交換留学生の感想

(その1)

こんにちは、東京の大学のMBAプログラムに所属し、この学期Chicago Boothに交換留学生として派遣されているynと申します。Chicago Booth(以下Booth)は世界中のMBAスクールと交換留学制度を取り結んでいて、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南米、オセアニア等からの学生がここに学びに来ています。私は50名程のユニークで優秀な交換留学の仲間と一緒になりました。

ここでは私が所属している東京の大学とBoothとの授業の違いについて私の感想を述べさせていただくことで、今後皆さんの学校選択の参考等にしていただければと思います。交換留学生の為の特別な授業というものはなく、授業の選択、評価等、正規の学生と同じです。全日制の授業も週末、夜間MBAの授業も選択することができます。授業に出席していて自分が交換留学生だと意識することはあまりありません。Booth自体、世界中から学生が集まってきているので、そういった違和感がないのかと思います。

私が所属している東京のMBAプログラムと比較すると、まずシラバスがきっちりとしています、文字数が多いのです。およそ10週間の学期の間に何を学ぶのか、どんな準備が必要なのかといったことについて一回毎、きめ細やかに書かれています。その通りに進んでいきます。したがって今自分が授業全体の流れの中でどこにいるのかということがつかみ易いです。

また、研究、宿題など3-4人のグループを単位として学習していくことが多いです。まじめでやる気の学生が多く、というか、力を抜いてグループにぶら下がるということは許されないので、そのための準備、意見交換、小さなプライドをかけて頑張る、、、これがきついのです。うまい仕組みだと思います。

授業は教授が一方的に話すというものではなく、学生が積極的に参加していきます。教える側が様々に工夫をして、興味深い話を織り交ぜたりしながら楽しめる授業をつくっている感じです。教える側と教わる側の垣根は日本の学校よりも低く感じます。国籍、教育、ビジネスといった出身背景が違うため学生から広い範囲の質問が出ます。教授はそれらに丁寧に応じてくれます。時には学生が答えることもあります。この活気のある雰囲気が日本のMBAにもあればいいのになあと思うところです。

授業時間は3時間と長いです(私の東京の学校は1時間半なので)しかし、一旦始まってしまえばすぐに終わってしまう感じです。寝ている人はいません。飽きさせない3時間の授業を準備することは教授にとって大変な負荷だと思います。Boothで教える立場になるということの厳しさも垣間見えます。

あと、最後に付け加えれば、修士論文がありません(仲間の交換留学生に聞くと、修論がないところが多いようです。日本が変わっているのかも)東京に帰れば私には最後の試練としてこれが待っているので、修論がないのはうらやましいです。

以上、ynでした。よろしくお願いします。

(その2)

はじめまして。ynさんと同様、国内MBAから今学期のみChicago Boothに交換留学させていただいているHKといいます。

授業の内容面についてはynさんが書いてくださったので、私は国内MBAを経験している立場からのGeneralな感想を少々。(過去の投稿と重なる点についてはご容赦を)1) 授業(選択肢)の充実

初めてChicago Boothの履修サイトにアクセスしたときに、その授業数、セクション数の多さに驚かされたのを覚えています。私の把握している今学期(Autumn 2010)だけで、授業数は67。各授業複数の教授が担当されていたり、同じ教授でも時間帯やキャンパスに応じて複数のセクションを設けている場合もあるので、セクション数にして実に179。国内のMBAでこれだけの選択肢を提供している大学はないでしょうし、本場米国でも有数なのであろうと容易に想像できます。

ちなみに同じ授業でも担当教授を選択できる点は非常に素晴らしいと感じました。授業評価や人気度がオープンにされているので、教授が授業を魅力的なものにしようという効果的なモチベート材料になっていると感じました。Chicago Boothの豊富なリソースがなせる業だと思います。

