかけや理由について教えてもらえますか?

A: 私はMBAホルダーの多い環境でずっと働いてきたので、新卒のころから海外留学を意識していました。30代までにはMBAを取得したいと思い、少しずつ準備を進める中で徐々に形になっていった感じですね。直接のきっかけになったのはVCで働いていた際に参加した国際会議で周りがMBAホルダーばかりだったので、やはり世界に通用するビジネスパーソンになるにはMBAが必要だと強く感じました。

B: 僕も直接の上司がMBAホルダーで、その人と一緒に働く中で西欧式のリーダーシップ教育を受けて自分も一担当者から事業を動かす立場にステップアップしたいと強く感じたのがきっかけです。また、人生100年時代と言われていますが、学びなおしをしたいと思ったのも理由の一つです。エンジニア中心のメガベンチャーで財務を担当していたのですが、もっとプロダクトについて理解を深めてエンジニアと対等に話したいと思ったこともきっかけといえばきっかけです。

C: 私も社内にMBAホルダーがたくさんいるのですが、直接のきっかけはキャリアアドバイザーからMBAを勧められたことです。新卒から同じ会社でずっと働いていたので一度外の世界を見てみたいと思っていて、他の選択肢と比較したときに米国のビジネススクールで世界中から集まる志を同じくする仲間と2年間一緒に過ごすのがベストだと思い、準備を始めました。

モ: やはり周りに経験者がいると留学も身近に感じますよね。私は逆に社内に全然留学経験者がいなかったのですが、新卒から同じ会社で働く中でモヤモヤしていたときに尊敬する社外の先輩から海外留学を勧められ、そういう選択肢もあることを知って、そのあと色んな経験者の方からお話を伺う中で留学への思いが強くなりました。さて、次に2つめの質問ですが、受験生活を通して一番大変だったこと、やっておいて良かったこと、やればよかったことはなんでしょうか?

B: 受験生活はずっと大変だったのですが、スコアメイクに気を取られて在校生や卒業生の方とお話をする機会をなかなか作れなかったのが心残りです。単に学校のことを聞くだけではなくて、キャリア選択や人生について話の中に学びが多いのでもっと受験生の立場を利用してより多くの在校生や卒業生の方から話を聞いておけばよかったと思います。

C: そうですね、在校生や卒業生の方と話すとそのコミュニティへの理解も深まりますし、フィット感もわかるので良いですよね。僕からは別の視点の話になりますが、カウンセラー選びは大事だと思います。レジュメからエッセイ、面接対策まで受験生活を二人三脚で進めていくことになるので、カウンセラーとの相性は重要だと改めて感じました。

A: やっておいて良かった話をしておくと、面接対策をしっかりとやったことですね。私はファーストラウンドで勝負していたので8月頃から面接対策を始めました。スコアメイクと違って面接対策はなかなか成果がみえにくいのですが、毎日英会話の時間を設けたり、他の受験生とモック練習をしたりした結果、言いたいことを自然といえるようになったので本当に良かったと思います。

モ: 答えも人それぞれですが、確かに言われてみるとどれもよくわかります。私から付け足すとすると、キャンパスビジットがやはり一番やってよかったと思います。コロナ禍で渡米は現在ハードルが高いですが、キャンパスビジットで授業を実際に受けて、在校生や海外の受験生とネットワークをするとモチベーションも上がりますし、入学後の具体的なイメージを持てるので本当におすすめです。来年以降に受験を予定されている方には是非キャンパスビジットをお勧めしたいです。

C: キャンパスビジットは難しいかもしれませんが、Twitter(@BoothJapan)でもMBAの日常についてこまめに投稿していますのでそちらも是非チェックしていただけると嬉しいです!

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ここまでで長くなってしまったので一旦前編はこちらで区切ります。後編は近日中に掲載予定ですので少々お待ちください。

それでは!

