Pre MBAインターンについて

Class of 2022のYIです。

今年はCOVID-19の影響で各学校サマースクールがキャンセルとなったり、完全オンラインに移行したりと、MBA受験合格後の時間の使い方も例年とは異なる形になっています。また、Boothについては例年であれば、ランダムウォークと呼ばれる入学前に懇親を深めるための海外旅行が開催されますが、こちらもキャンセルとなってしまいました。

一方で、2020年は授業開始が9月21日(ただしオリエンテーションが8月31日から開始)となっており、合格してから渡航まで少し時間が空いていたことから、Pre MBAインターンをすることにしました。

留学同期を見てもPre MBAインターンをしていた人は非常に少ないですが、ぜひ挑戦して頂きたいと思います。私費留学の方が対象になるかと思いますが、以下具体的な動き方とそこで得られた経験、学びについて記載させて頂きます。

<インターン先の確保>

インターン先の候補としては①日系PEファンド、②コンサル、③スタートアップを考えていました。所謂外資系の大手のファームは組織が大きいこともあり、融通が利きづらいと思ったため候補として考えず、人数が少なくインターンの受け入れを検討してもらえそうなファームに絞って1社ずつお願いすることにしました。

具体的なアプローチ方法としては、MBA受験を通じて知り合ったアラムナイの方へのアプローチ、前職の上司の紹介という形で合計3社ほど当たり、有難いことに日系のコンサルで受け入れて頂けることになりました。

<インターン先での経験(業務内容、期間)>

当初は4週間を予定していましたが、渡航の時期を少し後ろ倒ししたこともあり、合計7週間のインターンをさせて頂くことができました。具体的な業務内容としては、①大手IT企業の中長期の経営計画策定のサポート、②スタートアップの資金調達のサポート、③日系企業の海外M&A案件のValuation、④日系企業の海外M&A案件のPre DDとなります。特に②についてはスタートアップと大手VCとの電話会議に参加させて頂くことができ、会議の臨場感を味わうことができました。

<インターンでの学び>

前職(総合商社)とは全く異なる環境で、インターン初期は議論になかなか参加できず苦労しましたが、インターンを通じ、クライアントから戦略コンサルが求められるアウトプット、クライアントが抱える課題へのアプローチ方法を学ぶことができました。またValuation、Pre DDについては参考書で理解はしていたものの、実務経験を得られたことが大きな収穫となりました。

<メリット/デメリット>

・メリット:MBA中のインターンの機会を有効活用できる

MBA中のインターン方法としては①サマーインターン(日本or現地)、②学期中のインターン(現地)の2つが挙げられます。サマーインターンは多くの人が1社、または2社でインターンをすることになりますが、Pre MBAインターンを活用することでさらにもう1社の仕事を経験することが可能となります。卒業後のキャリアを考える上で、一つでも多くの業界を経験できることは非常に大きなメリットです。

・デメリット:留学準備が疎かになる可能性がある

私の場合は英語力に不安があるにもかかわらず、インターン期間中は余裕がなく、英語学習の時間の確保ができませんでした。オンラインのサマースクールに参加し、英語力の底上げを図っている同級生もいた一方で、私は渡米してから英語には苦労しています。また学校から課される事前課題もありますので、それらへの対応が疎かにならないようにタイムマネージメントに留意して頂ければ、ほかにデメリットはないかと思います。

より詳細の話が聞きたい場合には、こちらのサイトを通じてか、直接ご連絡いただければ幸いです。

MBAとComputer ScienceのJoint Degree Program について

シカゴ大学には、MBAとMS in Computer Scienceの2つの修士号を取得できる「Joint MBA/MPCS program」があります。今回は、このプログラムについて紹介します。

(以前の紹介記事もあわせてお読みください。)

1.プログラムの概要

Joint MBA/MPCS programに参加するBooth学生は、MBAの授業に加えて、Computer Science(以下、CS)分野の授業をMPCS(Masters Program in CS)の学生に混じって履修します。

選考はMBAとMPCSとで別々に行われますが、MPCSには年2回、春と秋に出願できるため、Booth MBAに合格後または入学後に出願することも可能です。Boothに入学後(1年目の秋)に出願した場合は、2学期目のWinter QuarterからMPCSの授業が開始となりますが、卒業のタイミングは変わりません。