2) システム、施設の充実
システム面については、Chicago Boothのポータルサイト以下、授業検索のページ、授業評価のページ、履修(Course Bidding)用のページ、履修者を対象とした授業関連データやアサインメント等の情報共有サイト等、非常に充実しています。特にCourse Biddingのシステム(iBidといいます)については、非常によく考えられた、フェアかつシステマチックなプロセスで、履修段階から学生の戦略的思考が試されると同時に、(特に人気の)授業への学生のコミットメントが増す材料になっていると感じました。
施設面については、ハイドパークとダウンタウンキャンパスという二つの環境が利用可能という点が大きいです。ハイドパークのキャンパスは自然に囲まれた素晴らしいエリアで、建物や自然を見て回っているだけで癒されます。ダウンタウンキャンパスはアクセスの良い立地で、ダウンタウン在住のメンバーとのグループワークや自習等に活用できます。フルタイム生やエクスチェンジ生でもダウンタウンキャンパスでの授業を履修することもできます。私はハイドパークのキャンパスの授業のみ履修しているのですが、Boothの建物(Harper Center)内には、教室、グループ室、自習室、カフェテリア、ラウンジ等普段の活動に必要なものはすべて揃っており、非常に施設が整っているといった感想です。

3) 生活の充実
学習面やキャリア面でのTakeawayももちろん大切ですが、人生における大切な2年間という期間を過ごすのであれば、生活面での充実は非常に重要な要素だと思います。住んでみて実感したのですが、新と旧、そして自然と都市がうまく同居したシカゴという街は非常に魅力的です。建築に興味のある方はもちろん、アートや音楽やスポーツを中心とした文化面における充実度は特筆できると思います。毎週どこかに出かけても、まだまだ訪れたいところに行きつくせないといった感じです。また、他の大都市と比べて観光客も少なく非常に落ち着いた雰囲気で、現地の人たちも非常に温和でやさしい印象です。郊外でローカルなコミュニケーションと勉強に集中するのもよいですが、うまくONとOFFのバランスをうまくとりながら充実した生活のできるシカゴは、自分にとってベストな選択肢であったと思います。
あと、同様にトップビジネススクールであるKellogg(Northwestern University)に立地的に近いのも魅力のひとつですね。彼らと接点を持つことで、2倍の人脈を得る可能性が広がります。ちなみに今夜は彼らとの懇親会です。

ということで、Chicago Booth(Chicagoというロケーション含めて)のヒト、モノ、カネならびに情報リソースは、きっと皆さんのMBAライフを豊かにするのであろうと思います。
私個人としては、日本のMBAには残念ながら足りない、Chicago Boothのよい部分を帰国後フィードバックして、国内MBAも皆さんの選択肢として考えてもらえるような魅力的なもにになるよう貢献したいと考えています。
長文失礼しました。

以上、HKでした。

Chicago Boothでの1ヶ月

こんにちは。Class of 2012のTです。

授業が始まって1ヶ月が経ち、Mid term (中間テスト)真っ只中の今日この頃ですが、この1ヶ月で感じたことを徒然なるままに書き綴ってみます。軽い日記だと思ってください。

① Group Study
授業は3-5名のGroup studyを組んで宿題等々に取り組むことが多く、既に何度もGroup studyの場をもったのですが、Group memberの優秀さに感銘を受けました。
僕の今のGroup study memberの出身業界はコンサル、投資銀行が主なのですが、そのポイントを掴む速さ、分かりやすい説明、完璧なエクセル、、、目からウロコとはこのことだなぁと思いました。
加えて、Boothは「個人主義だから冷たいイメージ」というような声も聞いたりしますが、そんなことはありません!上記Group studyでも議論についてこれないメンバーが居ると、声をかけて分からない部分を再度説明し、チームメンバー全員をInvolveし、Team performanceを高めようとしてくれます。
そういったメンバーですから、先日も朝3時半までDiscussionし、翌日(というか同日)朝6時半に再度集まって宿題を仕上げる、というハードスケジュールも苦になりませんでした。というと正直ウソになりますが(笑)、然しながら非常に心地の良い疲れを感じました。

