閾値で考えるMBAのキャリア(寄稿)

今回は、シカゴ大経済学部博士課程の方に寄稿頂きました。Boothが数理マーケティングにおいて極めて強くStanfordと双璧をなす存在になっているという点は注目です。

Y.Uさん、お忙しいところ執筆頂きありがとうございました。

 

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こんにちは、経済学部の博士課程に在籍しておりますY.Uと申します。この度、門外漢である私がMBAのブログで記事を書くことになりました。私がMBA志望の方に提供できる有用な情報はなんだろうとだいぶ頭を悩ませたのですが、「閾値で考えるMBAのキャリア」というお題でお届けしようと思います。

まず、私がキャリアを考えるうえで大変に影響を受けた言葉を紹介しましょう。シカゴ大学には「ヤバい経済学」で知られるスティーブン・レビットという名物教授がいるのですが、彼の第1回目の授業での衝撃的な発言です。「大学院における君らの過ごし方っていうのは大体4つある:

  1. トップスクール就職を狙ってチョーがんばる
  2. そこそこがんばって上位層を狙う
  3. 博士号を最短期間で取得することにフォーカスする
  4. ダラダラとモラトリアムを楽しむ

3と4は、アリな選択肢だ。でも2は最悪だ。なぜかって?ここで博士号さえ取れればまあ民間企業には雇ってもらえるさ。でもそこからもう少しがんばって、中堅大学で教授になっても効用のレベルとしてはあまり変わらないよ。学界ではトップにならなきゃあんまりエキサイティングじゃないからね。つまり、ちょっとだけがんばるくらいならダラける方がマシだ。」これはエコノミストを目指す学生に向けた言葉ですが、MBAを目指すビジネスパーソンにも示唆的なのではないでしょうか。入学前に激務を経験され、少々休暇の意味も込めて留学される方も見受けられます。しかし中途半端になるよりは「ネイティブばりの英語力を身につけてアメリカで就職するくらいがんばるか、暖かい場所でマリンスポーツとパーティーを楽しむか」という極端な二択にしぼる考え方が合理的な場合もありそうです。

さて、もし徹底的にがんばってアメリカでの就職を目指すことに決めたのであれば、Boothはなかなか良い選択肢であるように思われます。その最大の理由はランキングが高いことです。ランキングが高いゆえにシグナルが強く、コネがアメリカのプロフェッショナルファームのすみずみにまで行き渡っているため、下位のビジネススクールよりもアメリカにおける就職活動を(特に金融機関などで)楽なものにしてくれるはずです。ちなみにアメリカの労働市場においてコネがどれほど重要なものなのかは、リンク先の記事が参考になると思います。(http://qz.com/299923/why-job-referrals-matter/

また、日本人がアメリカ企業に就職する場合、期待されるのは(日系企業との取引を除けば)数理的なスキルです。この特定のスキルをBooth以上に深く学ぶことのできるビジネススクールは極めて少ないと言えるでしょう。たとえば、Boothがファイナンスや会計学に強いのはよく知られていることですが、実は数理マーケティングも極めて強いのです。現在のマーケティング学界で大きな位置を占め、電子商取引の発展とともに注目が集まるこの分野では、スタンフォードとシカゴが双璧をなすと言われています。これは他校のマーケティング学科の教授にも確認したので間違いのないことです。

以上長くなりましたが、学校選びに少しでも有用な情報となれば幸いです。