皆様ご無沙汰しております。Booth 在校生のMです。特に日本では金融系のイメージが強いChicago Boothですが、Tech の採用が大幅に縮小した2024年の最新のデータでも、およそクラス全体のおよそ15%がTech 系企業への就職を果たしています(詳細はこちら)。
今回のブログでは、意外と受験生の方から質問をいただくことも多いBooth におけるTech 就活について、2025年時点でのスケジュールやリソースを受験生の方向けにご紹介させていただきます。
2025.01.29 一部リソースを追加しました。
Tech 就活(アメリカ)のスケジュール
MBA就活では、Consulting, Banking, Tech が三大Post MBA Career となりますが、Tech はConsulting やBanking とは違い各大学向けにデザインされたリクルーティングパスが全くないといっても過言ではない業界になります。具体的には、Consulting やBanking ではそもそも大学ごとにResume の締め切りが異なっていたり、面接官が学校に来て面接する(On-campus Recruiting) など、学校ごとに決められたルールに基づき学内の他の学生と競争する部分がありますが、Tech は基本的に各企業のCareer ページにアクセスしてApplyする形で、通常の転職活動に近いイメージになります。そのため、企業によって日程や締め切りはバラバラで標準Scheduleというものがないのですが、おおよそ以下のような2年を過ごすことになります。
1年生
9月ー12月:Resume drop. 各企業にレジュメを提出していきます。
11月ー3月:企業、はたまたチームやロールによってバラバラと面接になります。面接に呼ばれる時期は冬から春とかなり幅広く、辛抱強さが必要な時期です。
1月ー3月:通常3回程度の面接を経てインターン内定になります。
5月ー8月:サマーインターンシップ期間。Tech では5月末から8月中旬の12週間プログラムが多いです。
2年生
9月ー12月:リターンオファーがもらえる場合は、インターンシップの最終日というパターンもありますが少数派で、年末にかけてその年の景気や企業の採用計画によってかなり異なりますが、通常年内ごろにオファーが届きます。また、MBA向けの採用Position を持つ企業の場合は、この時期にFull-time に向けた就職活動としてResume drop を行います。
1月ー2月:MBA Positionの面接などが続きます。
3月ー5月:Just-in-time という、通常の転職活動で受ける場合と同じPosition にResume drop をし、面接を受けます。
ただ、繰り返しになりますが年によってスケジュールは大きく異なり、2024年卒のように市場が極めて厳しい状況の場合は2年生の3月頃(卒業2ヶ月前)でもリターンオファーが来ない、あるいはインターンのパフォーマンスがポジティブに評価されても、チームに採用できる余裕がなく最終的にお断りとなるケースも多く存在します。
もちろんConsulting, Banking も景気による影響は大きく受けますが、ここ数年Tech はかなりその影響を受けスケジュールが読めない状況が続いています。
Tech 就活におけるMBA Positions
Tech 企業で働かれたことがある方には目新しいものはないかと思いますが、MBA生がよく行くPosition としては以下があります。
PM: プロダクトマネージャー。その名の通りある一つの製品に責任をもち、機能の改善、カスタマーのニーズなどを定義する仕事を行います。ただ、企業によってかなり幅はあり、より技術的(エンジニアと働く)なものとしてPM-T(PMテクニカル)、よりビジネス側の責任(売り上げ、ユーザー数など)を追うPMに分かれている企業も多く存在します。
PMM: プロダクトマーケティングマネージャー。名前の通りマーケティングメインのため、プロダクトの新しい機能を開発するというよりは、今ある製品のユーザー数、売上などをどのように上げるか、というところにフォーカスが置かれます。これはあくまで経験則ですが、PMとは異なり、PMMは比較的マーケティング経験がないと面接にすら呼ばれない傾向にあります。
GTM: Go-To-Market 戦略とオペレーション。この単語はかなり幅広く、企業だけではなく、チームによっても定義が異なるレベルなので一律に何とは言えません。ただ、多くの場合はProduct Strategy かSales Strategy を担当する場合が多いです。コンサル経験があるMBA生はこのロールに行く傾向が強いです。
Finance: コーポレートファイナンスの部門です。採用数は多くありませんが、多くのTech 企業で金融出身のMBA生を採用する傾向にあります。
Sales: 営業職。採用数は多めで、MSやGoogle、AdobeなどのBig Techではこういったロールもありますが、英語がネイティブでない場合は正直厳しいかもしれません。
他にも、Corporate Development, Partnershipなど、幅広い部門で募集がありますが、年、企業によってどの部門に募集があるかはかなり流動的です。上記の5ロールはだいたいどこの企業もBig Tech であればMBA向けのサマーインターンシップの募集が多いイメージがあります。
と、ここまでアメリカTech 就活の概要をお話しましたが、ここからはBooth にFocus して、どんなリソースがあるのか、なぜBooth が良いのかというところを解説させていただきます。
Boothで提供されるリソース
Booth Technology Group: これはどこのMBAでもあるものですが、Tech 就活に特化した就活系Club です。毎年200人近いメンバーが参加しており、おそらくコンサルクラブの次に大きい規模を誇るグループになります。学内では通常BTGと呼んでおり、1年生の秋学期は毎週のLearning Sessionで面接に向けた対策講座を行う他、Family システムという2年生一人に対して同じRole を目指す一年生が数人参加してインターンシップに向けた準備を行なっていくコミュニティがあります。また、1年目の冬にはTech Trek というオンライン・オフライン(サンフランシスコなど)でTech 企業で働くBooth の卒業生と会って各企業の文化や事業内容の理解を進めるイベントや、毎年春にシカゴのキャンパスで開催される、Tech Con と呼ばれるより最新技術や業界トレンドにフォーカスしたイベントも行っています(Tech Conのサイトはこちら)