僕がMBA受験で重視していた点の一つに優秀なクラスメートとのGroup studyという軸がありました。That’s exactly what I have been experiencing in Booth!.
優秀なClassmateと議論を戦わせ、“モミクチャ”になりながら、お互いの能力を高め合っていくという経験は、卒業後どのようなポジション、業界にいようとも非常に役立つものと確信しています。

② Chicagoに住むということ
MBAを目指す際に重要なポイントとしては、もちろん上記の通り“勉強”が最も大きな軸の一つであることは疑いの余地はない(!?)ですが、やはり所謂世間でいう中堅どころ・働き盛りの貴重な2年間を費やす場なのですから、住むところにもこだわりたいところです。
全米第3の都市Chicagoの魅力は観光ガイドを10分ほどパラパラめくってもらえば、すぐにお分かり頂けると思いますが、実際そういう場に住むというValueは非常に大きいです。
世界的に有名な美術館、都会のど真ん中に緑溢れるMillennium park、美味しいレストラン、Jazz bar、ミュージカル…これらが全て自宅から徒歩圏内にあるという街です。(マンション等の住居費は相対的に安めです。統計をきちんと取った訳ではないのですが、東京やNew Yorkと比較しても3割程度は安い、というイメージです。治安もDowntownは良好です。)
先日もBoothの友人夫妻と当方の妻と4人で有名なステーキハウスで肉の“カタマリ”と表現するにふさわしいステーキを食べ、有名なBarで本場のJazzを聞いた後、ほろ酔い気分で秋の夜風に吹かれながら歩いて自宅に帰った際に、「なんて贅沢な時間なのだろう」と実感しました。
独身の方も既婚でPartnerがいらっしゃる方も、遊び飽きない非常に魅力的な街です。
和食も比較的容易に手に入りますので、その面でも助かってます。

上記に加え、以前の投稿で書かれているBoothの魅力を毎日実感する日々であり、Chicago Booth及びChicagoでの生活が人生の中で最も思い出に残る1ページになるであろうことを既に確信しています。(でも勉強大変だなぁ。。。)

Booth生の息抜き

こんにちは、1年生のCHです。オリエンテーション中のゆったりした空気から一転、授業やリクルーティング活動、クラブ活動等が本格的に始まり、自分も含めて周囲は皆時間に追われて忙しくしています。

先輩方は口を揃えて「1年生の最初の学期が一番大変!」と仰っていましたが、本当にその通り。しかし、そんな中だからこそストレス発散は大切です。

ではBooth生はどのように息抜きをしているのでしょうか?

①TNDC (Thursday Night Drinking Club)
Boothの準(?)公式行事。TNDC Committeeなるものが存在するらしく、1年生と2年生の有志が毎週どこのクラブに集うかを企画します。
毎週木曜日の晩、シカゴのクラブをBooth生が(ほぼ)貸し切って、飲み、踊ります。
いわゆるclubbingですが、全く強制ではなく、毎週必ず出席するツワモノもいれば、「2年間を通じ5回しか行かなかった」という卒業生もいます。
私は一度だけ参加しましたが、あまりの人の多さに圧倒され途中で友達と帰ってきてしまいました。

②LPF (Liquidity Preference Function)
金曜日午後の授業が4時半に終了すると、学内の広場には軽食と飲み物がビュッフェスタイルで並びます。軽食とは言ってもタコスやミニハンバーガー、おつまみ、デザートなど結構本格的。ここで学生たちは思い思いに一週間を振り返りながら食事をします。

③パーティー
その他にも数々のパーティーが、毎週末どこかで開かれています。
ホームパーティーが一番多いように思います。私も友達のパーティーに何度か遊びに行きました。
お決まりのパターンとしては、大量のお酒+おつまみを持ち寄り、音楽を大音量でかけて、多くの人と入れ替わり立ち替わりおしゃべりする。。というものです。
開始時間は夜の9時-10時と遅く、その分終了時間も夜中過ぎになります。
帰る際はだいたいタクシーに4,5人で乗って帰途につきます。

