Academics

Class of 2021 Lab Course体験談(後編:Consulting Lab)

皆さん、こんにちは。Class of 2021のT.Kです。

このエントリーでは、前編と後編に分け、Class of 2021の中でLab Courseを受講している2名に、実際にどんな授業なのかを話してもらいました。

今回は後編のBさんです(前編のエントリーはこちらをご覧ください)。

Bさん:Consulting Lab

  • まず、どんな授業かを簡単に教えて下さい。

    7人の生徒で構成されるチームに、1つクライアントとプロジェクトがアサインされ、10週間(今学期はリモート移行準備期間のため9週間)で、実際のビジネス課題にコンサルタントとして取り組む授業です。クライアントや具体的なケースの内容は様々ですが、傾向としてはある程度大企業がクライアントとなり、ケースの内容として今学期は新商品導入戦略、M&A戦略、マーケット開拓戦略などがありました。また、1チームには2~3人のKearneyマネージャークラスがコーチとしてアサインされ、成果物のレビューや、プロジェクトの進め方のアドバイスまで幅広くサポートをしてくれます。

    ちなみに、前期までStrategy Labというクラスが開講しており、今期からConsulting Labと名前が変更になりました。ただし、大まかな内容や、コアのプロジェクト部分に変更はありません。

  • 履修したい場合はどのようなプロセスがあるのですか。

    事前にアプリケーションを提出する必要があります。内容としては、レジュメを提出するほか、なぜこのクラスに興味を持ったのかをショートエッセイの形でまとめて提出しました。また、事前に授業の内容やアプリケーションの中身についてオリエンテーションの形で説明会が開催されました(参加は任意)。ちなみに選考に通ればビッドポイントは必要ありません。

  • なぜこの授業に興味を持ったのですか。

    MBA卒業後のキャリアとして戦略コンサルティングを志望しており、この授業がサマーインターンシップ前の良い準備になりそうだと考えていたためです。また、この講義を主導している教授が、元Deanで、LEADプログラムを始めたHarry Davis教授であり、個人的にBoothに来たからにはぜひ一度Harry Davis教授の授業を履修したいと思っていました。

  • チームや関与するプロジェクトはどのようにアサインされますか。

    アプリケーションの案内と同時に、今学期のプロジェクト内容が発表され、各自アプリケーションの中で希望を出します。今学期は5つのプロジェクトの中から希望を出しました。私は第一希望のプロジェクトに決まりましたが、チームメイトによると必ずしも全員第一希望という訳ではなく、第二希望以下の人もいる様です。事前の説明では、なるべく希望は考慮するという説明がありましたが、おそらくバックグラウンド等も考慮して決められているようです。

  • 授業時間では毎週どのようなことをやっていますか。

    3時間の授業のうち、半分はチームミーティングの時間に充ててよく、実質的な講義はもう半分の1.5時間です。講義内容は週によって異なりますが、ゲストスピーカー(今期はKearneyのグローバルチェアマン)が来て講演、事前にリーディング課題が与えられてディスカッション(リーダーシップ系)、プロジェクトの進行状況に関するクラスプレゼンテーション、SDIアセスメント(他者との関わり方についての分析モジュール)と様々です。全体としては、コンサルティングについて理解を深めるのみならず。コンサルティングという題材を通じて、自身のリーダーシップや、チームセッティングにおける立ち振る舞いを深く考えることができ、非常に多くの学びがありました。

  • 授業外の準備ではどのようなことをやっていますか。

    授業外では、毎週1回セッティングするクライアントとのアップデートミーティングに向けて、各自リサーチや分析を行い、チームとして一つの報告資料(コンサルタントらしくスライドを大量に作成します)にまとめてプレゼンテーションします。その過程で、週1回程度Kearneyコーチとミーティングし、加えて週1~2回程度チームミーティングを行い、資料をまとめていきます。

    特筆すべき点として、今期はすべてリモートでの授業実施となっているため、クライアントも含めてすべてのミーティングがオンライン(Zoom)で行われました。今後スタンダードになっていくであろうリモートワーキングについて、オンラインでのミーティングの進め方、議論の膨らませ方、リモートでのプロジェクトのマネジメントについても実体験を通じて試行錯誤することになり、非常に良い勉強になりました。