 

Boothでの最初のQuarterを終えて

あけましておめでとうございます。Class of 2022のSAです。

 

少し間があきましたが、Boothでの最初のquarter(9月-12月初)を終えた雑感を書こうと思います。特にコロナ下でのMBA生活に不安を感じていらっしゃる方も多いかと思いますので、その影響に焦点をあてながらこの3ヶ月間を学業、ソーシャル、日常生活の3つの切り口で振り返りたいと思います。

 

まずは学業面ですが、BoothではHybridと呼ばれるリモートと対面形式をミックスしたスタイルが取られています。具体的には、授業によってzoomでのオンライン受講のものとキャンパスでの対面授業のものとがあり、後者についても授業の履修者全員が同時にキャンパスで受講することはなく、週毎に半分の生徒がリモートで受講し残り半分が対面といった具合で、一度に教室に集まる学生の数を制限しながらの実施でした。筆者の場合はこの秋学期ではLEAD含め計5科目履修しましたが、内3つはもっぱらリモート、2つが対面ありのミックス形式でした。ということで、やはりオンラインで授業を受けることが多かったわけですが、学びの深さや効率といった点では全く問題なかったかなという印象です。寧ろ、通学時間が浮く分タイムマネジメントに余裕が出る、大抵は授業の録画ビデオが共有されるためその場で理解不十分だった箇所も後で確認し易い、対面での授業に比べ学生がはっきりと発音するため聞き取り易い(教室だと学生によってはボソボソと話しがち)等々、良い面が多かったように感じます。特に英語力に不安のある筆者には3点目のメリットは結構ありがたかったです。。

 

次にソーシャル面について。残念ながら学生同士の交流機会がコロナによってかなり制限されてしまったことは否めません。例えば通常であれば年度の開始前に実施されるRandom Walkという小旅行イベントが今年度は開催が見送られた他、学生主催の諸々のイベントもコロナの猛威が増すにつれ実施条件が厳しくなっていきました。また学業面ではリモート授業は寧ろポジティブな影響が多かった旨述べさせて頂きましたが、こと他の学生との交流という観点ではやはり授業終わりに他の学生と気軽に食事するといった機会が失われてしまうといった影響もあります。こうしたソーシャル面の制約は勿論MBAに限った話でなく、皆さんも実感されているところと思います。一方で、そんな環境でも例えば屋外でのピクニックやオンラインでのゲームイベント等色々なソーシャルイベントもありましたし、その時々の規制や安全ポリシーに応じて皆が知恵を凝らしながらコミュニティづくり、学生間の交流活性化の機会を創り出していますので、過度に悲観的になる必要はないかと思います。

 

最後にシカゴでの日常生活について。渡米当初はレストランなども普通に使えていましたが、その後のコロナ感染増に伴い、シカゴ市内飲食店での店内飲食が全面禁止となるなど厳しいポリシーが施行されています。生でのスポーツ観戦もできず、全米屈指の充実度を誇るグルメやエンターテインメントを存分に堪能とはいかないのが現状です。勿論これも世界中で皆が我慢を強いられている中では仕方がないことですね。。個人的には寧ろシカゴ在住で自分は恵まれていると感じております。アメリカ建築の聖地と呼ばれる当地の美しい街並みが日常の景色となり、ダウンタウンでのショッピングついでにミシガン湖畔やシカゴ川沿いの遊歩道を歩いて気分転換できるのもシカゴならでは。大都市の利便性と豊かな自然、双方の恩恵に授かれるこの街にすっかり魅了されています。

 

以上、withコロナ時代にはじまった私のBooth生活最初の3ヶ月間について、とりとめなく感じたことを書き連ねました。留学生活のイメージを持つ上で少しでもお役に立てば幸いです。(皆さんが留学生活を始められる頃にはコロナの混乱もすっかり収束し、この記事が無用の長物となることを祈りつつ。)