Chicago Boothには(イメージ通り)勉強好きな学生が多いですが、同時に遊ぶことが大好きな学生もたくさんいます。
Work hard, play hardな生活を実現させるには、もってこいの環境と言えましょう。

Student Group (Career Focused)

はじめまして!Class of 2012のKOです。

シカゴでは快適で賑やかな夏は終わり、冬が全力疾走で向かってきている様です。暖かい日が続いていると思っていたら、一気に冷え込んできました。9月下旬から秋学期が始まるBoothでは、夏の終わりと共に、授業、就職活動、Student Group活動が一気に本格化します。

Student Groupについては、ちょうど先日からの勧誘が始まり、1年生は70を越えるグループを前に、絞りきれない、と愚痴を溢しながらグループ選定をしています。以前の投稿でも紹介されていますが、4~5グループ程度の掛け持ちを(しようと)している学生が多く、キャリア系2/地域・エスニシティ系1~2/ソーシャル・スポーツ系1~2というのがよく聞くポートフォリオかと思います。

今回は、私が紹介を聞いたクラブの一部を簡単に紹介したいと思います。(活動参加前なので、詳細はまた次回)

<就職支援系>
■Investment Banking Group: IBへの就職をサポートするグループ。ネットワーク/情報の質が合否を分ける就職活動において、同業界を目指す500名以上のBoothメンバーと共闘できる環境は素晴らしいと思います。(金融バックグラウンドが無いメンバーが)就職活動に必要なスキル・ネットワークを必要なタイミングで獲得できる様にスケジュール設計されており、Valuation・Financial Modelingトレーニングセミナー、コンペティションへの参加、モックインタビュー、レジュメレビュー、各ファームとのネットワーキングイベント等、思いつく限り、あらゆるリソースを取り揃えている様です。

■Management Consulting Group:IBほどテクニカルなハードスキルが就活に必要な業界ではないですが、ケースインタビュートレーニングや、各ファームのカルチャー・ワークスタイルを知り、ネットワークを作るためのイベントが充実しています。

MBA学生の最大の関心事項であろうキャリア構築に関わる領域だけあって、かなりの数のグループが存在し、各グループが工夫を凝らして運営されています。(例えば、Investment Management Groupは実際に1 million $の資産を運用して、ファンド運営に関するスキル構築に取り組んでいる様です。)また、スポンサー企業がついている事が多く、就職活動先から貰った資金を活用しながら、就活準備するという何とも贅沢な環境です。充実したキャリアサービスと共に、Booth学生が自由なキャリア構築が出来る機会を作り出しています。

<プロジェクト系>
■Business Solution Group:1年の秋学期に4-5名のチーム(2年生、実際のコンサルタントがメンターとしてサポート)を組み、外部企業に対してコンサルティングプロジェクトを行うグループ。毎年、10個程度のプロジェクトが用意されており、参加したいプロジェクトに応募する所から始まります。現地企業への成長戦略、マーケティング戦略、新製品開発等、興味深いコンサルネタが幅広く用意されています。私の前職はコンサルだったのですが、(純粋な)英語環境でのコンサルティングプロジェクトというのは、コミュニケーション能力の面などでストレッチが効かせそうなので興味を持っています。

■Chicago Global Citizens:Business Solution Groupと似たコンセプトで秋学期を中心にプロジェクトを行うグループ。但し、こちらのグループは発展途上国に対し、教育、福祉、貧困削減、紛争予防、等に関連したコンサルティングプロジェクトを行い支援していこうという趣旨で運営されています。こちらも毎年複数のプロジェクトが運営されていますが、今年はマイクロファイナンス・ファンドを組成するプロジェクト等が企画されている様です。

