MBAとComputer ScienceのJoint Degree Program について
シカゴ大学には、MBAとMS in Computer Scienceの2つの修士号を取得できる「Joint MBA/MPCS program」があります。今回は、このプログラムについて紹介します。
(以前の紹介記事もあわせてお読みください。)
1.プログラムの概要
Joint MBA/MPCS programに参加するBooth学生は、MBAの授業に加えて、Computer Science(以下、CS)分野の授業をMPCS(Masters Program in CS)の学生に混じって履修します。
選考はMBAとMPCSとで別々に行われますが、MPCSには年2回、春と秋に出願できるため、Booth MBAに合格後または入学後に出願することも可能です。Boothに入学後(1年目の秋)に出願した場合は、2学期目のWinter QuarterからMPCSの授業が開始となりますが、卒業のタイミングは変わりません。
CSプログラムとしては珍しく理系バックグラウンドの有無は不問で、数学とプログラミングに関してはそれぞれimmersionクラスが用意されています。なお、これらの科目はplacement examに合格すれば履修が免除されます。
2.カリキュラム
卒業要件は、MBA14単位+ MPCS7単位(+上述のimmersionクラス2単位)=計21or23単位です。Booth MBAの卒業要件は20単位なので、卒業時に修士号を2つ取得できるにも関わらず必要単位数は然程変わらない点で、なかなか「おいしい」設計といえます。
ただし、CSの勉強に要する時間はMBAと比較して総じて長いため、実際の負担は相応に増加します。また、MBAの14単位のうち、9単位は必修(Core)と準必修(Function)科目に当てられるため、MBAで受講できる選択科目は5単位のみに限定される点には注意が必要です。(反面、biddingポイントには余裕が出る設計なので、MBAでは人気授業ばかり履修するといったことも可能です。)
MPCSのカリキュラムは、コアクラスと選択科目に分かれています。コアクラスは、プログラミング、アルゴリズム、コンピュータシステム・ネットワーク・アーキテクチャの各分野から4科目を履修します。選択科目には、ビッグデータ、データ分析、機械学習、ハイパフォーマンスコンピューティング、ソフトウェアエンジニアリング、モバイルアプリケーション開発、Web開発、クラウドコンピューティング、情報セキュリティ等のコースが含まれます。
各授業を履修するにあたっての制限は特段なく、MBA、MPCSのどの科目でも履修できますが、prerequisiteの要件が厳しい選択科目を履修したい場合等には、入学当初からの計画的なコースプランニングが求められます。
3.プログラムの魅力
CSバックグラウンドによる差別化
様々な業界において、企業経営とテクノロジーが密接不可分となる中、CS分野の理論と実践的なスキルは、他のMBA学生との差別化要因となり得ます。
卒業後にテック業界で働く場合は言うに及ばす、それ以外の業界でも、データ、デジタル、イノベーションに関わる部署で働く場合等には特に、CSバックグラウンドをレバレッジできると思います。
MBAとCSの相乗効果
CSは、MBAのホットトピックであるdata analyticsやentrepreneurshipとの親和性も高く、Boothの柔軟なカリキュラムとMPCSの授業を組合わせることで、「ビジネス+テクノロジー」のシナジーを最大化させるコースプランニングが可能になります。
例えば筆者の場合、先学期は「テック+アントレ」というテーマで、MBAでベンチャーファイナンスとマーケティングの授業を履修し、CSでアプリケーション開発とデータ関連の授業を履修しました。
面白い!
筆者は元々、テクノロジー(特にdata、AI分野)に関して、一般的な知識はあっても深いところでの理解ができていないという感覚があり、「このモヤモヤをMBAのついでに解消できれば」くらいの軽い気持ちでJoint degree programに応募しました。しかし、いざCSの勉強を始めてみると予想以上に面白く、最近では起業に向けてアプリ開発を行う等、とても「ついで」とは言い難い程にCSの世界にどっぷりつかっています。
また、MBAとCSの両方の組織に所属することで、シカゴ大学の幅広いリソースへのアクセスが可能となったことや、より幅広いバックグラウンドの人々との交流機会が増えたことも、留学中の楽しみの幅を大きく広げてくれているように思います。
4.まとめ
色々と書きましたが、個人的には、Joint MBA/MPCS programは「大変だけど面白い」の一言に尽きます。テクノロジーに興味があり新しいことに挑戦してみたい受験生の方は、ぜひ出願を検討してみていただければと思います。