Class of 2021 Profile

Class of 2021 のTKです。

この度、Class of 2021 日本人11名のProfileを公開いたしました(うち、情報提供者は10名)。

詳細はぜひそちらをご覧いただきたいのですが、この記事では、Class of 2021 の傾向について、少し分析してみたいと思います。

なお、アプリケーションには受験者のプロファイル、テストスコアのほかにも、エッセイ、推薦状等の要素があるため、下記分析は参考程度にご覧いただけますと幸いです。

年齢/職歴

入学時年齢は27歳~34歳となっております。

平均は31歳で、これはClass of 2021全体の平均(28歳)よりも若干高めです。

また職歴としては、金融(銀行、保険、証券会社等)が多いものの、会計士、医師といった専門職からの入学も見られます。

私費/社費

Class of 2021 としては、私費と社費の割合に大きな偏りはなく、半分半分となっております。

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TOEFL/IELTS

TOEFLだけではなく、IELTSでの合格も複数名おります。

また、TOEFLスコアの分布としては、107点付近が多いようです。

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GMAT/GRE

Class of 2021 としては、GMATだけではなくGREでの合格も複数名見られます。

また、GMATスコアの分布としては、710-730点あたりが日本人在校生(1年生)のボリュームゾーンとなっております。

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海外経験

米国、英国、カナダと海外経験も多種多様である一方、いわゆる「純ドメ」の合格者も複数名見られます。

合格ラウンド

1st、2ndだけでなく、3rdでの合格者も在籍しています。

また、Waitlistからの繰り上げ合格者も見られます。

以上、簡単ではありますが、Class of 2021 の多様性について少しでも感じて頂けたら幸いです。

また、詳しく話してみたい在校生や、ご質問等ありましたら、コンタクトページよりお気軽にお問い合わせください。

【ロングインタビュー】Private Equity and Venture Capital Lab

Boothの数ある授業の中で最も人気のある授業の1つがPrivate Equity and Venture Capital Lab(通称PE/VC Lab)です。この授業は、 PE/VCの両セクションに分かれて、実務家教員(PE: Chris McGowan, VC: Jason Heltzer/Ira Weiss)から実務を学ぶとともに、学期中にPEまたはVCで10週間以上インターンする設計になっています

あまり知られていませんが、シカゴはアメリカにおいて、カリフォルニア、 NY、ボストンに次いで大きなPE/VC市場で、シカゴだけでもPE500社/VC200社以上が存在しています

今回はそんなPE/VC Labの魅力やインターン事情について、2019年春学期にPE/VC Labを履修している3人に話を伺いました

Aさん:PEセクション。Class of 2020

Bさん:PEセクション。Class of 2020

Cさん:VCセクション。Class of 2020


―まず、PE/VC Labの履修方法について教えてもらえますか

A: 履修を希望する学生はレジュメを事務局に送り、レジュメをもとに本プログラムに参加しているPE/VCファームとのマッチングが行われます。面接等を経て、ファームからインターンのオファーを得た学生のみが授業を履修できます。プログラムに参加しているファームは80社ほど。1つのファームで複数人のインターンを受け入れるパターンもあり、全体として履修者は130人くらいです。今年は350人強が応募したそうです

C:授業は春学期(4-6月)ですが、アプリケーションは10-11月。すぐにファームが決まって1月からインターンする人もいれば、開始が4月以降になる人もいます

A:期間中に10週間以上、週15-20時間程度インターンを実施します。ファームはシカゴに限らず、NYやサンフランシスコでインターンしている人もいます。インターンに加えて授業が週3時間(1コマ)。授業はPEセクションとVCセクションで基本的に別々ですが、10週間の授業期間のうち2回ほど、同じゲストスピーカーの話を聞くため共通の授業となります

―皆さんはなぜこの授業を受けようと思ったんですか

B:投資銀行でPEのお客様と仕事をした経験があり、PE業務の奥深さを感じるとともに、内製化が可能でFAを雇うインセンティブが低いPEファンドに対して投資銀行が付加価値を出すためにはよりファンドのビジネスを理解しなければならないと感じていました。実際にPEファンドで働くという経験は、同じM&Aを扱うにしても違うサイドから見ることができるので、非常に役立つと感じています

A:私は前職で、地方の中小企業に投資をしたことがあり、日本のプライベートセクターには情報の非対称があると感じていました。他方で、アメリカにおけるPEファームはそのプレゼンスが大きく、情報の非対称性を解消する役割が進んでいると感じたため、実際に中から経験したいと思いました

C:私はVCセクションですが、VCが何を見て事業を評価しているのかという点に興味がありました。前職で投資関連の仕事をしていましたが、アーリースタートアップをどのように見定めるのかよく分からなかったため、VCで働いてシードのスタートアップを見てみたいと思いました