CSプログラムとしては珍しく理系バックグラウンドの有無は不問で、数学とプログラミングに関してはそれぞれimmersionクラスが用意されています。なお、これらの科目はplacement examに合格すれば履修が免除されます。

2.カリキュラム

卒業要件は、MBA14単位+ MPCS7単位(+上述のimmersionクラス2単位)=計21or23単位です。Booth MBAの卒業要件は20単位なので、卒業時に修士号を2つ取得できるにも関わらず必要単位数は然程変わらない点で、なかなか「おいしい」設計といえます。

ただし、CSの勉強に要する時間はMBAと比較して総じて長いため、実際の負担は相応に増加します。また、MBAの14単位のうち、9単位は必修(Core)と準必修(Function)科目に当てられるため、MBAで受講できる選択科目は5単位のみに限定される点には注意が必要です。(反面、biddingポイントには余裕が出る設計なので、MBAでは人気授業ばかり履修するといったことも可能です。)

MPCSのカリキュラムは、コアクラスと選択科目に分かれています。コアクラスは、プログラミング、アルゴリズム、コンピュータシステム・ネットワーク・アーキテクチャの各分野から4科目を履修します。選択科目には、ビッグデータ、データ分析、機械学習、ハイパフォーマンスコンピューティング、ソフトウェアエンジニアリング、モバイルアプリケーション開発、Web開発、クラウドコンピューティング、情報セキュリティ等のコースが含まれます。

各授業を履修するにあたっての制限は特段なく、MBA、MPCSのどの科目でも履修できますが、prerequisiteの要件が厳しい選択科目を履修したい場合等には、入学当初からの計画的なコースプランニングが求められます。

3.プログラムの魅力

CSバックグラウンドによる差別化

様々な業界において、企業経営とテクノロジーが密接不可分となる中、CS分野の理論と実践的なスキルは、他のMBA学生との差別化要因となり得ます。

卒業後にテック業界で働く場合は言うに及ばす、それ以外の業界でも、データ、デジタル、イノベーションに関わる部署で働く場合等には特に、CSバックグラウンドをレバレッジできると思います。

MBAとCSの相乗効果

CSは、MBAのホットトピックであるdata analyticsやentrepreneurshipとの親和性も高く、Boothの柔軟なカリキュラムとMPCSの授業を組合わせることで、「ビジネス+テクノロジー」のシナジーを最大化させるコースプランニングが可能になります。

例えば筆者の場合、先学期は「テック+アントレ」というテーマで、MBAでベンチャーファイナンスとマーケティングの授業を履修し、CSでアプリケーション開発とデータ関連の授業を履修しました。

面白い!

筆者は元々、テクノロジー(特にdata、AI分野)に関して、一般的な知識はあっても深いところでの理解ができていないという感覚があり、「このモヤモヤをMBAのついでに解消できれば」くらいの軽い気持ちでJoint degree programに応募しました。しかし、いざCSの勉強を始めてみると予想以上に面白く、最近では起業に向けてアプリ開発を行う等、とても「ついで」とは言い難い程にCSの世界にどっぷりつかっています。

また、MBAとCSの両方の組織に所属することで、シカゴ大学の幅広いリソースへのアクセスが可能となったことや、より幅広いバックグラウンドの人々との交流機会が増えたことも、留学中の楽しみの幅を大きく広げてくれているように思います。

4.まとめ

色々と書きましたが、個人的には、Joint MBA/MPCS programは「大変だけど面白い」の一言に尽きます。テクノロジーに興味があり新しいことに挑戦してみたい受験生の方は、ぜひ出願を検討してみていただければと思います。

Class of 2021 Lab Course体験談(後編:Consulting Lab)

皆さん、こんにちは。Class of 2021のT.Kです。

このエントリーでは、前編と後編に分け、Class of 2021の中でLab Courseを受講している2名に、実際にどんな授業なのかを話してもらいました。

今回は後編のBさんです(前編のエントリーはこちらをご覧ください)。

Bさん:Consulting Lab

  • まず、どんな授業かを簡単に教えて下さい。

    7人の生徒で構成されるチームに、1つクライアントとプロジェクトがアサインされ、10週間(今学期はリモート移行準備期間のため9週間)で、実際のビジネス課題にコンサルタントとして取り組む授業です。クライアントや具体的なケースの内容は様々ですが、傾向としてはある程度大企業がクライアントとなり、ケースの内容として今学期は新商品導入戦略、M&A戦略、マーケット開拓戦略などがありました。また、1チームには2~3人のKearneyマネージャークラスがコーチとしてアサインされ、成果物のレビューや、プロジェクトの進め方のアドバイスまで幅広くサポートをしてくれます。

