あと一学期

2年生のCHです。今学期は後2週間ほどで終了。春休みを挟んだらついに最終学期(春学期)に突入し、6月には卒業です。
「あと1学期ある」と思うと、何となく卒業は先のことのように感じられますが、1学期=10週間なので、学校に来るのは賞味12週間を残すのみと思うと本当にあっという間にMBA生活が終わってしまいます。
とりわけBoothでは、授業を早め早めに履修して3月に卒業ということも可能です。
私も仲の良い友人で少なくとも3名は3月に卒業し、その内2名はそれぞれの母国に帰国してしまいます。残された時間をいかに過ごすか。。まず皆が考えるのは、最後の学期はなるべく勉強の負荷が比較的軽い科目を履修し、友人同士で「思い出づくり」に勤しむことです。ただBoothは最終学期にも魅力的な科目は多数開講されます。それなりにworkloadが重い科目も含まれています。そこで我々は迷う訳です。学生の身分を活かして腰を据えて勉強出来る時間はもう滅多にない。ならば、しっかり勉強して卒業した方がいいのかしら、と。
人それぞれ優先順位は異なりますが、卒業したら皆、アメリカ各地・世界各地に散らばってしまいます。
もう二度と会わない同級生もいるかもしれない。そのように考えると、わずかながら「思い出づくり」に重点が置かれがちな印象を受けます。実際今年に入ってから、友人と食事したり飲みに行ったりする回数はぐっと増えました。また、週末を使って旅行をしようという話も(どの程度実現するかは不明ですが)良くしています。

考えてみれば、MBAは不思議な空間です。
学生がアメリカ中・世界中から1000人近く集い、2年間同じ空気を吸い、当たり前のように毎日顔を合わせ、また世界各地に散らばって行き様々なキャリアを歩み始める。MBA取得のメリットとして良く挙げられる「世界中に出来る人的ネットワーク」ですが、正直言ってビジネススクール入学前は今一つピンと来ませんでした。日本にいても、例えば外資系企業に勤めれば外国人・日本人入り混じったネットワークが出来るじゃないか。。と考えていました。
今になってみると「世界中に出来る人的ネットワーク」の意味が何となく、肌感覚で分かってきたように思います。共に悩んだり、喜んだりした間柄は、単なる仕事上の繋がりよりも一層濃いですし、心強いものです。
あと12週間でこの生活が終われば、シカゴでのMBA生活は夢であったように感じられるのでしょう。
でもこのネットワークは強固に実態があるものです。最終学期は、更にネットワークを深めるべく、思い出づくりに勤しもうと思います。書いていて寂しくなってきましたが、迫りくる期末試験の勉強をしなければ。。

冬学期

2年生のTSです。
昨年のこの時期は最寄の駅から学校まで歩く10分程度の時間も嫌になる程寒い日もありましたが、
ここのところはあまり寒さが厳しくなく、最低気温が氷点下にもならない(摂氏で)日々が続いており、
比較的快適です。卒業のために履修しなければいけない科目群もほぼ履修したので、今学期は私の関心の高い
Quants/Economics寄りの科目を中心に履修しています。
その中でも特に興味深いのがAdvanced Investments。
かのEugene Famaの弟子であるJohn Cochraneが教授を務めており、過去20年間位に発表された論文を基に、
証券投資や金融市場に関する動向を学ぶ授業です。
PhDレベルとまではいきませんが、恐らくMBAレベルのファイナンスの授業としては最高峰の一つでは
ないかと思うほどレベルは高く、毎週知的好奇心をくすぐられる授業を展開してくれます。
(その分ワークロードは重いですが。。。)

万人に受ける授業とは決して言えないと思いますが、生徒側の幅広い学習ニーズに合った授業を提供
してくれるシカゴ・ブースの懐の広さを示す例の一つだと思います。

Booth Japan Trip 2012開催!!

