Chicago Booth Japan Club - シカゴブース 日本クラブ

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2年間を振り返って

2年生のKOです。早いもので長いと思っていたMBA生活も後1ヶ月を切ってしまいました。今回が恐らく個人としては最後の投稿になると思いますので、2年間で印象が強かったイベントをランキング形式で紹介したいと思います。

5位:ランダムウォーク(MBA開始前)
どこのMBAもあると思いますが、MBAの開始前にクラスメート10名程度と1週間程度、旅行をするというイベントです。MBAでは数え切れない程の失敗や挫折体験をしましたが、この旅行はその一発目と言って良いでしょう。そう、英語と米国カルチャーへの理解というワン・ツーパンチです。過去27年間をニッポンで育ってきた私ですが、仕事では英語を使っていましたし、TOEFLとかGMATとか勉強してきた訳で、英語は下手かもしれないけど、使え無い訳は無いのです。少なくとも聞けない訳は無いのです。いや、無かったのです・・・

詳細は大体想像が着くと思いますので割愛しますが、今後2年間頑張ろうという固い意思と若干の開き直りを与えてくれたいい機会でした。また、その後の2年間を過ごす上でこの旅行のメンバーには助けられましたし、友人を作るという意味でも意義深い旅行だったと思います。

4位:米国企業へのコンサルティング経験(1年秋学期)
初学期にBusiness Solution Groupというクラブの活動で行った、米国の大手電気メーカーのコンサルティングプロジェクト(新規事業検討)です。元々、バックグラウンドがコンサルティング業界だったため、プロセス自体は目新しいものでは無かったのですが、組んだメンバーが行動心理学系現役PHDのイスラエル人、社会経験無し米国人、マーケティングバックグラウンド米国人、事業会社での業務管理系の経験のあるブラジル人という国籍、スキルセット共に多様なメンバーでした。

全く興味や関心が違うメンバーとヒエラルキーが無い中での案件でしたので、プロジェクトの進め方や分析の切り口等、咬み合わない事が多く、序盤はかなり疲弊しました。MBA生活の中ではよくある場面なのですが、コンサルティングという自分がイニシアティブを発揮出来る分野で、早い内に経験をしておいて良かったと思います。こういったヒエラルキーの無い中での協働の仕方は、部下をモチベートさせる場合に近く、試行錯誤しながらでも案件を進めていけたのは勉強になりました。結果としても、クラブ内で10数プロジェクトある中で最優秀案件に選ばれ、クライアントも満足して大成功の案件でした。

ただ、最終報告の内容に満足したクライアントが、ディナーと1台数万円するミキサー(自社製品)をメンバー全員にプレゼントすると言っていましたが、それはまだもらってません。いつか請求したいと思います。

3位:イタリアへの交換留学(2年冬学期)
寒いシカゴを脱出するためだけに申し込んだ交換留学です。結局、欧州を歴史的な寒波が襲い、シカゴは歴史的な暖冬だっということで当初の目的は果たせませんでした。ただ、欧州旅行や学校で知り合った人から学ぶ事が多かったように思います。日本で居る時は海外といっても米国人との接点が多かったですし、キャリア観や生活観について欧州的な捉え方をする友人が少なかったため、欧州では新鮮な出会いが沢山ありました。

私が出会った人達が特にそうだったのかもしれませんが、キャリアとプライベート(家族との生活は勿論、自分の趣味等)のトレードオフの考え方や、自分の国の民族・文化に対するプライドの高さなど、彼らの価値観は非常に興味深かったです。

2位:学校での勉強(全般)
MBAの授業に関しては正直あまり期待していなかったのですが、完全に読みが外れました。相当充実していました。
やはり、マーケティングや企業戦略系の授業は過去の業務経験で何となく知っていた事だったので、驚きは無かったのですが、ずっと勉強したかったコーポレートファイナンス系の科目をしっかりと勉強出来た事、過去に全く触れて来なかったマクロ経済学の内容がかなり面白かったです。

特に今とっているKashyap教授のThe Analytics of Financial Crisesという授業は2年間の中でも1位にあげてもいいくらい学びの多い授業になっています。授業内容は、世界大恐慌から始まり、日本のバブル崩壊、米国金融危機、直近の欧州危機まで過去の金融危機の原因や取られた施策について学ぶものなのですが、特に欧州危機についてはリアルタイムで状況が変わっていますので、日々のニュースや政治動向についても注意を払う様になりました。毎回数百ページに及ぶ事もあるリーディングと難解な宿題に半泣きで取り組んでいますが、取って良かったと思っています。

1位:インターン・就職活動
他も学びの多い事ばかりだったのですが、夏休みのインターンや就職活動はMBAならではの素晴らしい経験だったとおもいます。新卒で何も分からず就職をして、その後は何をしたいかというよりも、何が出来るか(マーケットで転職する際に使える・高く売れるスキル)と言うことを中心でキャリアを考える事が多かったのですが、MBAに来て、インターン(投資銀行とコンサルでしました)をしたり、様々な業界の方の話を伺ったり、多くのオプションを前にした時に、自分として何を将来成し遂げたいのか、どの環境が自分にとって一番Comfortableなのか、と言うことを考えるようになりました。

日本の場合は特に、勤務時間が長くなる傾向があるので、キャリア選びは家族との関係(まだ独身ですが)や自分の趣味等、自分の価値観をもう一度見つめ直すいい機会になったと思います。授業内での擬似起業体験なども含め、2年間ずっと考えてきた結果、卒業を前にして自分が進もうとしている方向は完璧に理想に沿うものではないかもしれませんが、少なくとも納得が行く決断が出来たと思っています。

2年間は短くあっという間ですが、人生の中で素晴らしく充実した期間になると思います。授業料や機会費用を考えると、金銭面でのリターンはあまり大きくないかもしれません。また授業で習う事は、MBAに来なくてもインターネットや書籍から学べる事も多いと思います。それでも、もう時計の針を戻してMBAへいくかどうか問われるならば、迷わずMBA進学を選択すると思います。

日本で育ってきて、大学に進学して、会社に入って、転職を考えたりして、過去にも沢山決断をしてきました。ただ、その中でしてきた進路決定は、何か時間的な制約や流れの中で背中を押されながらしてきた様な気がします。このシカゴに来て2年間一度流れをとめて、ゼロから今後の事を決定していくのは、自分が思っていた以上に重たい決断でしたし、それ以上にワクワクできて楽しかったです。それでは、後1ヶ月、シカゴは天気の良い日が続く事を願いながら過ごしたいとおもいます。さようなら。