    ちなみに、前期までStrategy Labというクラスが開講しており、今期からConsulting Labと名前が変更になりました。ただし、大まかな内容や、コアのプロジェクト部分に変更はありません。

  • 履修したい場合はどのようなプロセスがあるのですか。

    事前にアプリケーションを提出する必要があります。内容としては、レジュメを提出するほか、なぜこのクラスに興味を持ったのかをショートエッセイの形でまとめて提出しました。また、事前に授業の内容やアプリケーションの中身についてオリエンテーションの形で説明会が開催されました(参加は任意)。ちなみに選考に通ればビッドポイントは必要ありません。

  • なぜこの授業に興味を持ったのですか。

    MBA卒業後のキャリアとして戦略コンサルティングを志望しており、この授業がサマーインターンシップ前の良い準備になりそうだと考えていたためです。また、この講義を主導している教授が、元Deanで、LEADプログラムを始めたHarry Davis教授であり、個人的にBoothに来たからにはぜひ一度Harry Davis教授の授業を履修したいと思っていました。

  • チームや関与するプロジェクトはどのようにアサインされますか。

    アプリケーションの案内と同時に、今学期のプロジェクト内容が発表され、各自アプリケーションの中で希望を出します。今学期は5つのプロジェクトの中から希望を出しました。私は第一希望のプロジェクトに決まりましたが、チームメイトによると必ずしも全員第一希望という訳ではなく、第二希望以下の人もいる様です。事前の説明では、なるべく希望は考慮するという説明がありましたが、おそらくバックグラウンド等も考慮して決められているようです。

  • 授業時間では毎週どのようなことをやっていますか。

    3時間の授業のうち、半分はチームミーティングの時間に充ててよく、実質的な講義はもう半分の1.5時間です。講義内容は週によって異なりますが、ゲストスピーカー(今期はKearneyのグローバルチェアマン)が来て講演、事前にリーディング課題が与えられてディスカッション(リーダーシップ系)、プロジェクトの進行状況に関するクラスプレゼンテーション、SDIアセスメント(他者との関わり方についての分析モジュール)と様々です。全体としては、コンサルティングについて理解を深めるのみならず。コンサルティングという題材を通じて、自身のリーダーシップや、チームセッティングにおける立ち振る舞いを深く考えることができ、非常に多くの学びがありました。

  • 授業外の準備ではどのようなことをやっていますか。

    授業外では、毎週1回セッティングするクライアントとのアップデートミーティングに向けて、各自リサーチや分析を行い、チームとして一つの報告資料(コンサルタントらしくスライドを大量に作成します)にまとめてプレゼンテーションします。その過程で、週1回程度Kearneyコーチとミーティングし、加えて週1~2回程度チームミーティングを行い、資料をまとめていきます。

    特筆すべき点として、今期はすべてリモートでの授業実施となっているため、クライアントも含めてすべてのミーティングがオンライン(Zoom)で行われました。今後スタンダードになっていくであろうリモートワーキングについて、オンラインでのミーティングの進め方、議論の膨らませ方、リモートでのプロジェクトのマネジメントについても実体験を通じて試行錯誤することになり、非常に良い勉強になりました。

    また、私はプロジェクトマネージャーのロールを希望してやらせてもらい、全般的なスケジュール管理や、各自のタスクコントロールについても担当しました。リモートという非常に特殊な状況で、どのようにプロジェクトを軌道に乗せ、どのようにチームメンバーをモチベートしていくか、という課題について、9週間かけてじっくり考え、取り組むことが出来ました。

  • 最終成果物はどのようなものですか。

    最終週にクライアントへプレゼンテーションを行います。私の場合はクライアントのVPクラスまで含めたかなり大掛かりなミーティングを、2日間に分け計3時間行いました。

  • 各自の成績はどのように評価されますか。

    プロジェクトへの全般的な貢献や最終成果物を中心に、クラスへの参加度や、学期中3回提出するReflection Paper(自身の気づきなどをまとめたレポート)などで評価がなされます。

  • 毎週のコミットメント(授業外時間)はどれくらいですか。

    週3回以上のミーティングに加えて、資料作成や、リサーチ、授業への準備を含めると毎週コンスタントに10時間程度はかかっていたと思います。

  • 他の授業との両立はどのように行っていますか?

