投資関連の授業について

Class of 2022のTK及びYAです。

 

キャリア上投資業務への関心があることを踏まえ、我々は昨年投資関連の授業を厚めに履修してきました。本稿においてはその一部としてImpact Investing、PE Lab、Real Estate Investmentを紹介させて頂きます。

 

Impact Investing

インパクト投資の概要について学ぶ授業となります。特に気候変動問題に関するインパクト投資に関心があったため、履修をしました。Rustandyセンター長及び現在シカゴのインパクト投資ファンドのパートナー(Booth卒)の2人が教授を務めており、理論と実務の両面を効果的に学ぶことが可能です。深く掘り下げていくというよりかは、広くインパクト投資について学んでいくアプローチで、全体像を掴むには最適だったと思います。インパクト投資の定義から始まり、インパクトの測定方法、DDのポイント、アセットクラス毎のインパクト投資の例といった内容を学んでいきました。

 

比較的新しい科目ということもあり、教授陣も実験的に授業内容を毎年変えているようですが、私のときは講義、グループワーク、ゲストスピーカーという授業構成でした。グループワークは希望テーマ毎にチームを組み、毎週課題に取り組みます。私は気候変動テーマを希望しましたが、その他にも様々な社会的課題のテーマが用意されていました。ゲストスピーカーは教授陣の幅広いネットワークを活かして、各分野において第一線で活躍されている方々がほぼ毎授業登場し、生の声を聴かせてくれて興味深かったです。例えば、Engine No. 1というインパクト投資とアクティビズムを掛け合わせた投資ファンドの方や、Morning StarのHead of Sustainability Researchといった方が来てくれました。

 

尚、Boothの中でも特に意識の高い生徒が集まっていたように感じ、授業中のディスカッションのレベルの高さは刺激を受けました。

 

PE Lab

PEキャリア20年以上のベテラン実務家が教授を務める授業で、PE実務の理解に主眼が置かれた授業となります。ファンド組成、投資テーマの検討、ファンドレイズ、投資先の取締役会の疑似シミュレーション、投資委員会向け資料作成のポイント、DDの論点といった内容を網羅的に学んでいき、PEキャリアを目指す方には大変参考になる授業だと思います。また、Impact Investing同様に、教授の個人的つながりでゲストスピーカーの方々が参加しますが、対象会社のCEO、PE投資家、弁護士とバラエティに富んでおり、それぞれの視点で話を聞けて大変面白かったです。グループワークとして、PE案件について投資委員会資料を作成しプレゼンするというものがありましたが、審査委員として教授同様のキャリアの長さを持つPE実務家が招待され、激しいQ&Aなどさながら本物の投資委員会の雰囲気を味わえたのも良い経験になりました。

 

尚、本講義を受けるためには、PEでのインターンをすることが必要条件となります。どのようにインターン先を見つけるか等の詳細は過去投稿(【ロングインタビュー】Private Equity and Venture Capital Lab)を参照頂きたいですが、私の場合はSterling Partners Investment Thesis Challenge (SPITC)というプログラムに応募し、4人チームでシカゴのPEファンドで3ヶ月インターンをすることになりました。投資テーマを深堀することがメインのタスクでしたが、緊密にホストファームと連携しながらチームでプロジェクトをリードしていくという、実際のプロジェクトのような経験をできたのは大変価値があったと思っています。

 

Real Estate

不動産投資について学ぶ授業です。Real Estate I → Real Estate II → Real Estate Labと3段階に分かれており、すべて受講するのであれば3クォーターにわたる長期シリーズになりますが、それだけあって不動産の特性、収益性の分析、ローンの考え方などを始めとして、法律、会計、税務、ファンドストラクチャリングまでかなり網羅的に学べる内容となっています。教授は不動産業界で40年以上のキャリアを持つベテランで、理論はもちろんのこと最新の米国不動産マーケットの動きも熟知しており、実務的なトピックをからめた話を多く聞くことができ勉強になります。

Real Estate IとReal Estate IIは不動産DDのCase Studyが中心となりますが、過去実際に行われた不動産取引をテーマに、取引したファンド内部で実際に使っていた(であろう)帳票やエクセルシートを使って当該不動産の分析をするもので、大変興味深かったです。筆者は日本の不動産投資について若干の経験がありますが、収益計画の立て方やバリューアップの考え方、ローンに対する姿勢など日本でやっていたときと比べてもまたかなり違った角度から捉え直すことができ、自分の投資に対する知見を大いに深めることができたと感じています。

