一年生のTNです。シカゴはすっかり冬になってきています。12月上旬ですでにマイナスの日を何日も経験しています。今朝起きたら雪が積もっていました。でも今年は例年に比べて暖かいとのこと。。。
余談ですが、シカゴは結構地下通路が発達しているので、ダウンタウンエリアは地上に出ずに移動できます。私のマンションは地下通路に直結しているので、駅まで地下から行けます。すでに愛用しています(笑)。
さて、そんな中、昨日(12月8日)秋学期最後のFinalを終えてきました。そこで、ここでは今学期印象に残ったことや、Boothに実際通ってからこそわかった点などに重点を置いて秋学期を振り返りたいと思います。
1.LEAD
やはりBooth一年目の秋学期と言うとこれですかね。こちらに訪問に来られる方から一番質問されるのもこれだと思いますし、私も昨年アプリケーションを作っているときに気になっていたプログラムの一つです。
主な概要については、10月の回でHMさんが紹介しているので、ここでは割愛し、経験して面白かった点と感想を述べたいと思います。
個人的に面白かったのは、Wisconsinの合宿中に行ったImprovという授業。簡単に説明すると、お笑い芸人(?)を講師に迎え、みんなでいろんな即興をやるという授業。突然列になり、端の人から適当な物語を作っていき、自分の番になったら、前の流れを汲み取って適当にしゃべるというゲームをしたり、みんなで即興コントをやったりという授業です。そこからの一番大きなtakeawayは、他の人が言ったことに耳を傾けることの大切さと難しさ。普段できていると思っても実はできていなかったことに気づかされました。
例えば、物語を作るゲームでは、
①自分の番が来たときに恥をかかないようについ、流れを読んで、言うことを事前に準備してしまいます。その結果、自分の発言内容を考えるあまり人の話を真剣に聞かなくてなっているのです。(職場の会議でやっていた気がします。。。)
②また準備をしたのに、自分の前でいきなり話の流れが変わってしまうと話すことがなく、だまってしまいます。もしくは、自分のイメージしていた流れに戻るように前の人の意見を否定したり、軌道修正してしまいます。これは自分になかった考えや、本当はとてもいいアイディアだったかもしれないものを壊してしまう可能性があることに気づかされました。自分を良く見せよう、恥ずかしい思いをしないようにしようという気持ちが実は、チーム全体にとって良くない方向に動いている可能性があるのかなとも感じました。
授業の大きな決まりの一つが、「人の意見は決して否定しないで、それを前提に進めていくということ。それをすることで、どれだけいろんな展開があるかを知ること。」というものでした。もちろん日常では、自分の意見を言ったり、反対することは大切なことで、それによって議論が活発になりより良い結果が生まれるということも多々あると思います。ただ、一切人の意見を否定はせず、すべてを受け入れるという極限状態を経験してみるといろいろと感じることがありました。
次にLEADについてもう一つ。LEADの締めくくりとして、行われるCompetitionが二つあります。Leadership CrisisとLeadership Challenge Case Competition、これはLEADプログラムの最後にクラスメイトの投票等によって各Cohortから選ばれたメンバーが各Cohortから競う大会です。Leadership Crisisは謎に包まれていて参加した者しかわからないので多くは知りませんが、私は幸いにもLeadership Challengeに参加することができたので、少しだけ紹介します。と言っても、これもまた守秘義務があり、来年以降やられる方の楽しみを半減してよくないので、簡潔に説明します。端的に言うと、一日をかけたCase Competitionです。一人もしくはペアになり(選ぶケースによります)、与えられた設定と役柄を演じるというものです。例えば、ある会社のCEOになりきり、初のBoard Meetingに参加する等。そして、たくさんのAlumniがわざわざこの日のために学校に来て、各設定の中でいろんな役を演じて、評価してくれます。とてもビジネススクールっぽくて楽しかったです。ちなみに優勝して一人あたり500ドルももらっちゃいました(笑)。。。これだけではないですが、要所要所で「この学校はお金あるな」と感じることがあります(笑)。
2.授業の種類と柔軟性
これがBoothの大きな売りの一つだとは良く聞きますが、実際に来てその意味を知りました。ハード、ソフト関わらず、あらゆるレベルに合わせた授業があるように感じます。