    今学期は絶対Consulting Labを取ろうと決めていたことと、前期Strategy Labを履修した先輩からの情報等で、コミットメントが10時間程度かかることを聞いていたので、この授業以外の履修を意図的に軽めの負荷の授業にしました。また、普段だとかなりの数の会議をこなさなければいけないため、移動時間だけでもかなりの時間になりそうですが、今期はすべてリモートだったので、その分の時間は削減され、効率化されたと思います。

  • 履修してみて率直に良かった点と、チャレンジングだった点を教えて下さい。

    Labというだけあり、実際の企業に対して、実際にコンサルティングプロジェクトを遂行する経験はなかなかできるものではなく、非常に貴重だと思います。また、モチベーションの高いチームメンバーや、コーチとの交流から得られるもの、学べるものも非常に多いです。加えて、週に1回クライアントに対してプレゼンテーションをする機会があるため、きちんと役割を貰えればプレゼンテーションの良い練習にもなると思います。個人的にはHarry Davis教授からリーダーシップについて講義を受けることが出来たこと、何回かチームディスカッションに15分ほど顔を出してくれ、チェックインという形でアドバイスを貰えたことは一生の財産になると思いました。

    ただし、おそらく通常の仕事として行うコンサルティングプロジェクトと比べると、授業の一環として行っている分一定の緩さがあると思うので、既にコンサルティング経験がある人や、コンサルファーム出身の人にとっては、学びが少ないのかもしれません。

  • どのような人にこの授業をお勧めしますか。

    過去にコンサルティングプロジェクト経験がない人で、MBA後のキャリアとしてコンサルティングを目指している人には非常にお勧めです。また、Harry Davis教授が現在受け持つ数少ない授業の一つ(現在Consulting LabとLeadership Studioの2つのみ)であるため、教授の講義を受けたい人にとっては候補の一つになるでしょう。


いかがでしたでしょうか。

こちらの体験談が、少しでも皆様のイメージづくりに役立てば幸いです。

Class of 2021 Lab Course体験談(前編:Lab in Developing New Products and Services)

皆さん、こんにちは。Class of 2021のT.Kです。

今回は、Boothの授業の中でも特徴的、かつ受験者の皆様の関心も高い、Lab Courseについてご紹介できればと思います。

そもそもLab Courseとは、いわゆるHands-On Learningに位置づけられる授業で、今まで学んできたことが実際のビジネスにどう適用できるのか、実際にプロジェクトを遂行したり、インターンをしたりしながら学ぶ、体験型の授業になります。Boothには常時数多くのLab Courseが開講しており、また非常にフレキシブルなカリキュラムと相まって、1年目のうちから興味のあるLab Courseにはどんどん参加することが出来ます。

このエントリーでは、前編と後編に分け、Class of 2021の中でLab Courseを受講している2名に、実際にどんな授業なのかを話してもらいました。

Aさん:Lab in Developing New Products and Services

  • まず、どんな授業かを簡単に教えて下さい。

    デザインシンキングのコンセプトを学び、実企業の新商品考案プロジェクトにおいて実践する授業です。プロジェクトの核となる顧客ニーズの把握のため、「User testing」というマーケティングツールを使います。本来有料サービスですが、プロジェクトを持ち込んでいる企業が負担してくれます。授業を通じて、新しい商品やサービスを生み出す”型”を学ぶことが出来ます。

  • 履修したい場合はどのようなプロセスがあるのですか。

    アプリケーションを出す必要があります。志望動機や自分が携わりたいプロジェクトなどを記入しました。授業が始まる1か月程前にアプリケーションが開く旨のメールを受取り、授業開始の約1週間前に合否の連絡があったと思います。

