Chicago Booth Japan Club - シカゴブース 日本クラブ

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2019 Autumn Quarter 授業の履修状況 (Class of 2020)

皆さん、こんにちは。Class of 2020のH.Mです。

先日の記事に引き続き、Class of 2020(2年生)の秋学期の授業の履修状況についてお伝えします。授業の分類等は全て同様になります。

Boothのカリキュラムでは1年生から様々な授業を選択できますが、2年生になると履修科目はElective、もしくはFoundation, Functionの上級レベルのクラスが中心となっていることが見て取れるかと思います。

このうち、いくつか特徴ある授業について詳細を各履修者に記載してもらいました。

Entrepreneurial Finance and Private Equity

ベンチャーキャピタル・プライベートエクイティー(バイアウト)に関する授業で、Entrepreneurship及びFinaceの発展科目に位置づけられています。授業内容はケースによるディスカッションを中心としながらも、アカデミックな論点(バリュエーション手法の実務と学問の乖離、VC投資におけるオプションバリュー等)もふんだんに盛り込まれており、実務と学問の橋渡しとなるような内容です。

担当のSteven Kaplan教授は、1980年代から同領域の研究を続けるトップ研究者かつ、シカゴ大学のアントレプレナーシップ教育を統括するPolsky Centerの創設者でもあり、学内でも非常に有名な教授の一人です。彼の豊富なネットワークから、ゲストスピーカーもたくさん授業に訪れます。(Class of 2020 H.M)

International Financial Policy

授業の前半では、UIP、CIPなど為替市場において二国間為替レートがどのように決定されるかについてその背景にある理論を学び、後半では、前半で学んだ為替理論をベースに、各国の為替制度と、財政政策、中央銀行による金融政策の効果を様々な実例を用いて分析するといった内容です。

ユーロ危機やアジア通貨危機、アメリカの貿易赤字問題、日本のLiquidity Trapなど、国際マクロ経済の主要なトピックが取り上げられ、これらを理論的に分析するフレームワークを身につけられたので、非常に実用的な授業でした。教授はとても熱心で、複雑なモデルを丁寧にわかりやすく解説し、実際のFXトレーディングプラットフォームを使ったデモアカウントによる架空FX取引の分析という宿題や、毎週のクイズ、興味深い参考資料と、総じてみて充実した授業内容だったと思います。(Class of 2020 S.W)

Choice Architecture in Practice

Behavioral Scienceのコンセプトを活用したコンサルティングを行う一年間のラボ授業です。BehavioralSightというブティックのコンサルティング会社の代表の教授のネットワークで、大企業・ベンチャー企業・Non profitから6社のクライアントが集められ、そこから自身の希望ベースでクライアント及びチーム(4人/チーム)が決まります。秋学期に課題整理・初期的調査・Behavioral Scienceに基づいた仮説構築と打ち手の立案をクライアントと週1でコンタクトしながら進め、冬学期に実際に打ち手を実行しデータ収集し、春学期にデータ分析に基づいた打ち手の効果検証と最終提案を行う、というステップで進みます。

通常のコンサルティングとの違いは、人の行動に着目する点だと思います。例えばStatus quo bias(皆がやっているから自分もやらないといけないと思うようになること)などのコンセプトを意識しながら、改善したいと考えているターゲットの行動理由を分析し、どのようなバイアスをかけて改善するか、というアプローチを取ります。ある程度ワークロードはありますが、今後のキャリアにおいて、組織運営など様々な場面で使える経験が出来ているという印象です。(Class of 2020 R.K)

Technology Strategy

一言で表すのであれば「技術革新に伴う業界構造の変化を前提とした企業戦略」の授業です。アントレ系の授業と間違われやすいですが、アントレ要素は薄く、既存の大企業と新規参入企業のそれぞれの戦略を読み解く授業です。ケースを中心としたStrategyの授業ですが、一般化されたコンセプトを伝えることを教授は意識しており、学びは大きいです。

テーマとしては、前半はハードウェア(CPU、TV、PC等)の話から始まり、例えばPC業界において、IBMは垂直統合モデルで業界を立ち上げ、モジュール化に伴いローエンドの新規参入が進み、最終的にIntelのチップとMicrosoftのOSに価値が集約されていく背景を、キーとなる業界構造の変化を押えつつ説明していきました。後半は今まさに起こっているソフトウェア(AR/MR、IIoT、Cloud等)よりの話に移り、例えば産業向けのIoTサービスにおいて、コアクラウドのプレイヤー(AzureやAWS等)、IoTプラットフォーマー(C3やPTC等)、産業プレイヤー(SiemensやGE等)、其々の異なるレイヤーでの取る戦略の違いを扱います。記事を書いている2年目秋の時点でベストに近いいい授業でオススメです。(Class of 2020 R.I)