―皆さん、インターンはどこで行っていますか

C:Polsky CenterInnovation FundというVCでインターンしています。プリシードのみを対象としており、まだアイデア段階のビジネスや、技術のみの企業を支援しています。基本的にfollow-onは行っていません。ファンド全体で年に最大で10プロジェクトの支援をすることとなっており、5つのチームが、10週間で投資判断を行うサイクルを2回こなします。Innovation Fundには一般のアプリケーションより前の10月頃に応募しました。面接等のプロセスはPE/VC一般とあまり変わりません。チームの編成が特徴的で、MBA、ロースクール、公共政策、PhD、Undergradの学生の5人で構成されます。MBA生からは5チーム分の計5人が選ばれます。応募者は100人程はいたと思うので、倍率は高いです。なお、Innovation Fundのメンバーに選ばれた場合には、PE/VC Labの授業を履修するかどうか選択することができます。チーム内やチーム間でのFeedbackのほか、製薬の知財権の取得の仕方、 FDA approvalの取得方法、プレゼンテーションの仕方などを教えてもらいます。他のインターンシップに比べて研修制度はしっかりしていると思います

B:私はNYのLMM Capital Partnersというファンドでインターンしています。ステージはバイアウトとグロース、インダストリーはManufacturingとBusiness serviceをテーマに幅広く対象としています。サイズとしてはLower-middle marketで、$20M-50MのEquity 投資がターゲット。私は、PE/VC Labの通常のアプリケーションでは先方から面接が設定された会社はありませんでした。そのため、アラムナイ経由や、LinkedInやPitchbook等を通じて様々なファームにコンタクトをして、最終的に、今インターンしているファンドが、PE/VC Labを知らなかったもののインターンを受け入れた経験があるということで交渉した上でオファーをもらいました。最終的に決まったのは3月くらいです。ちなみに、インターン先は授業が始まる4月の初週までには決まっている必要があります

A:私はSterling PartnersというPEファンドでインターンをしています。シカゴで30数年やっている老舗のファンドです。サイズは基本的にはmiddle capで、”first institutional capital”(他のファンドの後ではなく、最初の投資家)であることにこだわっています。業界にあまり縛りはなく、founderの自己資金を使ったグロース、インキュベーションに近い領域も対象にしています。私の場合はSterling Partners Investment Thesis Challenge (SPITC)というプログラムに応募しました。SPITCはチームとして投資アイデアを応募し、そのチーム単位でインターンを受け入れてもらう仕組みになっていて、1チーム4-5人、計5チームが受け入れられます。アプライしたのは13チーム。個人としてファームの業務を行うことはできませんが、関心ある領域に特化してインターンをすることができます。またSPITCに通った場合には、PE/VC Labを履修するか選ぶことができます。1月初がアプリケーションの締め切りで、11月くらいから準備を始めました。私のチームは私以外に中国人1人とアルゼンチン人2人がいます。後から知ったのですが、全員インターナショナル生のチームがSPITCに受かったのは史上初だったそうです

C:VCセクションでは、自分でインターン先を見つけた、または授業に関係なく元々インターンをしていた、という人たちが1/3くらいいます(アメリカ国籍に限る)

A:インターナショナル生の場合、1年目は自由にインターンができず、大学のプログラムとしてインターンする必要があるので、アメリカ人と比べると不利だと思います


―インターンではどのようなことをしていますか

B:主に2つあり、1つはディールのソーシングを捌く仕事をしています。様々な会社のInformation Memorandumが回ってくるので、それを1つ1つチェックして、最終的にその案件を追いかけるか、追いかけないか判断して10枚程度のレポートにまとめています。もう1つの仕事としては、追いかけている案件のExecutionを手伝うということで、例えば1週目にNon-Name Baseの情報を基にマーケットリサーチ、2週目に実際の対象企業の調査、3週目はFinancial Modeling、4週目は投資委員会向けの資料のまとめといった調子で実際のディールのタイムラインでヘルプを行っていました。上司との間では、電話とメールベースで成果物についてフィードバックをもらっています。週のコミットメントとしては、リモートゆえに仕事量の擦り合わせが難しく、結局5日間働くこともあります

A:私の場合は1-5月末がSPITCの期間ですが、ファーム側の意向を聞きながら投資対象を絞り、関連するトレードショーで興味を持ってくれる会社を数社見つけた上で、そのうち1つの会社を選び、デューディリジェンスを行いました。現在は1回目の投資委員会に通って、タームシートを作っている段階です。Sterling Partnersにも担当者はいますが、基本的に自分たちで回しています。定期的にその担当者との間や、チーム内で打合せを行っていますが、1日中拘束されるということはないです