Real Estate Labは前述のPE Labと同様で、チームに分かれて不動産投資における戦略をプレゼンし、実務家の前で投資委員会にかけるという内容となっています。ここまでくると周りの生徒の不動産に対する見聞も相当なものになっており、これまでの内容を総動員してハイレベルな議論が繰り広げられています。個人的なキャリアとしては、Boothのクラスのなかでもこのシリーズは最も資するものがあったのではないかと思っています。

 

以上です。ご参考になれば幸いです。

ルームシェアについて

Class of 2021 のTYです。今回はMBA生活におけるルームシェアというライト且つ主として単身者向けのトピックについてお話させて頂きます。

 

私は留学前から1年目は一人暮らしをして生活に慣れてきた2年目にルームシェアをしようと考えており、昨年9月に日本でのインターンからシカゴに戻ってきたタイミングでルームシェアを始めました。コロナ禍シカゴの家賃が大幅に下がったことから(物件によるものの40%以上減といった印象です)、家賃の下がったクオリティの高いマンションで一人暮らしをすることも検討しましたが、結果的には後述の理由から良い選択であったと感じています。

 

メリットの説明の前にそもそもルームメイトの探し方についてですが、例年春先にはルームシェアや家具の売買情報を纏めたスプレッドシートが作成され、在校生SNSを通じて誰でもアクセス可能となります。私自身もこのシート上で知り合いの同級生が同居人を募集していたのを見つけ、コンタクトを取りました(知人であることに加え、家の中では靴を脱ぐカルチャーの人であることも大切な要素でした。私の場合は中国系カナダ人、パキスタン人と3名でシェアをしています)。また、学生の9割程度はダウンタウン・エリアに居住しており、そのエリアになることが通常です(当年においては授業がリモートであるためシカゴ外にいる人も多くいますが)。中でもMPPというマンションには全体の半数程度のブース生が居住しており(恐らく500名以上)、さながら学生寮といった状況です。

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写真:MPP(Millennium Park Plaza)。約40階建て、低層階はオフィスで中層階以上が住居です。1982年築と古く洗濯機が共有であるなどマイナス面もあるものの、街中に位置していることから利便性は高く、同級生へのアクセスも容易となります。加えて、多くの学生が住んでいることから引越時に家具を引き継いだりすることも比較的容易にできます。

さて、ルームシェアの良い点ですが、一人暮らしと比較して賃料が割安であること(MPPでのルームシェアであれば$1,100-1,300程度に抑えることが可能)に加え、ルームメイトと親しくなれ、そこから派生して知り合いの輪が広がることがあると思います。

いわゆる純ドメの私がMBAに来た理由の一つに海外の友人との交流を深めたいというものがありましたが、言語の壁から1年目は中々他の在校生に溶け込むことが難しく、歯痒い状況でした。

具体的には、パーティーや課外活動を通じて仲良くなるケースが多いと思いますが、数名で話していると自分だけ周囲の会話についていけずその後の関係性を築けないことが多々ありました。

一方、ルームメイトとはほぼ毎日のように顔を合わせますので、自然と仲が深まります。また、ルームメイトの友人も含めた食事会などを通じて自分自身の知り合いの輪も広がり、非常に良い循環になっていると感じます。直近もルームメイトと共に国内旅行に出かけたりと、1年目と比較して充実した生活を送れていると感じます。( + 個人的には、元々ほとんど自炊をしないタイプの人間なのですが、ほぼ毎日自炊をするルームメイトに触発されて料理の楽しさ、奥深さを学べたことも良い経験です。Japanese Hot Pot Partyをして美味しいと言ってもらえた時は、ほっと胸をなでおろしました。)

また、学生生活におけるTIPS的な情報へのアクセスがしやすくなったとも思います。一例としては、大学が指定するもしくはそれと同等の保険に入る必要があるのですが、前者よりも年額10万円程安価な保険をルームメイトから教えてもらい、私費留学生の私には良い情報でした。

 

プライベート空間が自室のみとなる、時たま生活音が隣から聞こえてくると言ったマイナス面もあるものの、それを補って余りある程度にベネフィットがあると感じています。

 

