Class of 2020のRKです。今回は、Boothにおけるヘルスケアのオポチュニティとして、GPHAP(Graduate Program in Health Administration and Policy)(https://www.ssa.uchicago.edu/gphap)について紹介します。長文ですが、ヘルスケアに興味のある方はぜひ読んでみて下さい。
本プログラムは、Boothに加え、Harris School of Public Policy、Law School、Pritzker School of Medicine、School of Social Service Administrationの学生から構成され(1学年約50人)、学際的な視点でヘルスケアを学ぶ、1934年から続く伝統的なCertificate Courseです。アプリケーションは年によって変動があると思いますが、9月初旬がエッセイの提出期限で、9月中に選考結果が判明します。プログラムの概要について、入学後の3カ月で経験したことや今後の計画を中心に紹介させて頂きます。(詳細は、上記ホームページ内の”GPHAP Program Requirements”をご参照下さい。)
プログラム概要
■Academic
Boothに限らず上記のスクールに設置されているヘルスケア関連の授業を、自身の興味に従って、卒業までに最低4つ履修することが求められます。授業の内容は、米国医療の仕組み、医療経済、医療に関する法律・制度設計、病院のオペレーション分析(Boothで唯一ヘルスケア専門の授業)など、多岐に亘ります。私は、1年生の冬学期・春学期で、病院のオペレーション分析の授業と、Harrisに設置されている医療経済の授業を履修する予定です。
■Practical
座学に留まらず、ヘルスケア業界の現場を経験することが求められます。特徴的なオポチュニティとしては、シカゴ大学附属病院でのインターンシップや、ヘルスケア領域の研究をしている教授のリサーチアシスタントが挙げられ、全米有数の大病院にて病院内のオペレーション改善や、プライマリケアや地域医療の仕組み作りの活動に参画することができます。これらは有給であることからも相応のコミットメントが求められますが、特にプロバイダー(医療機関)やコンサルティング業界に興味がある学生にとっては、非常に有意義なプログラムとなっています。尚、私はIGNITE(http://macyfoundation.org/news/entry/ignite-change-improving-care-interprofessional)というプログラムにリサーチアシスタントとして参加し、内科医でメディカルスクールの教授の下、チーム医療の仕組み作りに携わることになりました。
■Co-curriculars
より幅広い視点かつ最新のトレンドを掴むために、シカゴ大学内で行われているセミナーに一定数出席し、write-upを提出することが求められています。先日、シカゴ大学のみならず、テキサス大学やハーバード大学からも専門家が出席した”Advancing Population Health Management Through Medical Education, Health Policy, and System Change”というカンファレンスに出席しました。各大学病院の実例を用いながら、Value-Based Careが求められる中で、プロバイダーはどのような内部体制を敷き、外部パートナーとどのように連携をしながら、低コストで高品質の医療サービスを提供していくべきかという議論がなされました。プロバイダー自体が一経営体として、将来の投資のための利益も確保して持続的な経営を行いながら、如何に地域医療に貢献するかという見方をしていることが興味深かったです。私の知る限りでは、日本でもこうした議論がされ始めていますが、実際に病院の全ての部門を巻き込む動きには達していないという認識をしています。そのボトルネックとして、診療報酬制度により、病院の各科が低コストかつ高品質の医療サービスを目指す強い動機及び実行力がないという構造的な要因もあると思います。しかしながら、こうした構造の中でも、病院が自身で変えられる部分について深く学んでいこうと考えるようになり、単なるオペレーション改善に留まらない、病院マネジメントに対する興味を強くした一日でした。
尚、セミナーは下記のようなものがあります。(勿論、これらのみならず、GPHAPのメーリングリストで山のような情報が毎週送られてきます。)
・The center for health administration studies, Michael M. Davis Lecture Series (https://chas.uchicago.edu/events/mdl/)
・MacLean Center, Lecture Series Program (https://macleanethics.uchicago.edu/events/seminar_series/http_macleanethics.uchicago.edu_events_seminar_series)
・UChicago Department of Public Health Sciences Lecture Series (http://health.bsd.uchicago.edu/Seminars)
終わりに
米国のヘルスケア業界は、「アプリ等のテックはシリコンバレー、医療機器はサンディエゴ、製薬はボストン」という地理的な分化が進んでおり、シカゴはそうした地域に比べて産業としてのヘルスケアの盛り上がりは決して大きくはないと思いますが、Boothにはヘルスケアのリソースが豊富にあることを少しでも感じて頂ければ嬉しく思います。プロバイダーや政策当事者の話を中心にしてしまいましたが、Polsky Centerを通じて、シカゴ大学発の製薬や医療機器のベンチャー企業でのインターンや、それらの会社にVCの立場で関わることも可能です。従って、興味分野の解像度を高くしてそれなりの努力をすれば、何かしらのオポチュニティを獲得し、BoothのFlexibilityを十分に活用しながら1年生の秋学期から、いきなり自分の興味のど真ん中の活動に専念することができます。
追加で聞きたいことなどあれば、いつでもご連絡下さい!セカンドラウンドのエッセイ執筆が本格化すると思いますが、是非とも体調にはお気を付けて頂き、納得行くMBA受験をされることを願っております。