  • なぜこの授業に興味を持ったのですか。

    デザインシンキングを用いた新商品・サービス開発のプロセスを経験してみたかったからです。実際に授業を受け、マーケティングソフトを活用しつつ、以下のようなデザインシンキングに関する工程を全て経験することができた点、とても満足しています。

    1.自分達で考えた基準によりフィルタリングした人たちをインタビューし、潜在的なニーズを把握

    2.グループで多くのアイデアをだし、自分達で設けた基準により全アイデアを採点する

    3.プロトタイプを作る

    4.見込み客にプロトタイプを試してもらい、フィードバックを得る

    5.商品を改善する

  • チームや関与するプロジェクトはどのようにアサインされますか。

    アプリケーションの際に第三希望まで伝え、受講者の希望を踏まえて教授がアサインしているようです。私は幸いにも第一希望のプロジェクトに入ることができました。

  • 授業時間では毎週どのようなことをやっていますか。

    デザインシンキングに関する教授によるレクチャー、ゲストスピーカー、グループワークで学んだコンセプトの実践と、幅広くインプットを中心に学びました。

  • 授業外の準備ではどのようなことをやっていますか。

    保険業界に関するプロジェクトに携わっているため、米国の保険市場に関するセカンダリーリサーチ、プライマリーリサーチを主に実施しました。具体的には、セカンダリーとしては、IBISのマーケットリサーチの読み込み、大手保険会社の10Kの読み込み、プライマリーとしては、インシュアテック企業に努めるブース卒業生へのインタビューなどを行いました。

  • 最終成果物はどのようなものですか。

    顧客へのプレゼンテーションが最終成果物となります。

  • 各自の成績はどのように評価されますか。

    成績については、学期中に提出する3つのレポート(チーム毎に提出)が90%、授業参加が10%で評価されるようです。チームメイト同士が相互に評価することを求められるのですが、それが個人としての成績の調整要素になるようです。

  • 毎週のコミットメント(授業外時間)はどれくらいですか。

    プロジェクトとチームメンバーのコミットメントに大きくよると思います。私は、3~10時間くらいでした。特にインタビュー準備(対象者の選定基準を作り、インタビューの質問項目を準備する)のときは忙しかったです。また、毎週授業時間外で約30分のチームミーティングを行っていました。

  • 他の授業との両立はどのように行っていますか?

    今学期受講する授業数を、この授業も含めて3つにしました。ただし、私のグループのプロジェクトに対するコミットメントはWeek 5あたりからぐっと下がったため、それ以降個人的な負荷は大いに軽くなりました笑。

  • 履修してみて率直に良かった点と、チャレンジングだった点を教えて下さい。

    良かった点は、授業を通じてデザインシンキングのコンセプトを学び、実践することができたことです。対象となる人たちを観察し、潜在的にニーズを発見する手法を学ぶことができたこと、その後プロトタイプを直ぐに見込み客に当てはめてテストすることなど、学びは多かったと思います。

    一方、プロジェクトの選定については不確定要素も多く、ハンドリングが難しかったです。参加している企業が解決したい問題とこの授業の流れ(使用するプラットフォームや求められる課題の内容)に少しギャップがあり、授業内で解決が難しい課題だと認識した私達のチームは、プロジェクトに対するモチベーションの維持にも苦労しました。企業側と最初から腹を割った話ができていれば、もう少しやりようはあったのではとの反省もあります。

  • どのような人にこの授業をお勧めしますか。

    革新的なサービスや商品を作りたいと考えている方。新商品考案に向けた再現可能なプロセスを学ぶので、そのような方にとっては特にテイクアウェイは大きいと思います。


いかがでしたでしょうか。

後編では、Consulting Labを履修しているBさんに話をお聞きしました。こちらもぜひ併せてご覧ください。

2020 Winter Quarter 授業の履修状況

皆さん、こんにちは。Class of 2021のT.KとY.Tです。

恒例となりました、冬学期の授業の履修状況について2学年合わせてお伝えします。先ず1年生の場合は、多くが秋学期にFoundationsを取り揃えたため、冬学期からはそれぞれの希望に従った授業を取り始めている傾向がありますが、特に、準必修にあたるFunctionsの履修が多くなっています。一方で、2年生の場合は、Electivesや、Foundations, Functionsの上級レベルのクラスを中心に、それぞれが思い思いの授業を履修していることが見て取れます。