最後に、英語力がどの程度向上したか質問を受けることがありますが、多少向上している気はするものの劇的な変化は生じていないというのが率直な答えです。ルームメイトであれば会話は基本的に1:1となるので、分からないことがあっても聞き返すことができるというメリットがありますが、それ自体では発話力は大きくは向上せず、意識的な訓練が必要であると感じます。英語を使用する頻度は以前よりも増えており、自分の英語力が高まっているなと感じる時もあるものの、言いたいことが上手く言えなかったり、複数人での会話についていけないことも未だにあり、英語でものを考え流暢に話すレベルにはほど遠いです。それでも授業外においても英語に触れ、多少なりとも英語に自信を持てる場面があることは英語学習のモチベーション維持に大切であると考えています。

 

以上、ルームシェアについて検討されている方の参考になれば幸いです。

アメリカでの就職について

Class of 2021のKMです。私からはアメリカでの就活についてお話しできればと思います。 留学前は「上位校でMBAを取得すれば自分を採用したい会社が沢山あるはず」という甘い期待を抱いていたのですが、現実はそこまで甘くないということを実感しました。私の経験談が、これからアメリカでの就職を考えている方の参考に少しでもなれば幸いです。

アメリカで就職しようと思った経緯

一番のきっかけはMBA前に前職の都合でアメリカに2年駐在した経験です。様々なバックグラウンドの人と一緒に仕事ができ、大変刺激的で多くのことを吸収できた一方、言語と文化の違いに苦労し、悔しい経験をしました。その悔しさが帰国後も自分の中にずっと残り、今回はリベンジの思いで再度アメリカで働いてみようと思いました。良くも悪くも成果が全てで、成果を残せば日本では考えられないリターンを得られる一方、サボればすぐ捨てられる社会だと思います。そのような社会が(何もないとサボりがちな)自分に向いていると思いました。

アメリカでの就活状況

正直なところ、インターナショナル生の就活はなかなか難しく、渡米前からある程度計画を練っておく必要があると思います。一番の問題はビザです。卒業後に長期的にアメリカで働くためには、まずOPT(通常1年、STEM認定だと3年)で大学のスポンサーの下で働き、その間にワーキングビザまたはグリーンカードをとる必要があるのですが、通常はそれらの申請のために雇用主にスポンサーになってもらう必要があります。雇用主には、申請のための費用やリーガルリスクが伴うので、そのような負担を背負ってまで雇用してくれる企業を探すのはなかなか難しいのが現状です(そのため、アメリカ人以外を現地採用してくれる求人企業は感覚的に全体の2、3割くらいなのではと思います)。
受け入れに積極的な業種としては、テック、コンサル、IBが挙げられます。英語がネイティブレベルであればコンサル、IBも狙えると思いますが、通常は現地勤務採用にする必要性が乏しいので、採用されても東京オフィス勤務にされてしまうのでは、という気がします(個人的な見解なので間違っていたらすいません)。一方、専門知識が武器となるテックであれば現地採用の可能性は高いと思います。
(英語ネイティブでなくテックにも弱い)私個人のお勧めは、自分のバックグラウンドの欲しているであろうローカル企業を積極的に探してみることです。例えば、私の場合は、米国外の中小型株に投資する投資ファンドに就職したのですが、そのようなファンドはアメリカ内に点々と存在し、日本のビジネスに精通している人を欲している可能性があります。また、私は公認会計士のバックグラウンドがあり、JGAAPに精通したコンサルタントであったり、日本企業と取引のある現地企業のFinance manager等のポジションは何社か募集を出していました。

ブースがものすごいお勧めである点

ビザが一番のネックになる点を触れましたが、その点でブースはかなり有利です。ブースは2020年より全ての卒業生にSTEM認定をしており、そのため、生徒は卒業後にOPTで3年間働くことが出来きます(他の学校の制度を把握していないのですが、通常は1年のはず)。1年しかない場合にはグリーンカード申請は厳しいですし、ビザの抽選に外れた場合(外れる可能性40%?)、強制的に日本に帰らされてしまうので、企業側もなかなかの理由がないと採用してくれないと思います。個人的にもSTEMがなければ今頃就職できてないだろうなと思います。。。