その他、Booth Entrepreneurship Through Acquisitionクラブでは、Searching Fundビジネス(投資家より資金を集め、小規模の企業を買収し、自らがターンアラウンドマネージャーとして運営をしExitまで持っていく、ミニPEの様なモデル)について、メンバーにトレーニングを行うと共に、実際に優良企業を発掘し、投資家と結びつける活動を行いExperiential Learningの機会を提供しているようです。Management LabやNew Venture Lab等のLab系クラスも含め、BoothではExperiential Leaningの機会が豊富に用意されています。理論を軽視する事無く、かつ学んだ理論をビジネスで応用する機会を与える。贅沢な学びの場がBoothには用意されているんだ、と実感をしました。(一方でコンサルティングプロジェクトを進めるためにはある程度の時間のコミットメントが必要です。あるクラスメートは、この2年間で起業するためにコミットメントが必要なプロジェクト形式のクラブ等は参加しないそうです。Experiential Learningを強調しつつも、その機会を押し付ける事はせず、貴重な2年間をどの活動に配分するかは学生の判断に任せる、というのもBoothらしいと思います。)

上記の様な、キャリアフォーカスな真面目なクラブ以外にも、Wine Club、Epicurean Club(とにかく美味しいものを食べて楽しもうというグループ)といったクラブや、Golf Club、Japan Club 、Chicago Asia Pacific Group(アジアに関心がある人達のネットワーキングの場を提供するとともに、アジアにおける学生の就職活動を提供をするグループ)等、他にも数々興味を引かれるクラブがありました。

こちらに来て数々のOpportunityに囲まれ、何を優先するか悩む日々が続いています。戦略は捨てる事なり、と言った人もいましたが、大量の選択肢を与える事でそのマインドを叩き込もうとしているのでしょうか。いや、それにしてもクラブ何に入ろうか・・・

それではまた!

Random Walk 2010

一年生のKです。

初めての投稿なので簡単に自己紹介させて頂きますと、大学卒業後、総合商社の金融部門で、トレーディングと商品組成、子会社の経営企画など様々な分野を担当してきました。留学の目的は、これまで様々な分野で仕事をしてきた結果、浅く広いキャリアになってしまったことに危機感があったので、Boothで専門性を深めたいと思ったためです。一流の講師陣に恵まれ、自由に科目を選択できるBoothのスタイルは、自分の目的に非常にあっていると思っています。

学校自体は先週始まったばかりなので、今回は、Booth入学直前(8月下旬)のビッグイベントであるRandom Walkについて、感じたことを書きたいと思います。(旅行先であるコスタリカは、自然に囲まれた(そして突如のスコールを含めて)素敵なところだったのですが、今回はコスタリカ自体の説明は割愛します。)

【Random Walkとは?】
GBC(the Graduate Business Council)というBoothの学生自治会が主催する、新入学生を対象とした1週間程度の旅行です。場所は世界中の約30カ国から自分で選択するようになっており、トリップリーダーも2年生(ボランティア)が務めるなど、学生の自主性を重んじるBoothの特徴がでた企画になっています。一つの旅行先は、大体15名程度のグループになっており、参加自体は、強制ではないものの、全体の約半分の学生が参加します。「仕事を辞めたから旅行したい」「学校が始まる前に友達を作りたい」「この際に普段は行けない所にいってみたい」など参加動機は様々ですが、ブラジルなどナイトライフが充実している国が好まれるように感じました。

私はというと、日本にいると南米に行くことが難しいので、最初はブラジルにしようと思っていましたが、すぐに定員に達してしまったので、Jordan/Israelを選択しました(死海、イスラム、中東に興味があったので)。ところが、旅行の1ヶ月前ほどに「日程に入ってるガザ地区が、ちょっとやばいことになってるけど、それでも参加しますか?まあ、『自己責任』だから良く考えて」というようなメールがトリップリーダーから着た為、急遽、行き先をコスタリカに変更しました。「自己責任」というフレーズが、非常にBoothらしいと思いました。

