2019 Autumn Quarter 授業の履修状況

皆さん、こんにちは!Class of 2021のT.Kです。

Chicago Booth の特徴として「Flexibility」という言葉をお聞きになることも多いかと思います。今回は、BoothのFlexibilityが、どの程度各自の授業履修に反映されているかを、実際の授業履修の状況とともにご紹介できればと思います。

まず、前提として、Boothのカリキュラムの構成をご紹介いたします。

・必修授業として指定されているのは、LEADというリーダーシップの授業のみで、それ以外の授業は自分の好きなレベルのものを、好きなタイミングで履修できます。1年目はCore授業、2年目はElective授業といった縛りはありません。

・LEAD以外に、授業は大きく①Foundations、②Functions, Management, and the Business Environment (以下FMBE)、③Electivesという3カテゴリーに分かれています。

・①Foundationsは、Financial Accounting・Microeconomics・Statisticsの3分野それぞれからレベルは問わず1科目を履修することになっています。

・②FMBEは、Finance・Marketing・Operations・Decisions・People・Strategy・Business Environmentの7分野のうち6分野以上からレベルは問わず1科目を履修することになっています。

・③Electiveは完全に自由に履修を進めることができます。他学部の授業もElectiveにカウントされます。

・修了要件は2年間で20科目=単位2,000Unitです。

下記、Class of 2021の日本人が、実際にBoothの最初の学期(2019 Fall Quarter)に履修している科目の一覧です(LEADを除く)。尚、FMBEの科目にはElectiveにも重複してカウントされるものがありますが、その場合はFMBEとして色づけています。またMBA/MPCSのJoint Degreeが対象のコンピューターサイエンスの授業は別の凡例を付けています(ただし、今学期は履修者なし)。

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少し補足をさせて頂きますと、

・どの学期で何コマ取るかも自由(まさに「Flexibility」その①)です。例えば、就職活動が忙しいので今学期は3コマ履修、来学期から本格的にクラブ活動に参画していきたいので今のうちに4コマ履修、など、各自の希望、スケジュールに応じてカリキュラムを組み立てている感覚があります。

・同じ授業(例えば、「Financial Accounting」)であっても、どの時間のどの教授の授業を履修するかは各自の自由(まさに「Flexibility」その②)です。上記で同じ授業となっているものも、別の時間帯、別の教授の場合が多く、また、教授それぞれの授業スタイルも異なるため、各自の理想に沿って履修を設計しています。

・1年生の1学期目から3名がアントレプレナーシップの授業を履修しています(まさに「Flexibility」その③)。

・上記は全て1コマ=1週3時間×11週=単位100Unitの授業になります。今学期履修している人はいませんが、5週間で単位50Unitの授業もあります。

・最初の学期は多くの人がFoundationsを履修する傾向にあります。これは、他の授業の多くにFoundationsがPrerequisiteとして指定されているためです(職務経歴等によりWaiveも可能)。

・同じFoundationの中でも学部時代に既に履修していたり、職務の中で経験している場合は、以下のような中上級クラスを履修することも可能です。

■Financial Accountingの上級クラス(Accounting and Financial Analysis I)

税金、外貨換算、連結、退職給付、リースといった、いわゆる上級論点について学んでいくコースです。授業の中で実際の財務諸表を用いた実例、双方向のディスカッションが多く取り入れられいるのが特徴です。また学期中4回アサインされるケースでは、グループワークと授業中のケースディスカッションにより、各論点を実例を通じてより深く理解することができます。教授(Hans B. Christensen教授)はPwCで会計士として働いていた経験もあり、学術、実務双方からバランスの良い知見が得られます。私は日本の公認会計士バックグラウンドなのですが、アメリカの会計基準について理解を深めることができ、非常に有益でした。(Class of 2021 T.K)

■Business Statisticsの上級クラス(Applied Regression Analysis)

回帰分析(主に線形回帰、ロジスティック回帰)の手法を学ぶ統計学の上級コースです。各講義で分析手法を学んだ上で、R言語を用いて様々な課題を実際に解いていくことで、実用的な分析スキルを身に付けます。また、学期後半の約5週間では、授業・課題と並行して、グループ毎に自由なテーマでリサーチプロジェクトに取り組みます。私のグループではNBAの選手データを用いてチームの勝率や各選手の契約金の水準等に関して分析を行いました。

Boothにはデータ分析関連の魅力的な授業が数多くあります。そうした授業を今後履修していくにあたり、最初の学期に統計の理論のみならず実践的な分析手法(時系列解析、LASSO回帰、リッジ回帰、情報量規準によるモデル選択、といった分野までカバー)を学ぶことができ、非常に有意義でした。(Class of 2021 Y.O)

また、アントレプレナーシップの授業については、受験者、同級生含め非常に関心の高いところです。そこで、実際の履修者に体験談をシェアしてもらいました。

■New Venture Strategy

スタートアップ企業を評価するためのフレームワークを習得する授業です。

企業戦略を8タイプに分類し、各タイプ毎に成功するうえで要となるポイントを学びます。授業は1~7週がケース、8、9週が自分達の起業アイデアを投資家を前にピッチします。

教授自身がよく言っていますが、シード期などアーリーステージのスタートアップを対象とした授業であり、フレームワーク自体が定性的であるため、好みは分かれそうです。自分としては、不確定要素の大きいアーリーステージにおいては有効なフレームワークだと感じましたし、教授がエンターテイニングでちょっとした小話が含蓄に富んでいて学びが多かったので、大のお気に入りでした。

ケースは、MBA生が失敗する話が多く、起業を考えている人には特におすすめです。また、チームを組んで投資家に対してピッチするのもいい経験となりました。投資家や同級生からフィードバックをもらい、プラン自体の是非と自身がピッチする際の見え方などを知ることができ、勉強になりました。(Class of 2021 S.A)

■Building the New Venture

Boothの数あるアントレ系の授業の中でも、BNVはスタートアップのアイデアが既にある中で、具体的にそれをビジネスとしてどう発展させていくかを学ぶ授業です。

内容としては、スタートアップにおけるFinance(ファンドレイズに加えエクイティの配分など)から、Marketing、Operating、更には、Human Resourceの手法について一通り学んでいきます。また、授業の進行に連動する形で、4~5人で組んだチームで仮想のスタートアップ(YourCo)を立ち上げ、毎回の授業の題目に沿った課題についてレポーティングを行うため、密なグループワークが求められる授業です(先生からのフィードバックもかなり丁寧でgood)。また、毎回のケース(多くがBoothオリジナル!)に合わせて、そのケースの主人公たるゲストスピーカーが来ることもあるので、実務的な話も聞けて純粋に面白かったです。

年度後半におけるNVC(New Venture Challenge)へ参加する人間(特に1年生)にとっては秋学期中にアイデアを練る格好の機会ですし、自分のようにベンチャーバックグラウンドの無い人間でもあくまでスタートアップの事業面をゼロから学んでいく趣旨の授業なので十分にキャッチアップできます。なお教授曰く、この発想はスタートアップに限らず、スモールビジネスにも応用できるとのことなので、ETA(サーチファンド)やファミリービジネスに興味のある人にもお薦めです 。(Class of 2021 Y.T)

いかがでしたでしょうか。BoothのFlexibility、自由度の高さを少しでも感じて頂ければ幸いです。

学期が進むについて自由度は増していきますので、引き続きレポートいたします!