といっても、ファイナンスの授業の話や、シュウカツについてではありません。MBA生活資金の調達方法についてまとめてみたいと思います。
①そもそも2年間で一体いくらかかるのか?
Chicago BoothのWeb(http://www.chicagobooth.edu/fulltime/admissions/costs.aspx)によると、基本的な学費や保険、生活費だけで年間8万ドル(!)近くかかります。学費の高さは言うまでもなく、という感じですが学費に加え、以下のコストも重くのしかかってきます。
– 住居費:これは場所によりますが、Chicago Boothの場合、7割以上の学生がシカゴのど真ん中(東京でいうと港区的なイメージ?)に住んでいます。ダウンタウンに住んだ場合は、学校の記載している目安(年間13,500ドル)より少し高くなるイメージです。但し、シカゴは、NYCやBoston、そして東京!よりは物価が安いので、立地や広さを考えると、納得感のある出費ではあります(飽くまで主観です)。
– 食費:これも凄く高い。家で料理ができればいいのですが、実際に学校が始まってみると、就職活動や勉強で多忙を極めるため、外食ということが少なくありません。加えて、パーティーや友人との会食などもやたらと多いので、結構な出費を覚悟しておいた方が良いでしょう。
– 旅費:これも、相当な金額になります。標準的には、夏・春・冬休みに加えThanksgiving、中間テスト後などに旅行に行くケースが多いです。また、Finance TrekやConsulting Trekなど、就職活動を目的としたトレックも多いです。私自身、入学して半年も経っていませんが、小旅行も含めるとすでに数え切れないくらいの旅行に既に参加しており、結構な出費になっています。(それほど旅行が好きでない私ですら、こんな感じです。)
– 学校関連:意外と見落としがちですが、Valuation Seminar($100-300), Case Prep Seminar($50-), 学生クラブ加入費($50/YR- $200)、カンファレンス(PEカンファレンス)など、学費以外の学費(?)も結構な出費です。ただ、クオリティーも高いので、個人的には満足しています。
– その他:家族がいる場合、自動車を購入する場合、など、これ以外にも出費はかなり多いです。また、電話購入など細かな出費も結構かさみます。
場所にもよるとは思いますが、私の場合は結局、東京で働いていた時と同じか、または、それ以上の(!)生活費をつかっている気がします。。。
②どうファイナンスするのか?+Why Chicago Booth?
– 社費派遣
近年減少気味だというものの、日本人のMBA受験生でマジョリティーを占めるのが、社費派遣制度を活用した留学だと思います。ただし、コンサルティング会社を除いて、社費派遣制度は日本以外では、あまり多くありません。学校によっては、社費派遣が日本人学生の大半をしめる学校もありますが、Chicago Boothの場合は、選別において社費・私費の区別はあまり関係がない気がします。(あくまで私見です。)
– 預金、エンジェル!