私は、経済学部出身なのですが、大学時代あまり勉強した覚えがないので、今学期はすべて基礎の授業を取りました。周りには、engineerや先生だったなど学問として経済やビジネスを学んだことがないという人もたくさんいますが、彼らでもわかるように授業は進められていきます。最初は物足りないかなと思ったのですが、学部時代と同じ内容でもビジネス、実社会に照らしながら進めていくので、とても勉強になりました。あまり得意でなかった統計や会計もやれば面白いんだなと感じれるほど理解できて、次のステップにいきたいと思っています(笑)。また、私は、金融のバックグラウンドがないので、金融の授業も入門クラスの「investments」を受講しましたが、最初はボンドの計算から始まり、最後はポートフォリオマネージメント、ブラックショールズを使ったオプションや先物のプライシングまでカバーし、私でも理解できるものでした。どの授業もとても分かりやすく、かつ基礎をきちんと固められるものになっていて感動しました。
他方、友人の中には、各授業でもっとレベルの高いものを取っている人がたくさんいます。統計では、エクセルを使って実践に近い形でごりごりデータを処理する授業や、会計ではM&A用のテクニックを教える授業などのを取っていたりします。また、最初からもう全然違って、基礎ではなくて、アントレ関連やLabなどhands-onな授業を受講している人もたくさんいます。仮想の会社を作り毎週どのように成長させていっているかを授業で報告し議論し、学期の最後には仮想ベンチャーを立ち上げるところまで持っていくという「Building the New Venture」という授業など面白そうな授業がたくさんあります。最初の学期から各々が自分のレベル、興味に合わせてカリュキラムを組めるのはやはりBoothの特徴だなと感じる学期でした。
3. iBid
最後にiBidについて。
多くのビジネススクールでも適用されていると思いますが、実際に経験してみての感想を述べたいと思います。そもそも知らない人のために簡単にiBidを説明します。iBidとは、取りたい授業に各生徒が持っているポイントをビッドし、落札するというものです。入学時点での持ち点は8000点あり、その後は、一つの授業を取り終えるごとに2000点もらえます。そして、bidするフェーズは6つあります。各フェーズ毎に取りたい授業にビッドします。人気教授のクラスはとても高くなり、高いときには2万点以上になることもあります(定員割れのクラスだと0点)。教授の評価表(各学期の終了時に教授と授業の評価をするのですが、その集計結果が公表されています)や、過去の各クラスの落札価格(これも何年かに遡って公表されています)を見てビッドを決めます。個人的に面白いと感じたのは、教授やどの学期かによって落札価格が変わるのは当たり前なのですが、フェーズごとにここまで価格に差が出るかという点です。
例えば、フェーズ1ではみんな冷静なので、過去の傾向を見ながらreasonableなビッドをします。ただ、フェーズ1で自分の取りたい事業が取れないとなるとみんなパニックになるのか、フェーズ2ですごい高いビッドをします。前のフェーズで定員オーバーになってもその授業をやっぱり取らないと決めdropする人もいるので、次のフェーズでだいたい何席が空きがでます。その席を取るために狂ったようにビッドをするのです。フェーズ1で0点だった授業がフェーズ2では、数千ときに1万点になることはざらにあります。それならフェーズ1でもう少し高めにビッドしておけば今払う金額の半分以下で取れるのにと思うものの、そのように行動できないのが人間なんですね(笑)。
フェーズ4までならドロップしても落札ポイントが返ってくるのでみんな余分に授業を確保してゆっくり吟味しているのですが、フェーズ5以降にドロップするとポイントが返ってこなくなるので、みんなフェーズ4の終わりで余分な授業を処分します。そのためフェーズ5以降で空きが急に出たり、値段が急に下がったりします。ここでもまた、「そこまで待てばいいじゃないか。そしたら安いのに」と思うのですが、各フェーズが1週間なので、ここに来るまでに一ヶ月くらいかかります。そのため、「取れなかったらどうしよう」、「それまで待てない」というような心理から、みんなつい早い段階で高めに落札してしまいます。私は、ゲーム理論とか心理戦について考えることが好きなので、非常に面白いなと思ってbidをやっています。ちなみに来学期用のbid戦略に失敗し、フェーズ3でやっと取りたい授業をだいたい確保することできました笑。予定よりだいぶ予算オーバーになってしまいましたが、取れないよりマシかなと思ってしまうタイプなので、今は納得しています。まだ3フェーズあるので、タダでいい授業が取れないか引き続きbidはチェックしようと思っています。
と、長くなってしまいましたが、今回はこの辺で。