【メンバーについて】
私のグループは、トリップリーダー2名を含め計16名でしたが、構成はアメリカ人8名(中国系アメリカ人含む)、中国人2名、パキスタン人2名(夫婦)、台湾人1名、スペイン人1名、インド人1名、ということで日本人は私だけでした。

バックグラウンドとしては、商社(私)、PR会社、NPOが各1名づついた他は、経営コンサル・IB・PE・AM(Asset Management)といったプロフェッショナルファーム出身者が多く、卒業後もこうしたプロフェッショナルファームを目指す人が多かったです。

【Globish!】
商社で働いていたため英語環境にはそこそこ慣れ親しんでおり(?)、Boothの比較的高めのTOEFLのバー(ミニマム104点)もあったため、たかをくくっていましたが、実際旅行に出てみると、想像を絶するほど英語がわからなかったです。仕事だと背景知識と序列があるのでスムーズに会話が進むのですが、混沌とした環境でネイティブに囲まれてサバイブするのは並大抵のことではないと感じました。私自身の英語レベルはさておき、私が感じたところだと、英語レベルは出身エリアによって結構違いがあるように思えました。

Globish!

①アメリカ人の英語
同じアパートに住むメンバー4人でタクシーに乗って空港まで行ったのですが、「Lady Gagaがどうたらこうたら」など、アメリカで今ホットなトピックについてスラング交じりで話すので、はっきり言って何を言ってるのか略100%わかりませんでした。このとき、TOEFL英語と、アメリカ人の英語は似て非なるものだと悟りました。特に、文化(音楽など)・政治・宗教に関わる話をスラング混じりで言われると全く分らず、思わず「TOEFLでは、そんな使い方してなかった」と告白したところ、周りに爆笑されてしまいした。

②欧州人の英語
ドイツやフランス人は苦戦している感じですが、概して英語が上手い感じです。特に、文化や人種もアメリカ人によく似ているので、アメリカ人と会話が会うようでした。また、スペイン語やポルトガル語は、南米で抜群の威力を発揮するので、陽気な人柄もあり、現地の人とも結構交流していました。

③インド・パキスタンの英語
英語が公用語ということもあり、英語を使うこと自体には苦労していませんでした(当たり前か)。ただ独特のイントネーションには、本人も自覚があるようで悩んでました。それでも、所謂日本人英語よりは、アメリカ人に聞き取りやすいようで、会話で通じず困っている、ということは殆どありませんでした。

④アジア人の英語
日本人同様、他のアジア人も苦戦しているのだろうと思っていましたが、そんなことは全くなく、リスニング・スピーキングともに非常に上手い印象を受けました。アメリカに住んだことがない中国人もいましたが、かなり流暢に英語を使っていて、中国の教育水準の高さを感じました。ただ、前述のように文化や慣習に対する知識がないため、聞き取れても意味がわからない、という点に苦労していたみたいです。

【日の沈む日本経済と、東洋の神秘としての日本文化】
プリティウーマンやウォール街といった映画で、「Nikkei Heikin」や「Tokyo Market」という言葉が頻出していた80年代・90年代は昔のこととなってしまい、現在では残念ながら、アメリカ人の日本「経済」に対する関心は薄れ行くばかりです。日本企業のプレゼンス低下です。日本にいると、家電などマダマダ日本企業が奮闘している感じですが、ホテルや空港などのディスプレーはLGなどの他のアジア勢にとって替われてますし、ソニーやホンダなどグローバル化の進んだ会社は最早「日本」企業だと思われていないふしがあります。

勿論、日本経済に対する関心が低いのは、日本企業や経済の衰退だけに理由があるわけではありません。なぜならアメリカというのは非常に巨大なDomestic Marketで、その中でビジネスが完結できてしまうため、そもそも海外事情にそこまで関心が高いという訳ではないためです。昔上司が、「国際金融を理解したいのならWSJ(WallStreet Journal)ではなくFT(Financial Times)を読め」と言っていたことを思い出しました。ただ、不動産が弾け、莫大な財政赤字と深刻な雇用問題を抱えるアメリカが、今後パクスアメリカーナをエンジョイできるかどうかは不透明であり、日本のようにガラパゴス化してしまうのか、かつてのイギリスのようにウィンブルドン化するのかは、非常に興味深いところです。