    また、私はプロジェクトマネージャーのロールを希望してやらせてもらい、全般的なスケジュール管理や、各自のタスクコントロールについても担当しました。リモートという非常に特殊な状況で、どのようにプロジェクトを軌道に乗せ、どのようにチームメンバーをモチベートしていくか、という課題について、9週間かけてじっくり考え、取り組むことが出来ました。

  • 最終成果物はどのようなものですか。

    最終週にクライアントへプレゼンテーションを行います。私の場合はクライアントのVPクラスまで含めたかなり大掛かりなミーティングを、2日間に分け計3時間行いました。

  • 各自の成績はどのように評価されますか。

    プロジェクトへの全般的な貢献や最終成果物を中心に、クラスへの参加度や、学期中3回提出するReflection Paper(自身の気づきなどをまとめたレポート)などで評価がなされます。

  • 毎週のコミットメント(授業外時間)はどれくらいですか。

    週3回以上のミーティングに加えて、資料作成や、リサーチ、授業への準備を含めると毎週コンスタントに10時間程度はかかっていたと思います。

  • 他の授業との両立はどのように行っていますか?

    今学期は絶対Consulting Labを取ろうと決めていたことと、前期Strategy Labを履修した先輩からの情報等で、コミットメントが10時間程度かかることを聞いていたので、この授業以外の履修を意図的に軽めの負荷の授業にしました。また、普段だとかなりの数の会議をこなさなければいけないため、移動時間だけでもかなりの時間になりそうですが、今期はすべてリモートだったので、その分の時間は削減され、効率化されたと思います。

  • 履修してみて率直に良かった点と、チャレンジングだった点を教えて下さい。

    Labというだけあり、実際の企業に対して、実際にコンサルティングプロジェクトを遂行する経験はなかなかできるものではなく、非常に貴重だと思います。また、モチベーションの高いチームメンバーや、コーチとの交流から得られるもの、学べるものも非常に多いです。加えて、週に1回クライアントに対してプレゼンテーションをする機会があるため、きちんと役割を貰えればプレゼンテーションの良い練習にもなると思います。個人的にはHarry Davis教授からリーダーシップについて講義を受けることが出来たこと、何回かチームディスカッションに15分ほど顔を出してくれ、チェックインという形でアドバイスを貰えたことは一生の財産になると思いました。

    ただし、おそらく通常の仕事として行うコンサルティングプロジェクトと比べると、授業の一環として行っている分一定の緩さがあると思うので、既にコンサルティング経験がある人や、コンサルファーム出身の人にとっては、学びが少ないのかもしれません。

  • どのような人にこの授業をお勧めしますか。

    過去にコンサルティングプロジェクト経験がない人で、MBA後のキャリアとしてコンサルティングを目指している人には非常にお勧めです。また、Harry Davis教授が現在受け持つ数少ない授業の一つ(現在Consulting LabとLeadership Studioの2つのみ)であるため、教授の講義を受けたい人にとっては候補の一つになるでしょう。


いかがでしたでしょうか。

こちらの体験談が、少しでも皆様のイメージづくりに役立てば幸いです。

Class of 2021 Lab Course体験談(前編:Lab in Developing New Products and Services)

皆さん、こんにちは。Class of 2021のT.Kです。

今回は、Boothの授業の中でも特徴的、かつ受験者の皆様の関心も高い、Lab Courseについてご紹介できればと思います。

そもそもLab Courseとは、いわゆるHands-On Learningに位置づけられる授業で、今まで学んできたことが実際のビジネスにどう適用できるのか、実際にプロジェクトを遂行したり、インターンをしたりしながら学ぶ、体験型の授業になります。Boothには常時数多くのLab Courseが開講しており、また非常にフレキシブルなカリキュラムと相まって、1年目のうちから興味のあるLab Courseにはどんどん参加することが出来ます。

このエントリーでは、前編と後編に分け、Class of 2021の中でLab Courseを受講している2名に、実際にどんな授業なのかを話してもらいました。

Aさん:Lab in Developing New Products and Services

  • まず、どんな授業かを簡単に教えて下さい。

    デザインシンキングのコンセプトを学び、実企業の新商品考案プロジェクトにおいて実践する授業です。プロジェクトの核となる顧客ニーズの把握のため、「User testing」というマーケティングツールを使います。本来有料サービスですが、プロジェクトを持ち込んでいる企業が負担してくれます。授業を通じて、新しい商品やサービスを生み出す”型”を学ぶことが出来ます。