―非常に高いコミットメントが求められる印象ですが、他の授業との両立はできていますか

A:PE/VC Labを履修する場合には、授業を3コマまでにすることが推奨(highly advised)されています。私の場合はComputer Scienceも専攻しており、計4コマ履修しています。SPITCは拘束時間が比較的少なく(10時間程度)、両立可能でした

C:私も4コマ履修しています。Innovation Fundの場合、インターンする時間は決まっていませんが、実際にはいつでもFounderから電話がかかってくるので、24時間対応しないといけないのが辛いところです。トータルでは週15-20時間くらい使っていると思います

B:授業は3コマとっています。他に履修している授業は Strategy Lab(チーム単位で実際にコンサルティングを行う授業)で、こちらもそれなりに負担はありますが、なんとか両立させています

―インターンの良かった点、また、不満に感じた点はありますか

C:Innovation Fundの場合、チームプロジェクトではありますが、 MBA生が4割ぐらいの仕事を行い、他のメンバーにビジネスについて教えながら進めていく形になります。ビジネスサイドの相談が基本的に私に集約されるのが辛いですね。夢を語られてもあまり響かない人にはオススメしないです。投資先と同じ熱さを感じられないと難しいと思います

A:自分たちがPEファームとして投資先にコンタクトして、デューディリジェンスを行い、アメリカのローカルな会社への投資を実際に検討している機会はとても貴重だと思っています

B:良かった点は、まずはアメリカで働くという経験です。英語でのコミュニケーションにより細かい点を確認せず進めた結果、後々手戻りが生じたこともあり、そういった経験も貴重だと感じました。他方で、金融業界での専門用語や常識等が、自分が日本で触れていたものと同じなので、全く違和感なく働けるなという感覚も得られました

A:同感です。アメリカの方が使えるFinancial instrumentsが多く、PE投資に対する心理的なハードルがずっと低いといった違いはありますが、裏で行っている業務内容は極めて日本と地続きと感じます。そこは自信になりました

―授業についても教えてください

C:VCセクションでは、Cap Tableを作るときにどのようにfounderの利益を確保しつつ自分の利益を最大化するか、シリーズAで上手くいかなければシリーズB,Cでどのように負けないようにするかといった実務的な内容が学べます

B:PEセクションでは、教授のChrisがとても親切で、話が非常に具体的です。授業には毎回テーマがあり、ファンドのストラクチャー、M&AにおけるSPAのターム、DDポイント、Value upプランなど、一通り学べるという点が良いです。前回はNegotiationの授業でしたが、これも良かったです。6人でチームを組み、ファンドに投資されている会社がRecapするというテーマでした

A:他にも、PE Labを履修すると、Chrisから様々な記事や役立つ情報がメールで送られてきます

B:Chrisはこれまで履修した全ての学生のレジュメを持っていて、現在履修している他の学生とはレジュメを共有したり、ホストのPEファームとパーティがあるなど学生と繋がろうとする姿勢は深く、彼は「この授業も含め、全てがネットワークだ」と言っていました

A:ゲストスピーカーも非常に良いです。例えば、この前はChrisのファンドのポートフォリオカンパニーのCEOが、Chrisと過去に揉めた時の話をしてくれました。当時の資料を見たり、その理由をChrisに聞いたりすることができ、面白かったです

―PE/VC業界に興味があるという受験生は多いです。BoothからPE/VCへの就職についてどのように見ていますか

B:シカゴエリアではPolsky Centerのプレゼンスが高く、Polskyの提供するプログラムもとても充実していると感じます。シカゴエリアのPEには、Boothが圧倒的に人を送り出していると思います

C:日本でも、PE/VC業界では多くのBoothアラムナイが活躍していますね

―最後に受験生へのアドバイスをお願いします

B:PE/VC Labはとてもユニークで、私もBoothの受験を考えたときに初めに注目した冠授業です。教授やクラスメートとの交流も含めて、授業でありながらも実務の経験を積めるというところは有意義だと思います

A:Boothは、他の学校に比べてPE/VCに関するプログラムが充実していて、とても勉強になると思います

Interviewer: K (Class of 2020)