2年間を振り返って〜Boothの良さ
2年生のAです。時の流れは早いもので、もう卒業の季節になってしまいました。ビザと米国滞在書類を手に、はじめてシカゴの空港に降り立ったのがつい昨日のことのようです。今では、シカゴのダウンタウン、学校のあるハイドパーク、空の玄関オヘア空港、いずれも家のように馴染んでいます。
MBAでの私個人としての学びについては、私のブログのこちらの記事とこちらの記事に書いたので、関心のある方はご覧になって下さい。
この投稿では、先日の投稿でも触れたシカゴMBAの特徴について、最後にまとめてみたいと思います。
2年間を経て、シカゴの特徴をできるだけ簡潔に表現しようとすると、次のようになるのかなと思うようになりました。
カルチャー:Flexibility × Collaboration × Contribution
学びのスタイル:Discipline-based Approach to Business Education × Rigorous Quantitative Culture
まず、カルチャーですが、シカゴは自由な学校なので(詳細はこれまでの多くの先人の投稿をご覧下さい)、何か目標を掲げて主体性を持って自律的に取り組む人に向いた学校です。目標は、キャリアゴールでも、アカデミックなものでも、ネットワークを広げたいでも何でも良いのですが、とにかく目標が必要です。逆に言うと、何となくMBAに来て、まずは学校が用意してくれたプログラムの流れに身を委ねて、という人には向きません。それに加えて、「オレがオレが」ではなく、協調的に学校というコミュニティに貢献することが求められます。貢献もこれまた何でもよく、キャリアクラブのリーダーでも、パーティの企画でも、グループワークでの存在感でも何でもいいのですが、とにかく「私は私は」はダメ。まわりをみわたしても不親切な人というのを私は知らず、また私もまわりに困っている人がいれば出来るだけ協力するようにしてきました。
シカゴの学びのスタイルも特徴が明確で、シカゴは研究と理論の重要性を重んじ、それらをいかにプラクティカルな実務に役立つように応用できるかを考えて授業を練り上げている学校です。また、データを与えられて地味な分析とレポート作成を求められることもよくあります。ある友人が冗談で「この学校は、『どう議論するか』ではなく『どう分析するか』を学ぶ学校だから、仕事の世界でこれがどう働くか見てみよう」と言っていましたが(笑)、的を得た冗談だと思います。もちろん、Collaborationに重きをおくシカゴはリーダーシップやコミュニケーションの教育にも力を入れており、例えば私が最終学期に履修しているData Miningという統計の授業では、大量のデータを統計ソフトでプログラムを書いて分析するという渋い内容にも関わらず、週に平均して4時間はグループのメンバーとレポートを書くために打ち合わせをし、その後もメール交換をしてレポートを仕上げています(ソフトスキルを鍛えることに特化したカリキュラムや課外活動ももちろん多くあるので、それらについてはこれまでの投稿をご覧下さい)。シカゴはリーダーシップやコミュニケーションスキルを鍛える機会も豊富に提供してくれますが、とはいえ授業にアカデミックな雰囲気と計量重視の雰囲気もあり、これらが全くピンと来ないとちょっとツラいですよ、という話です。
Flexibility、Collaboration、Contribution、Discipline-based approach、Rigorous Quantitative Cultureと5つ特徴をあげましたが、これらすべてについて100%フィットしている必要はないと思います。ただ、これらのどれにもひっかからないとシカゴは合わないと思いますし、フィットすればするほどシカゴを満喫できることも確かです。私の場合、受験時にはFlexibilityの重要性には実はそれほど気づいていなかったのですが、入学後にはその意味がよくわかり、また自分には合っていると感じました。はっきりとは示しませんでしたが、入学時の審査でもFlexibilityを使いこなせそうかは見られていたのだと思います。
最後に、シカゴに対してはそのFlexibilityから「個人主義的で冷たい学校なのではないか」という誤解がよくあります。私も日本にいた時はそのような偏見を正直なところ持っていたのですが、最近はあるビジターの方に個人主義に関する質問をされるまですっかり忘れていました(笑)。特徴で述べた通り、シカゴはCollaborationとContributionを重視し「オレがオレが」はダメな学校ですので、生徒は親切な人ばかりで、個人主義で冷たいという見方は的外れです。これは、是非学校を訪問し、授業を見学して、感じて下さい。
シカゴはトップ校のひとつですが、学校としては時間をかけてさらなる高みを目指しています。シカゴは、自由な発想で何かを追求したい人のための学校です。シカゴの魅力を理解し、学校の歴史とブランドを作って下さる方が、多く入学してくださることを強く願っています。
2年間、お世話になりました。また、どこかでお会いしましょう。