  • 履修したい場合はどのようなプロセスがあるのですか。

    アプリケーションを出す必要があります。志望動機や自分が携わりたいプロジェクトなどを記入しました。授業が始まる1か月程前にアプリケーションが開く旨のメールを受取り、授業開始の約1週間前に合否の連絡があったと思います。

  • なぜこの授業に興味を持ったのですか。

    デザインシンキングを用いた新商品・サービス開発のプロセスを経験してみたかったからです。実際に授業を受け、マーケティングソフトを活用しつつ、以下のようなデザインシンキングに関する工程を全て経験することができた点、とても満足しています。

    1.自分達で考えた基準によりフィルタリングした人たちをインタビューし、潜在的なニーズを把握

    2.グループで多くのアイデアをだし、自分達で設けた基準により全アイデアを採点する

    3.プロトタイプを作る

    4.見込み客にプロトタイプを試してもらい、フィードバックを得る

    5.商品を改善する

  • チームや関与するプロジェクトはどのようにアサインされますか。

    アプリケーションの際に第三希望まで伝え、受講者の希望を踏まえて教授がアサインしているようです。私は幸いにも第一希望のプロジェクトに入ることができました。

  • 授業時間では毎週どのようなことをやっていますか。

    デザインシンキングに関する教授によるレクチャー、ゲストスピーカー、グループワークで学んだコンセプトの実践と、幅広くインプットを中心に学びました。

  • 授業外の準備ではどのようなことをやっていますか。

    保険業界に関するプロジェクトに携わっているため、米国の保険市場に関するセカンダリーリサーチ、プライマリーリサーチを主に実施しました。具体的には、セカンダリーとしては、IBISのマーケットリサーチの読み込み、大手保険会社の10Kの読み込み、プライマリーとしては、インシュアテック企業に努めるブース卒業生へのインタビューなどを行いました。

  • 最終成果物はどのようなものですか。

    顧客へのプレゼンテーションが最終成果物となります。

  • 各自の成績はどのように評価されますか。

    成績については、学期中に提出する3つのレポート(チーム毎に提出)が90%、授業参加が10%で評価されるようです。チームメイト同士が相互に評価することを求められるのですが、それが個人としての成績の調整要素になるようです。

  • 毎週のコミットメント(授業外時間)はどれくらいですか。

    プロジェクトとチームメンバーのコミットメントに大きくよると思います。私は、3~10時間くらいでした。特にインタビュー準備(対象者の選定基準を作り、インタビューの質問項目を準備する)のときは忙しかったです。また、毎週授業時間外で約30分のチームミーティングを行っていました。

  • 他の授業との両立はどのように行っていますか?

    今学期受講する授業数を、この授業も含めて3つにしました。ただし、私のグループのプロジェクトに対するコミットメントはWeek 5あたりからぐっと下がったため、それ以降個人的な負荷は大いに軽くなりました笑。

  • 履修してみて率直に良かった点と、チャレンジングだった点を教えて下さい。

    良かった点は、授業を通じてデザインシンキングのコンセプトを学び、実践することができたことです。対象となる人たちを観察し、潜在的にニーズを発見する手法を学ぶことができたこと、その後プロトタイプを直ぐに見込み客に当てはめてテストすることなど、学びは多かったと思います。

    一方、プロジェクトの選定については不確定要素も多く、ハンドリングが難しかったです。参加している企業が解決したい問題とこの授業の流れ(使用するプラットフォームや求められる課題の内容)に少しギャップがあり、授業内で解決が難しい課題だと認識した私達のチームは、プロジェクトに対するモチベーションの維持にも苦労しました。企業側と最初から腹を割った話ができていれば、もう少しやりようはあったのではとの反省もあります。

  • どのような人にこの授業をお勧めしますか。

    革新的なサービスや商品を作りたいと考えている方。新商品考案に向けた再現可能なプロセスを学ぶので、そのような方にとっては特にテイクアウェイは大きいと思います。


いかがでしたでしょうか。

後編では、Consulting Labを履修しているBさんに話をお聞きしました。こちらもぜひ併せてご覧ください。

2020 Winter Quarter 授業の履修状況

皆さん、こんにちは。Class of 2021のT.KとY.Tです。

恒例となりました、冬学期の授業の履修状況について2学年合わせてお伝えします。先ず1年生の場合は、多くが秋学期にFoundationsを取り揃えたため、冬学期からはそれぞれの希望に従った授業を取り始めている傾向がありますが、特に、準必修にあたるFunctionsの履修が多くなっています。一方で、2年生の場合は、Electivesや、Foundations, Functionsの上級レベルのクラスを中心に、それぞれが思い思いの授業を履修していることが見て取れます。