さいごに

経験談として、自分のセールスポイントと現実的な就職先のイメージを持って就活に臨んだ人の方が成功しやすいのでは思います。また、MBAの学校選びにも繋がりますが、学校のロケーションごとに強い業界・弱い業界が違っているので、就職先のイメージに近いロケーションの学校に行くのがお勧めです。 もし、より詳細の話が聞きたい場合には、是非こちらのサイトを通じてお気軽にご連絡いただければと思います。

Boothでの最初のQuarterを終えて

あけましておめでとうございます。Class of 2022のSAです。

 

少し間があきましたが、Boothでの最初のquarter(9月-12月初)を終えた雑感を書こうと思います。特にコロナ下でのMBA生活に不安を感じていらっしゃる方も多いかと思いますので、その影響に焦点をあてながらこの3ヶ月間を学業、ソーシャル、日常生活の3つの切り口で振り返りたいと思います。

 

まずは学業面ですが、BoothではHybridと呼ばれるリモートと対面形式をミックスしたスタイルが取られています。具体的には、授業によってzoomでのオンライン受講のものとキャンパスでの対面授業のものとがあり、後者についても授業の履修者全員が同時にキャンパスで受講することはなく、週毎に半分の生徒がリモートで受講し残り半分が対面といった具合で、一度に教室に集まる学生の数を制限しながらの実施でした。筆者の場合はこの秋学期ではLEAD含め計5科目履修しましたが、内3つはもっぱらリモート、2つが対面ありのミックス形式でした。ということで、やはりオンラインで授業を受けることが多かったわけですが、学びの深さや効率といった点では全く問題なかったかなという印象です。寧ろ、通学時間が浮く分タイムマネジメントに余裕が出る、大抵は授業の録画ビデオが共有されるためその場で理解不十分だった箇所も後で確認し易い、対面での授業に比べ学生がはっきりと発音するため聞き取り易い(教室だと学生によってはボソボソと話しがち)等々、良い面が多かったように感じます。特に英語力に不安のある筆者には3点目のメリットは結構ありがたかったです。。

 

次にソーシャル面について。残念ながら学生同士の交流機会がコロナによってかなり制限されてしまったことは否めません。例えば通常であれば年度の開始前に実施されるRandom Walkという小旅行イベントが今年度は開催が見送られた他、学生主催の諸々のイベントもコロナの猛威が増すにつれ実施条件が厳しくなっていきました。また学業面ではリモート授業は寧ろポジティブな影響が多かった旨述べさせて頂きましたが、こと他の学生との交流という観点ではやはり授業終わりに他の学生と気軽に食事するといった機会が失われてしまうといった影響もあります。こうしたソーシャル面の制約は勿論MBAに限った話でなく、皆さんも実感されているところと思います。一方で、そんな環境でも例えば屋外でのピクニックやオンラインでのゲームイベント等色々なソーシャルイベントもありましたし、その時々の規制や安全ポリシーに応じて皆が知恵を凝らしながらコミュニティづくり、学生間の交流活性化の機会を創り出していますので、過度に悲観的になる必要はないかと思います。

 

最後にシカゴでの日常生活について。渡米当初はレストランなども普通に使えていましたが、その後のコロナ感染増に伴い、シカゴ市内飲食店での店内飲食が全面禁止となるなど厳しいポリシーが施行されています。生でのスポーツ観戦もできず、全米屈指の充実度を誇るグルメやエンターテインメントを存分に堪能とはいかないのが現状です。勿論これも世界中で皆が我慢を強いられている中では仕方がないことですね。。個人的には寧ろシカゴ在住で自分は恵まれていると感じております。アメリカ建築の聖地と呼ばれる当地の美しい街並みが日常の景色となり、ダウンタウンでのショッピングついでにミシガン湖畔やシカゴ川沿いの遊歩道を歩いて気分転換できるのもシカゴならでは。大都市の利便性と豊かな自然、双方の恩恵に授かれるこの街にすっかり魅了されています。

 

以上、withコロナ時代にはじまった私のBooth生活最初の3ヶ月間について、とりとめなく感じたことを書き連ねました。留学生活のイメージを持つ上で少しでもお役に立てば幸いです。(皆さんが留学生活を始められる頃にはコロナの混乱もすっかり収束し、この記事が無用の長物となることを祈りつつ。)