1年生の履修状況

2020+winter+class+1Ys-1.jpg

2年生の履修状況

2020+winter+class+2Ys-1.jpg

このうち、いくつかの授業について詳細を各履修者に記載してもらいました。

Financial Econometrics

金融に係る時系列分析に特化した授業であり、高校時代を最後に全く統計を手にしていない私にでも追いつけるよう教授から丁寧に教えて貰えます。週に3時間の授業に加えて、PhDが2時間のReview Sessionを設けてくれるのでコスパはとても良いと考えています。(冗談です)

内容としては、過去データに基づきモノの価格及びボラティリティを予測することに特化しています。主にARMA、ARCH (GARCH含む), VAR(ECM含む)を学びます。特に、以下の通りVolatilityを予測するARCH及び、複数の因子の関係を併せて分析できるVARはとても強力である為、学び甲斐があります。

  • ARCH事態は単純なモデルでありますが、様々な因子を追加して行くことでかなり予測度が高いモデルが出来上がります。特にTARCH等は様々な応用が可能となります。

  • VARは各国中央銀行でのGDP成長率や著名なHigh Frequency Quant Fundの予測モデルに使用されていることもあり、実務上も役に立つと考えています。Bid/AskのHigh Frequency 価格をベースに様々な因子(ボラティリティ・取引数量・市場の厚み)を上乗せすることでBid/Ask Spread取引に活かせるという実際の取引用モデルを作り上げたりします。

自分で作り上げたモデルの確認及び注意事項等も教わる為、既存の金融商品(株・債券・コモディティ)以外の分析にも応用できる力が身に就くと個人的には感じています。(Class of 2020 L.M.)

(注)

ARMA = Autoregressive Moving Average Model

ARCH = Autoregressive Conditional Heteroskedasticity: GARCHのGはGeneralized; TARCHのTはThreshold

VAR = Vector Autoregression

ECM = Error Correction Model

Quantitative Portfolio Management

αを追求する授業です。カッコよく書いてみましたが、モノの価格がどの様な要因でMarketをOutperformしているか教えて貰える授業です。金融に詳しい方にはFactor TradingやFama-French 5-factorモデル等を学ぶと言えば通じるのかもしれません。残念ながら流動性の高い「株・債券」ではOutperformする要因(Factor)は既に市場全体に知れ渡っている為、特に利益が出るようには個人的には思えません。米国では各Factorに合わせたETFも出回っている為、Hedge Fundに投資できない個人投資家でも(MBA取得するより遥かに安い手数料で)Factor Exposureは得られる状態です。結論からするとαはもう世界に存在しない様に思えますが...そうでもないです。

流動性が低いPEやコモディティ等において同じ考え方を用いてトレーディングを行っているファンドも出てきており、商売においてFactorを学んでおいて損はないと感じてます。Mutual Fund/Hedge Fund志望の方は必要不可欠ですが、PE/コモディティ商売に係る方にも是非受講して頂きたい授業の一つです。更に、Ralph Koijen教授も流動性がない他アセットクラスに関する研究を進めている為、いつでも相談に乗ってくれます。(Class of 2020 L.M.)

Digital and Algorithmic Marketing

デジタルマーケティングの領域で、アルゴリズムを活用した意思決定の仕方を学ぶ授業です。Targeting, Recommendation Systems, Content Optimization, Dynamic Pricingなどのテーマを毎週一つずつ消化していきますが、題材事例の多くが教授が過去に関与した企業やプロジェクト(Verizon, Eli Lilly, Sprint, Ziprecruiterなど)からとられており、データ解析の力をどう使って顧客企業の利益を伸ばすのかのプロセスが教授の実体験をもとに紹介されるなど、実践志向の強い授業内容です。機械学習の代表的なアルゴリズムは一通りさらっと触れられますが、アルゴリズムは意思決定のためのツールに過ぎないと位置づけられているため、コーディングなどのウェイトは低く、むしろ仮説構築や消費者購買行動のモデル化など、マーケターとして必要な意思決定スキルを磨くことに軸足が置かれています。このアプローチは、一つ一つのデジタルマーケティング手法やツールのほとんどは数年後には陳腐化してしまうという教授の考え方の裏返しであり、比較的新しい授業ながらDisciplined-Based Approachを重視するBoothらしい授業だと感じます。なお、この授業で学んだ内容を実地で試したいという学生向けに、Algorithmic Marketing Lab(Lab = 企業からの案件を基にしたプロジェクト型授業)も次学期に連続開講されています。(Class of 2020 J.Y.)