1年生の履修状況

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2年生の履修状況

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このうち、いくつかの授業について詳細を各履修者に記載してもらいました。

Financial Econometrics

金融に係る時系列分析に特化した授業であり、高校時代を最後に全く統計を手にしていない私にでも追いつけるよう教授から丁寧に教えて貰えます。週に3時間の授業に加えて、PhDが2時間のReview Sessionを設けてくれるのでコスパはとても良いと考えています。(冗談です)

内容としては、過去データに基づきモノの価格及びボラティリティを予測することに特化しています。主にARMA、ARCH (GARCH含む), VAR(ECM含む)を学びます。特に、以下の通りVolatilityを予測するARCH及び、複数の因子の関係を併せて分析できるVARはとても強力である為、学び甲斐があります。

  • ARCH事態は単純なモデルでありますが、様々な因子を追加して行くことでかなり予測度が高いモデルが出来上がります。特にTARCH等は様々な応用が可能となります。

  • VARは各国中央銀行でのGDP成長率や著名なHigh Frequency Quant Fundの予測モデルに使用されていることもあり、実務上も役に立つと考えています。Bid/AskのHigh Frequency 価格をベースに様々な因子(ボラティリティ・取引数量・市場の厚み)を上乗せすることでBid/Ask Spread取引に活かせるという実際の取引用モデルを作り上げたりします。

自分で作り上げたモデルの確認及び注意事項等も教わる為、既存の金融商品(株・債券・コモディティ)以外の分析にも応用できる力が身に就くと個人的には感じています。(Class of 2020 L.M.)

(注)

ARMA = Autoregressive Moving Average Model

ARCH = Autoregressive Conditional Heteroskedasticity: GARCHのGはGeneralized; TARCHのTはThreshold

VAR = Vector Autoregression

ECM = Error Correction Model

Quantitative Portfolio Management

αを追求する授業です。カッコよく書いてみましたが、モノの価格がどの様な要因でMarketをOutperformしているか教えて貰える授業です。金融に詳しい方にはFactor TradingやFama-French 5-factorモデル等を学ぶと言えば通じるのかもしれません。残念ながら流動性の高い「株・債券」ではOutperformする要因(Factor)は既に市場全体に知れ渡っている為、特に利益が出るようには個人的には思えません。米国では各Factorに合わせたETFも出回っている為、Hedge Fundに投資できない個人投資家でも(MBA取得するより遥かに安い手数料で)Factor Exposureは得られる状態です。結論からするとαはもう世界に存在しない様に思えますが...そうでもないです。

流動性が低いPEやコモディティ等において同じ考え方を用いてトレーディングを行っているファンドも出てきており、商売においてFactorを学んでおいて損はないと感じてます。Mutual Fund/Hedge Fund志望の方は必要不可欠ですが、PE/コモディティ商売に係る方にも是非受講して頂きたい授業の一つです。更に、Ralph Koijen教授も流動性がない他アセットクラスに関する研究を進めている為、いつでも相談に乗ってくれます。(Class of 2020 L.M.)

Digital and Algorithmic Marketing

デジタルマーケティングの領域で、アルゴリズムを活用した意思決定の仕方を学ぶ授業です。Targeting, Recommendation Systems, Content Optimization, Dynamic Pricingなどのテーマを毎週一つずつ消化していきますが、題材事例の多くが教授が過去に関与した企業やプロジェクト(Verizon, Eli Lilly, Sprint, Ziprecruiterなど)からとられており、データ解析の力をどう使って顧客企業の利益を伸ばすのかのプロセスが教授の実体験をもとに紹介されるなど、実践志向の強い授業内容です。機械学習の代表的なアルゴリズムは一通りさらっと触れられますが、アルゴリズムは意思決定のためのツールに過ぎないと位置づけられているため、コーディングなどのウェイトは低く、むしろ仮説構築や消費者購買行動のモデル化など、マーケターとして必要な意思決定スキルを磨くことに軸足が置かれています。このアプローチは、一つ一つのデジタルマーケティング手法やツールのほとんどは数年後には陳腐化してしまうという教授の考え方の裏返しであり、比較的新しい授業ながらDisciplined-Based Approachを重視するBoothらしい授業だと感じます。なお、この授業で学んだ内容を実地で試したいという学生向けに、Algorithmic Marketing Lab(Lab = 企業からの案件を基にしたプロジェクト型授業)も次学期に連続開講されています。(Class of 2020 J.Y.)