James M. Kilts Center for Marketing: Booth の研究機関の一つで、特にマーケティングに特化したResearch Center です。毎年秋にPM/PMM Workshopと呼ばれる面接対策ワークショップを開催しており、シカゴやBay Area 在住の卒業生がシカゴに集まり、1年生・2年生の面接、特にプロダクトケース面接の対策を行います。他にもKilts Center は多数のEvent を開催しており、特にPMやPMMを志望する学生に向けた対策講座を提供しています(詳細はこちら)。
Career Center: これももちろんどのMBAでも提供されるものなのでBooth 独自ではありませんが、2年生やCareer CoachとのMock Interview のMatching Systemや、企業からの採用情報が提供されます。
(Class)Lab in Developing New Products and Services: この授業は、実際の企業とコラボレーションし、彼らの課題をもとに新しいProduct アイディアやService アイディアを提供する非常に実践的なクラスです。直接就職活動に関わるわけではありませんが、クライアント企業からProject をもらってPMに近い経験ができる貴重な授業です。なお、2024年はLab ではなく通常の授業スタイル、New Products and Services として開講されたため、実際の企業とのコラボレーションはなかった模様です(この中に記述があります:https://www.chicagobooth.edu/mba/academics/classroom-experience)。
その他Tech 関係のクラブや授業: Innovation and Design Club、Booth Analytics Club、Booth AI Group、Chicago Booth FintechなどのTech の中でも一部にフォーカスしたクラブによるイベント(例えば、Innovation and Design Clubではシカゴ大学コンピュータサイエンス学部でUIUXを教えている先生を招いてFigma の活用勉強会を行うなど)や、Tech Strategy, Generative Thinking, Machine Learning, Big Data など授業でも多くのAIやデータ分析関連を中心とする内容が提供されます。また、2024年からは新しい研究センター、Center for Applied Artificial Intelligence が始動しており、これからAI関連のイベントがより提供されることが期待されます(このセンターは、現時点では学術的な分野にフォーカスしていますが、今後もっと企業とのコラボレーションも進めていくようです)。いずれも就活に直結するものではありませんが、Tech 企業で働くにあたって役にたつ知識が得られる良い機会になります。進化も早くBooth 側のコンテンツも頻繁に変更されておりますので、詳細についてご興味がある方はぜひCoffee Chat で在校生にお尋ねください。
BoothでのTech 就活の良し悪し
もちろん他校と比較することは全くできませんし、各学校良い点があると思いますが、友達も含めたBooth のTech 就活の感想は以下のようなところなのかなと思っております。
良い点
同期、先輩からのサポート: ストレスの高い就活において、ある程度競争になってしまう部分もあるのかと思いきや、特にTech 就活はPositions 数が多いこともあり、BTG内を中心にとても協力してやっていこうという意識が強かったのが良い意味で驚きでした。また、2年生も多数Mock Interview の機会をボランティアで提供しており、多くのBooth 生にとって、就職活動自体がCollaboration 力の強さ、Pay it forward なマインドを一番実感できる経験になります。
卒業生: Booth だけということはないと思いますが、LinkedInで卒業生にリーチすると、だいたいみんな返信をしてくれ、Refarral や面接のアドバイス、また人によってはMock Interview まで、多数のリソースを提供してくれます。インターンシップではNetworking を行う場面は少ないですが、面接練習などの実務的な面で多数のサポートが得られるのも、Pay it forward カルチャーの強みだと感じています。
CSとのDual Degree: これはBooth 出願時に選択する必要があるため、また学費がやや追加でかかるため誰にでもお勧めできるものではないですが、Booth はコンピュータサイエンス(CS)とのDual Degree Programを長年提供しています(当サイトブログ記事1, 当サイトブログ記事2)。特にPMメインで考えている方にとっては、アルゴリズムなどの理論からPython, UIUXに至るまで、コンピュータサイエンスの全体像が理解できる非常に良いプログラムです。ただ、楽しいだけではなくしっかり厳しいプログラム(実際にCSのみの学生と授業を受ける)であること、Dual Degree を持っていたら面接にたくさん呼ばれるというわけではない、という2点は要注意です。
いまいちな点
学期の開始時期: Booth は秋学期(最初のセメスター)の開始が9月末と他の学校より遅いため、他のMBA生より出願が遅れる傾向にあります。Tech 企業は応募してきた順に選考する傾向があるので、Tech 就活を考えられている方は学校が始まるより少し前から空きPosition を見ておく必要があります。
Neutralな点
シカゴというロケーション: これは不利に働くと思いきや、特にどっちでもない印象です。確かに卒業生の多くはBay Area にいますが、オンラインでCoffee Chats などは問題なくできるので、不便は感じません。また、面接は100%オンラインなので、その点でも特に費用負担などもありません。ただ、Tech 系のスタートアップで学期中にインターンをしたい場合は、Bay Area に比べると候補は限られるのかもしれません。
以上、Booth をTech 就活という面からまとめてみました。Tech 就活は極めて流動的ですが、2025年時点でのリソースということで、Tech 志望の皆様のApplication のサポートになれば幸いです。もちろんBooth がFinance に強いのは間違いない事実ですが、多くの卒業生がTech に行っておりますので、ぜひTech 志望の方もBooth をご検討ください。
また、個別のCoffee Chatも受け付けておりますので、ご希望の方はフォームからご連絡ください。日本もまだまだ寒い日々が続くと思いますが、お身体に気をつけてお過ごしください。長文お読みいただきありがとうございました。