人によっては、多額の預金やエンジェル(親・親族からの借り入れ)により、お金に困らない人もいます(羨ましい)。受験費用や渡航費用で思っていた以上にお金が飛んでいくので、受験まで時間があるならコツコツとお金をためておくことをお勧めします。
– ローン
さらに細かく分けると、日本での借り入れ、アメリカでの借り入れ、の2パターンがあります。
日本で借り入れを行う場合は、学資ローンのような教育目的のローン、銀行や消費者金融などの一般目的のローン、など様々ですが、比較的低金利で借りられ、しかも為替リスクを伴わないので(円借り入れ、卒業後の円収入、円返済)、与信を担保できるなら有効な方法かもしれません。
米国で借り入れを行う場合は、要注意です。特に金融危機以降は、担保や(米国人の)保証人がいない場合は、非常にローンが借りにくくなってます。学校のローン制度を組むのが一般的ですが、「上限が低すぎる」「日本人は対象外」「金利が高い」など、実は学校によって条件が大きく異なってくるので要注意です。実際、筆者が合格した別のMBAは、日本人はローンの対象外になっていましたし、他の学校の友人から「2年間で4万ドルしか借りれない(学費分も足りない)」という話を聞いたことがあります。また利息については、一般的に日本よりもかなり高いので注意です(日本の消費者金融の方が低い気もします)。
この点、Chicago Boothは、非常に優れたローン制度を有しています。年によって変動はあるものの、2年間の学費・生活費をほぼ満たすぐらいの金額を、無担保・保証人なしで借りることができます。これは、トップビジネススクールの中でも上位に位置するレベルの卒業後平均収入と、金融機関とのネットワーキングの賜物だと聞いたことがありますが、ここまで私費学生にコミットしている学校は少ないと思います。
ただ、あまりにもローン制度が優れているため、自分が私費学生ということを忘れて、旅行に、小物に、生活費にお金をバンバン使ってしまう学生が多いような気もしていて、「卒業後にお金返さないといけないから、なるべく収入の高い会社にいこう」というインセンティブにつながっている気もします。
– 奨学金
フルブライト、ロータリーなどの奨学金が有名ですが、私費学生には是非とも考えてもらいたい方法です。奨学金の詳細については、各Websiteを確認してもらいたいのですが、奨学制度を活用することによって、普通のB-school lifeではできない経験ができる(かもしれません)。
勿論財団ごとに目的は異なりますが、奨学制度の目的は、大きくまとめると、「資金援助を通じて国際感覚のあるリーダーを育成したい」ということにあります。例えば、フルブライトの場合は、学術・政治・ビジネスなどにおいて日米の架け橋となるリーダーを育成することを目的としていますし、ロータリーの場合は、派遣先・派遣元の文化や歴史を理解した真の国際人を育成することが目的です。そのため、どちらにおいても、留学中、アメリカで活躍する様々なバックグラウンドの方々との交流や、各種イベント、奨学生の交流の機会が多くあります。こうした機会を通じて、アメリカの文化や歴史、人々をじっくりと観察し自己成長を促すことは勿論のこと、日本のそれをアメリカの人々に伝えることも重要な役割です。
どこに住むかで、こうした条件が変わることはないのですが、奨学制度を活用する上でもシカゴに住むことのメリットを感じています。まず、文化を学ぶ場としてはシカゴはすばらしいです。アメリカ3大都市の中でも、NYCが国際都市、LAが移民の多い都市であるのに対し、シカゴは典型的なアメリカらしい都市といえると思います。歴史があり、文化があり、人々がシカゴ市民であることに誇りをもっている、という点では、日本の大阪に近いかもしれません(両方とも商品市場が発達した都市でもありますし)。ロータリーも、シカゴが発祥の地であり、本部もシカゴにあります。文化においては、シカゴ交響楽団、シカゴ美術館、建築、など素晴らしいリソースがつまっています。アメリカという国を理解するには、まさにうってつけの都市だといえると思います。
また、アメリカを代表する大都市であるため、他国からの奨学生が多く集まっています。シカゴ市内で研修や交流会が開かれることが多いですが、シカゴに住んでいれば気軽に参加することができ、お勧めです。ビジネススクールでは、端的にいうと「で、いくら儲かるの?」的な価値観に染まりがちですが(あくまで端的に言うと、です)、同じ奨学生である様々な国籍の、様々なバックグラウンドの友人と出会うことで、価値観をバランスすることもできます。特にシカゴ大学は、フルブライト奨学生を世界で最も受け入れている学校のひとつであり、シカゴを代表する経済学者、ミルトン=フリードマンもフルブライトスカラーです。
以上、ダラダラと書きましたが、何が言いたいかというと、多くの受験生は気づいていないですが、学校選びにおいてファイナンス環境は超重要、ということです。そして、その点においてChicago Boothが優れた学校であることを強調しておきたいと思います。私自身、受験する時は殆ど考慮していませんでしたが、これから受験という方は、各校の状況をじっくり調べることをお勧めします。
1年生KSでした。