Merger & Acquisition Strategy

M&Aにおけるターゲットの選定・ディールの実行・実行後のインテグレーションにおける戦略のキーポイントを学ぶ授業です。題材自体は普遍的なものですが、実はBoothの全授業の中でも一・二を争う人気の授業となっています(履修に必要なポイントで換算)。

この授業の大きな特徴は、理論とケーススタディを非常にうまく組み合わせている事です。理論に関しては、M&Aの目的(Scaleの拡大 / Scopeの拡大 / Capabilityの取得)に始まり、ターゲットの業種の絞り込み、インテグレーションの度合い(Fully Integrate / Partially Integrate / Keep separate)といった多方面の課題について、実証研究に裏打ちされ、また実際に戦略コンサルティングファーム等で用いられているフレームワークを多数紹介します。次にケーススタディの段階では、これらの理論を現実世界に応用すべく、過去に行われたディールに関する資料を分析し、授業でディスカッションをするという形式が取られています。また最終プロジェクトでは、4-5人のチームで一つの企業を選択し、授業で学習したフレームワークを用いながら、その企業におけるM&Aのターゲット企業の選定・インテグレーションの戦略等に関する提言を行います。

この授業のスタイルは、複雑な事象を解明するためのフレームワークを学び、分析力を養い、現実の問題解決に結びつけるというという意味で、Chicago Approach (こちらをご参照ください)をうまく体現していると思います。(Class of 2020 T.H.)


The Study of Behavioral Economics

経済学と心理学を融合した行動経済学(2017年ノーベル経済学賞のRichard Thaler<Booth教授>が有名)の考え方やビジネス・政策への示唆について幅広く学ぶ人気授業です。Boothには所謂Behavioral系の授業が他にも多くありますが、この授業は特に学術研究の紹介に重点を置いており、毎回の予習課題では学術論文を読みます。一方、当授業担当のPope教授は研究の傍らAmazonでアドバイザーも務めるなど実際の企業活動への応用にも明るく、学術研究が企業の問題解決にどのように繋がり、そこから次の学術研究にどのようにFeedbackされていくかという流れを学ぶことができたのが魅力的でした。

授業のスタイルは、その週のテーマに沿った学術研究成果を紹介しながら実際の企業/消費者行動にみられる類似事例を挙げていく講義型です。もっとも、多種多様なバックグラウンドを持つ学生の仕事や生活から得た実体験も引き出しながら進めるInteractiveなもので、終盤には、実際に研究で使われているRandom Sample SurveyのPlatformに載せる質問票を自ら考えるProjectが課され、授業内で実際にSurveyを実施して結果をみるというプロセスを体験できます。単に過去の研究の紹介に留まることなく、日々の仕事や生活において行動経済学的見地から考える習慣を身に着ける良い訓練になったと思います。(Class of 2021 H.M.)

Strategic Leadership in Management Networks

社会的ネットワークによって個人・組織がどのように競争優位性をもつかについて学ぶ授業です。ここでいう社会的ネットワークとは、職場での上司・同僚から、私的な友人・知人まで、個々人がもつあらゆる人的なつながりのことを指します。日本ではあまり馴染みのない分野かもしれませんが、欧米ではネットワークが非常に重視されており、Boothでの人気授業の一つとなっております。教授は次のノーベル経済学賞候補として挙げられているほどの方で、これまでの膨大な実証研究に裏打ちされた理論について、データだけでなく適宜映像教材やケースを交えながら解説していきます。

授業の前半は、まず社会的ネットワークをclosed networkとbrokerに分類するところからスタートし、これらclosed networkとbrokerの特徴や留意点を教授が解説していきます。授業の後半では、ケーススタディを通じてこれまで学んだ理論が実際の会社組織でどのように機能しているかを学んでいきます。また、授業を通じて自分自身の社会的ネットワークについても可視化し、分析を行います。これまで自分自身の社会的ネットワークを体系化された理論に基づいて分析することはなかったため、新たな気づきが多く、大変参考になりました。(Class of 2021 S.N.)