Merger & Acquisition Strategy

M&Aにおけるターゲットの選定・ディールの実行・実行後のインテグレーションにおける戦略のキーポイントを学ぶ授業です。題材自体は普遍的なものですが、実はBoothの全授業の中でも一・二を争う人気の授業となっています(履修に必要なポイントで換算)。

この授業の大きな特徴は、理論とケーススタディを非常にうまく組み合わせている事です。理論に関しては、M&Aの目的(Scaleの拡大 / Scopeの拡大 / Capabilityの取得)に始まり、ターゲットの業種の絞り込み、インテグレーションの度合い(Fully Integrate / Partially Integrate / Keep separate)といった多方面の課題について、実証研究に裏打ちされ、また実際に戦略コンサルティングファーム等で用いられているフレームワークを多数紹介します。次にケーススタディの段階では、これらの理論を現実世界に応用すべく、過去に行われたディールに関する資料を分析し、授業でディスカッションをするという形式が取られています。また最終プロジェクトでは、4-5人のチームで一つの企業を選択し、授業で学習したフレームワークを用いながら、その企業におけるM&Aのターゲット企業の選定・インテグレーションの戦略等に関する提言を行います。

この授業のスタイルは、複雑な事象を解明するためのフレームワークを学び、分析力を養い、現実の問題解決に結びつけるというという意味で、Chicago Approach (こちらをご参照ください)をうまく体現していると思います。(Class of 2020 T.H.)


The Study of Behavioral Economics

経済学と心理学を融合した行動経済学(2017年ノーベル経済学賞のRichard Thaler<Booth教授>が有名)の考え方やビジネス・政策への示唆について幅広く学ぶ人気授業です。Boothには所謂Behavioral系の授業が他にも多くありますが、この授業は特に学術研究の紹介に重点を置いており、毎回の予習課題では学術論文を読みます。一方、当授業担当のPope教授は研究の傍らAmazonでアドバイザーも務めるなど実際の企業活動への応用にも明るく、学術研究が企業の問題解決にどのように繋がり、そこから次の学術研究にどのようにFeedbackされていくかという流れを学ぶことができたのが魅力的でした。

授業のスタイルは、その週のテーマに沿った学術研究成果を紹介しながら実際の企業/消費者行動にみられる類似事例を挙げていく講義型です。もっとも、多種多様なバックグラウンドを持つ学生の仕事や生活から得た実体験も引き出しながら進めるInteractiveなもので、終盤には、実際に研究で使われているRandom Sample SurveyのPlatformに載せる質問票を自ら考えるProjectが課され、授業内で実際にSurveyを実施して結果をみるというプロセスを体験できます。単に過去の研究の紹介に留まることなく、日々の仕事や生活において行動経済学的見地から考える習慣を身に着ける良い訓練になったと思います。(Class of 2021 H.M.)

Strategic Leadership in Management Networks

社会的ネットワークによって個人・組織がどのように競争優位性をもつかについて学ぶ授業です。ここでいう社会的ネットワークとは、職場での上司・同僚から、私的な友人・知人まで、個々人がもつあらゆる人的なつながりのことを指します。日本ではあまり馴染みのない分野かもしれませんが、欧米ではネットワークが非常に重視されており、Boothでの人気授業の一つとなっております。教授は次のノーベル経済学賞候補として挙げられているほどの方で、これまでの膨大な実証研究に裏打ちされた理論について、データだけでなく適宜映像教材やケースを交えながら解説していきます。

授業の前半は、まず社会的ネットワークをclosed networkとbrokerに分類するところからスタートし、これらclosed networkとbrokerの特徴や留意点を教授が解説していきます。授業の後半では、ケーススタディを通じてこれまで学んだ理論が実際の会社組織でどのように機能しているかを学んでいきます。また、授業を通じて自分自身の社会的ネットワークについても可視化し、分析を行います。これまで自分自身の社会的ネットワークを体系化された理論に基づいて分析することはなかったため、新たな気づきが多く、大変参考になりました。(Class of 2021 S.N.)