二年生のWです。
今、シカゴは冬の真っただ中でとても寒いです。そんな中、この春休み開催のJapan Tripの準備に追われ忙しい日々を送っています。Boothでは、毎年、一週間の春休みを使って学生を日本に案内するというJapan Tripを行っています。他のMBA Schoolでは、日本の有名な企業を訪問するようなところもあるようですが、Boothの場合、春休みが他校と比して短いため特に企業訪問などはせず「お楽しみ」旅行といった趣です。昨年は、約50人の学生を連れて開催予定だったのですが、3月11日の地震の影響でキャンセルせざるをえなくなったという悲しい経緯がありました。

今年のJapan Tripの準備にあたっては、ニュースで外国人訪日観光客の激減が伝えられていたり円高で旅行代金もかなり高くなっているので、今年、まともにトリップを開催できるほど人数が集まるかどうか懸念していました。しかし、蓋を開けてみると現時点で45人近くの参加希望者がおり、日本への関心の高さを感じさせられるという嬉しいサプライズがありました。アメリカのMBAで学んでいると、ビジネスという観点からは日本への興味は年々薄れているのだろうな、と悲しいことながら実感させられることが多いのですが、伝統文化、食文化、マンガ、各種のサブカルチャーという観点からは日本は引き続き高い関心を集める魅力的な国であると感じさせられます。

かなりこの旅行に期待している参加者も多いですが、その期待をさらに上回るほど楽しんでもらえるよう頑張りたいところです。

シカゴ大学白熱教室!?

2年生のKSです。シカゴ大学は、教授陣のクオリティーの高さを一番の売りにしているだけあって、どの学期もコースが充実しているのですが、冬学期は4学期の中で最もコースが充実しているといわれています。(教授陣の多くが春から秋を研究期間に充てているため。)今期は、StartUp, Governance, Regression, Business Policy, M&A Accounting, International Econと、様々な分野を履修していますが、どれもテイクアウェイが多く、毎回授業が楽しみです。

今までとった約20科目の中でも、Business Policyは、かなり異色の授業です。Business Policyという名前からは、コンプライアンスやガバナンスをイメージされるかもしれませんが、実際はPhilosophy in Career and Business といった感じの内容となっており、「リーダーとは何か」「成功とは何か」「個人や企業のゴールを何に設定するのか」といったテーマについて議論をしていきます。AccountingやFinanceなどと違って、答えのない世界の議論なので賛否両論ありますが、70人の定員(コースとしては1番多いレベルですが)に収まりきらず、毎回立ち見が出るほどの人気授業です。ファシリテーターを務める教授は、Deanも務めたHarry Davisで、彼はChicago Booth唯一の必修科目であるLEADの創設者でもあります。Deanとしての実際のリーダーシップや失敗経験などを直に聴けるのも、この科目の醍醐味です。

この授業が面白いのは、哲学めいたテーマながらも、”Analytic Thinking” ”Artistic Thinking” ”Pragmatic Thinking”という3つのフレームワークに基づいて、ディスカッションが進められる点です。通常のMBAの授業は、マーケティングモデルやバリュエーションなどAnalytic Skillsを土台にしたものが多いのですが、この授業で言う” Analytic Thinking”は、少し次元が異なり、リーダーの人格や企業文化についてまで言及されます。そして、人格や企業文化の捉え方は、我々生徒の価値観が強く反映されるため、しばしばコンフリクトを生みます。例えば、今日の授業では、Jobsの人格とAppleの企業行動についてディスカッションがありましたが、例えば彼のカリスマ性に主眼を置くか、彼がアスペルガーだった(とされる)ことに主眼を置くか、ではAppleという企業の捕らえ方が全く異なってくるため、1時間以上も議論が続きました。また、先週の課題では、ある企業のケースを呼んで、そこからコアコンピタンスを抽出して、高校生に説明する文章を書く、というものでしたが、10ページからなるケースのどの点に重要性を見出すか、そこからどのようなイメージを抽出し、ビジネスモデルとビジネスタームを全く知らない高校生にどのように説明するか、ということは、個々人の価値観や経験に左右される面も多く、企業や個人、そして自分自身の複雑性について理解する上で勉強になりました。

また、一方で”Artistic”ということに焦点が当てられているのも、この科目の特異な点です。”A whole new mind”などの影響もあり、日本でもDesign Thinkingなどが流行っていますが、この授業も、最新の心理学やハイフェッツなどの研究を踏まえてデザインされています。MBAでは、直感的に何かを思い浮かんだり、感じたり、それをビジネスモデルに落とし込んだりするようなプロセスは、通常はレーニングされません。しかし、この授業では、ビジネスケースを読んでイメージを抽出したり、小説からビジネスへの示唆とその具体例を抽出したり、教授がいきなり30分近く黙ってしまったり、と様々な演出で、Artistic skillを身につけるようにデザインされています。ちょっと自己啓発っぽいテーマでもありますが、そのロジックも含めて深堀ができるため、非常に面白いです。例えば、Story Tellingの回では、レーガン元大統領やビジネスリーダーなどのスピーチを見ながら、如何にScienceとPersonal Storyが組み合わせられ、それがどのように聴衆に訴求され、信頼や支持の獲得につながっていくのか、ということを学びました。ストーリーやプレゼンスキルの重要性は認識していても、ここまでじっくりと観察する機会はなかったため、自分がストーリーを語る上での新しい視点を得られました。