Research Assistantship at The University of Chicago Medicine

Class of 2021のH.Iです。

年末にManagement Consulting Group (MCG)の活動についてご紹介致しましたが、今回はヘルスケア領域でのユニークなオポチュニティとして、The University of Chicago Medicineにおけるインターンシップについてご紹介します。このプログラムはGPHAP(Graduate Program in Health Administration and Policy)(https://www.ssa.uchicago.edu/gphap)というプログラムに含まれているのですが、こちらについては2018年11月22日にClass of 2020のRKさんが紹介しておりますので、ご参照ください。

プログラム概要

GPHAPに所属する学生 (Boothの他、Harris School of Public Policy、Law School、Pritzker School of Medicine、School of Social Service Administrationの学生で構成される)が、座学や学生同士でのグループワークに留まらずに現場を経験する機会を得るためのプログラムです。シカゴ大学メディカルセンター内の部署に所属してのインターンシップや、メディカルスクール教授のアシスタント等を担当します。また、大学内での就業としての扱いになるため、例外的にビザの規制に関係なく1年目の比較的早い段階からお給料もいただくことができます (もちろん学びがメインなので、一般企業のインターンの様な手当ではありません)。全部で15程度の部署からの募集があり (各部署1人)、11月頃に面接をして採用されると、主に冬の間合計100時間就業することとなります。

実際の経験

私はOperational Excellenceという病院内のオペレーション改善に携わるチームに所属してインターンシップを行なっています。ここではKaizen Eventという(トヨタの”カイゼン”を取り入れています)1週間単位で特定の課題へのアプローチ法を探るプロジェクトを企画、準備、実行することで日々病院運営の効率化に貢献しています。プロジェクトは実際に現場に携わる方々 (医師や看護師、技師等の医療職、受付や患者サポートのスタッフ)を集め10-15人程度のチームで取り組みます。具体的な流れとしては、まず現場の業務フロー及び改善の余地があるポイントを皆で徹底的に洗い出し、実際に現場へ行ってインタビューを行ったりトラブルに巻き込まれてしまった患者さんと電話会議を行ったりして方向性を見定め、最後に新しいスタンダードを作成して発表します。私は今まで3つのプロジェクトに参加したのですが、具体的には「小児科、婦人科における血液等検体採取→結果報告までのフロー改善」「大腸摘出術後の再入院率改善」「患者からの問い合わせへの対応フローの改善」といったものでした。このインターンシップは、一人で何か作業を進めていくというよりは、プロジェクトの一員として常に参加する、という形式でしたが、その辺りは採用先によって色々と異なると思います。

総括

書いている自分でも思うのですが、おそらく一般的なMBAにおける体験のイメージとだいぶ異なるのがこのインターンシップです。これ自体は恐らくヘルスケア業界に強い興味がある方でなければ応募することはないかと思いますが、Boothのフレキシビリティや多様なオポチュニティを示す良い例だと思っております。

最後に、なぜBoothだからこそこの経験ができたのか?ということについて2点ほど挙げさせてください。一つ目は、総合大学のMBAとして、他の機関との連携が強いからこそ得られる機会だということです。より大きな組織(大学やそれに近い高等教育機関等)の中の一つとしてビジネススクールが位置付けられているところは多いですが、全ての学校において現実的な連携があるわけではありません。Boothでは他大学院での授業が取れるだけに留まらず、上記の様な様々な実践的機会に恵まれています。二つ目は、徹底してフレキシブルなカリキュラムがあるからこそ、学業との両立が可能ということです。今回私は、日中のインターンにできるだけ多く参加できる様にWinter Quarterは夜間の授業を中心に選択しました。インターン+夜間の授業となると朝8時-夜9時まで常にインターンor授業となるのでかなり辛い思いもしましたが、その分しっかりとリターンを得られたと思っています。1年生の授業はスケジュールが固定されている学校も少なくないと思いますが、Boothがそうだった場合、このインターンには十分な参加ができなかったかな、と思います。

今回の記事ではプログラムの概要に留め、日本の病院での経験との類似点/相違点など色々感じたことはあまり言及しませんでしたが、もしご興味を持たれた方がいらっしゃればいつでもご連絡ください!皆様の受験校リサーチに少しでも貢献できることを願っております。

2019 Autumn Quarter 授業の履修状況 (Class of 2020)

皆さん、こんにちは。Class of 2020のH.Mです。

先日の記事に引き続き、Class of 2020(2年生)の秋学期の授業の履修状況についてお伝えします。授業の分類等は全て同様になります。

Boothのカリキュラムでは1年生から様々な授業を選択できますが、2年生になると履修科目はElective、もしくはFoundation, Functionの上級レベルのクラスが中心となっていることが見て取れるかと思います。