一方で、日本「文化」に対する関心は、結構高かったです。高い教育水準、豊かな風土・文化、洗練された食文化、に対する関心は、リスペクトに近いものを感じました。実際、日本食はコスタリカの奥地にさえ浸透していました。日本は洋の東西が昇華された国であるため、欧米人からみて身近に感じるのかもしれません。また意外なものが日本的だとされているのもびっくりしました。僕は結構食べるほうなので、ランチも2プレート頼んでいたのですが、みんなから「Mr. Kobayashi」だといわれました。ホットドッグチャンピオンのMr. Kobayashiは、日本ではそれほどでもないですが、アメリカでは一番有名な日本人の一人だと言っても過言ではないようです。

またアメリカ人のクラブ好きは凄くて、この旅行中も何度もクラブに行きました。2,3件掛け持ちすることも珍しくなかったのですが、僕もクラブは好きなので楽しかったです。「日本では、昔パラパラというダンスが流行っていた」とミッキーマウスのパラパラを教えてあげたのですが、何故かメチャクチャ受けてしまい、彼らはクラブでもずっとパラパラを踊っていました(曲がレゲエとHip Hopであったのにもかかわらず、、、)。これも、日本文化に対するある種のリスペクトのようなものだと、好意的に解釈してます。

【メンバーにみるBoothのCareer志向】
やはりMBA学生において最大の関心事はCareerについてであり、この旅においても、コスタリカの大自然と、サルの鳴き声、に囲まれ、「I-Bankingがどうだ」「コンサルがどうだ」という話をずっとしている仲間もいました。この旅で彼らのキャリア感を交えて、思った点は以下の点でした。

・ Professional志向が高い
他のビジネススクールも同じかも知れませんが、Boothはキャリアにおけるプロフェッショナル志向が強い気がしました。日本人のポストMBAとしては、それほどポーションを占めていない、HFやアセットマネジメントへのキャリアチェンジも、他の国では結構人気だということもわかりました。既にコンサル、PE、投資銀行などのプロフェッショナルファームで働いてBoothに来た仲間が多いので、商社でGeneral Managerとしてのキャリアパスを歩んできた私にとっては新鮮でした。日本企業でよくあるジョブローテーションや、商社という形態、MBAがプロモーションの条件になっていない日本企業、などは、彼らには理解が難しいらしく、説明するのに大変苦労しました。

・ 隣の芝は青い
一方で、理想のキャリアは何だろう、という疑問も深まったと思います。コンサル出身の友達は投資銀行を、投資銀行出身者はコンサル、という感じで、キャリアチェンジを考えている友達が多かったのですが、話を聞いているうちに「隣の芝が青く見えているのでは?」という感じもしました。MBA学生の人気就職希望先であるPE出身者も3人いたのですが、彼らもPEから他の業界へのキャリアチェンジを考えているらしく、「理想のキャリアとは何か」という疑問が沸々とわいてきました。ただ、The Economistも指摘しているように、Boothのキャリアサービスは大変充実しており、各業界の説明会や、性格診断などの自己分析も見てくれるので2年後には、キャリア感がかなりはっきりしているかもしれません。
Full-Time MBA Ranking 2010

【最後に】
日本にいた時は、大して旅行好きでもなく、1泊でも十分という感じだったので、「8日間も異国の地で、見ず知らずの同級生と過ごすのはどうなんだろうか」と思っていましたが、結果的には凄く楽しくて、充実した日々でした。学校が始まった今でも、グループのメンバーで食事に行くことも多いし、何よりクラスで既に友達がいる、というのは私のようなインターナショナルにとっては心強いです。ROE(Return On English)は、グループメンバー中一番高かったのではないかと思ってます。