勿論、ここでディスカッションされる内容には答えはないですし、また10週間で身に着付けられるほど単純なものではありません。しかし、授業が終わった後も、何ともいえない余韻が残ります。整理しきれずにストレスを感じることもしばしばですが、クラスメートとディスカッションしたり、一人で考えたり、授業中のディスカッションを思い出したりする内に、自分なりの答えが浮かんだりする瞬間は、やはりこの授業を取ってよかったと思います。また、毎週一冊のペースで本がアサインされ、non-nativeにはキツイですが、課題本やケースのセレクションも絶妙で、この機会にしっかりと読むことができて良かったです。

2年前にLEADに参加した時は、初めての海外大学院生活に戸惑うことが多かったですが、Business Policyでは、日本人として、クラスに貢献できることも少なくなく、2年間の成長を感じられるという意味でも受講して良かったです。

先日の授業、パネルディスカッションにて

2年生のTIです。
かなり遅ればせながらですが、あけましておめでとうございます。
おとといシカゴはこの冬一番の大雪となりました。といっても去年と比較してもかなりMildなので、このまま沈静化してくれることを願う今日この頃です。今回は先日2人の人物の話を聞いた際にふと思ったことをご紹介したいと思います。
一人はCNA(大手保険会社)の元Chairman & CEOであり、上場企業5社、未上場企業16社もの社外取締役をこなすSuper business personながら、Chicago BoothでCorporate Governanceの教授である、Dennis H. Chookaszian。
http://www.chicagobooth.edu/faculty/bio.aspx?person_id=12824670208

もう一人は世界銀行第現総裁のRobert Bruce Zoellick(パネルセッションでChicago Boothに来ていた)。
http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Zoellick

こういうすばらしい人物の話を身近に聞ける機会があるのは、MBAの素晴らしいところだなと恐らく誰もが思うところではないでしょうか。

Dennis H. Chookaszian

Chookaszian(未だにちゃんと発音できない)は「ビジネスで本当に成功したいなら、Work life balanceなんて寝言言ってちゃいけない。私が知ってる限り、成功した人間はかならず必死に働いている。私は人より賢いとは思わないが、誰よりも努力し、仕事をした自信がある。だからこそ今の私の成功がある。自分の生き方だし、ビジネス上の成功を目指すことが良い悪いといっている訳では決してないが。」と。

Robert Bruce Zoellick

ゼーニックはいろいろなトピックに触れた中でのそのコメントの一部だが、「世銀という巨大な組織の中でリーダーシップを発揮するには、どういうトレンド、Consequencesがあるか予想した上で、自分が何を成し遂げたいか、目標は何なのか常に意識し、Actionを取る事、そしてそれを部下にもPushし続けることが大事。民間企業以上に色々なStakeholderの複雑なInterest、Conflictを抱える世銀だとそれを見失いがちになる」、「何か悪いニュースを上司に報告するときは、完璧な形でなくても良いから『こういう形で対応できるのではと考えます』というSuggested solutionと共に報告すべし。驚くほどこれが出来ていない人間が多い」と。(世界情勢的なトピックにも触れたのだけど、僕的にあまり面白く無かったので割愛)

2人が言っている事は、至極”当然のこと”。すごい人物だし、面白いことを聞けだろうと期待して行ったので正直拍子抜けした部分もありました。Chookaszianが言うようにそりゃ努力なくして成功はあり得ないし、Zoellickが言うように関係者の利害を然るべく勘案し、自分の目標に向けアクションすること、何か悪いことが起きれば、上司に頼らず自分なりの対応方法を考えた方がいいことは誰にでも分かるシンプルなこと。

だけど、上記の例に限らず至極当然のことを継続するのは難しいことであり、それが出来たからこそ、この2人のように成功することが出来るのであろうな、と話を聞き終えた時にふと思いました。そして、少しでも成長すべく「これやったほうがいいよな」と思う事はサボらず地道にやっていこうと考えました。
こういう刺激を継続的に受けることは人生においてすごく大切だと思いますし、MBA留学、そしてできれば同じChicago Boothでより多くの皆さんと同様の経験をShareできれば嬉しいです。