2019+autumn+class+2Ys-1.jpg

このうち、いくつか特徴ある授業について詳細を各履修者に記載してもらいました。

Entrepreneurial Finance and Private Equity

ベンチャーキャピタル・プライベートエクイティー(バイアウト)に関する授業で、Entrepreneurship及びFinaceの発展科目に位置づけられています。授業内容はケースによるディスカッションを中心としながらも、アカデミックな論点(バリュエーション手法の実務と学問の乖離、VC投資におけるオプションバリュー等)もふんだんに盛り込まれており、実務と学問の橋渡しとなるような内容です。

担当のSteven Kaplan教授は、1980年代から同領域の研究を続けるトップ研究者かつ、シカゴ大学のアントレプレナーシップ教育を統括するPolsky Centerの創設者でもあり、学内でも非常に有名な教授の一人です。彼の豊富なネットワークから、ゲストスピーカーもたくさん授業に訪れます。(Class of 2020 H.M)

International Financial Policy

授業の前半では、UIP、CIPなど為替市場において二国間為替レートがどのように決定されるかについてその背景にある理論を学び、後半では、前半で学んだ為替理論をベースに、各国の為替制度と、財政政策、中央銀行による金融政策の効果を様々な実例を用いて分析するといった内容です。

ユーロ危機やアジア通貨危機、アメリカの貿易赤字問題、日本のLiquidity Trapなど、国際マクロ経済の主要なトピックが取り上げられ、これらを理論的に分析するフレームワークを身につけられたので、非常に実用的な授業でした。教授はとても熱心で、複雑なモデルを丁寧にわかりやすく解説し、実際のFXトレーディングプラットフォームを使ったデモアカウントによる架空FX取引の分析という宿題や、毎週のクイズ、興味深い参考資料と、総じてみて充実した授業内容だったと思います。(Class of 2020 S.W)

Choice Architecture in Practice

Behavioral Scienceのコンセプトを活用したコンサルティングを行う一年間のラボ授業です。BehavioralSightというブティックのコンサルティング会社の代表の教授のネットワークで、大企業・ベンチャー企業・Non profitから6社のクライアントが集められ、そこから自身の希望ベースでクライアント及びチーム(4人/チーム)が決まります。秋学期に課題整理・初期的調査・Behavioral Scienceに基づいた仮説構築と打ち手の立案をクライアントと週1でコンタクトしながら進め、冬学期に実際に打ち手を実行しデータ収集し、春学期にデータ分析に基づいた打ち手の効果検証と最終提案を行う、というステップで進みます。

通常のコンサルティングとの違いは、人の行動に着目する点だと思います。例えばStatus quo bias(皆がやっているから自分もやらないといけないと思うようになること)などのコンセプトを意識しながら、改善したいと考えているターゲットの行動理由を分析し、どのようなバイアスをかけて改善するか、というアプローチを取ります。ある程度ワークロードはありますが、今後のキャリアにおいて、組織運営など様々な場面で使える経験が出来ているという印象です。(Class of 2020 R.K)

Technology Strategy

一言で表すのであれば「技術革新に伴う業界構造の変化を前提とした企業戦略」の授業です。アントレ系の授業と間違われやすいですが、アントレ要素は薄く、既存の大企業と新規参入企業のそれぞれの戦略を読み解く授業です。ケースを中心としたStrategyの授業ですが、一般化されたコンセプトを伝えることを教授は意識しており、学びは大きいです。

テーマとしては、前半はハードウェア(CPU、TV、PC等)の話から始まり、例えばPC業界において、IBMは垂直統合モデルで業界を立ち上げ、モジュール化に伴いローエンドの新規参入が進み、最終的にIntelのチップとMicrosoftのOSに価値が集約されていく背景を、キーとなる業界構造の変化を押えつつ説明していきました。後半は今まさに起こっているソフトウェア(AR/MR、IIoT、Cloud等)よりの話に移り、例えば産業向けのIoTサービスにおいて、コアクラウドのプレイヤー(AzureやAWS等)、IoTプラットフォーマー(C3やPTC等)、産業プレイヤー(SiemensやGE等)、其々の異なるレイヤーでの取る戦略の違いを扱います。記事を書いている2年目秋の時点でベストに近いいい授業でオススメです。(Class of 2020 R.I)