Chicago Booth Japan Club - シカゴブース 日本クラブ

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Random Walk 2010

一年生のKです。

初めての投稿なので簡単に自己紹介させて頂きますと、大学卒業後、総合商社の金融部門で、トレーディングと商品組成、子会社の経営企画など様々な分野を担当してきました。留学の目的は、これまで様々な分野で仕事をしてきた結果、浅く広いキャリアになってしまったことに危機感があったので、Boothで専門性を深めたいと思ったためです。一流の講師陣に恵まれ、自由に科目を選択できるBoothのスタイルは、自分の目的に非常にあっていると思っています。

学校自体は先週始まったばかりなので、今回は、Booth入学直前(8月下旬)のビッグイベントであるRandom Walkについて、感じたことを書きたいと思います。(旅行先であるコスタリカは、自然に囲まれた(そして突如のスコールを含めて)素敵なところだったのですが、今回はコスタリカ自体の説明は割愛します。)

【Random Walkとは?】
GBC(the Graduate Business Council)というBoothの学生自治会が主催する、新入学生を対象とした1週間程度の旅行です。場所は世界中の約30カ国から自分で選択するようになっており、トリップリーダーも2年生(ボランティア)が務めるなど、学生の自主性を重んじるBoothの特徴がでた企画になっています。一つの旅行先は、大体15名程度のグループになっており、参加自体は、強制ではないものの、全体の約半分の学生が参加します。「仕事を辞めたから旅行したい」「学校が始まる前に友達を作りたい」「この際に普段は行けない所にいってみたい」など参加動機は様々ですが、ブラジルなどナイトライフが充実している国が好まれるように感じました。

私はというと、日本にいると南米に行くことが難しいので、最初はブラジルにしようと思っていましたが、すぐに定員に達してしまったので、Jordan/Israelを選択しました(死海、イスラム、中東に興味があったので)。ところが、旅行の1ヶ月前ほどに「日程に入ってるガザ地区が、ちょっとやばいことになってるけど、それでも参加しますか?まあ、『自己責任』だから良く考えて」というようなメールがトリップリーダーから着た為、急遽、行き先をコスタリカに変更しました。「自己責任」というフレーズが、非常にBoothらしいと思いました。

【メンバーについて】
私のグループは、トリップリーダー2名を含め計16名でしたが、構成はアメリカ人8名(中国系アメリカ人含む)、中国人2名、パキスタン人2名(夫婦)、台湾人1名、スペイン人1名、インド人1名、ということで日本人は私だけでした。

バックグラウンドとしては、商社(私)、PR会社、NPOが各1名づついた他は、経営コンサル・IB・PE・AM(Asset Management)といったプロフェッショナルファーム出身者が多く、卒業後もこうしたプロフェッショナルファームを目指す人が多かったです。

【Globish!】
商社で働いていたため英語環境にはそこそこ慣れ親しんでおり(?)、Boothの比較的高めのTOEFLのバー(ミニマム104点)もあったため、たかをくくっていましたが、実際旅行に出てみると、想像を絶するほど英語がわからなかったです。仕事だと背景知識と序列があるのでスムーズに会話が進むのですが、混沌とした環境でネイティブに囲まれてサバイブするのは並大抵のことではないと感じました。私自身の英語レベルはさておき、私が感じたところだと、英語レベルは出身エリアによって結構違いがあるように思えました。

Globish!

①アメリカ人の英語
同じアパートに住むメンバー4人でタクシーに乗って空港まで行ったのですが、「Lady Gagaがどうたらこうたら」など、アメリカで今ホットなトピックについてスラング交じりで話すので、はっきり言って何を言ってるのか略100%わかりませんでした。このとき、TOEFL英語と、アメリカ人の英語は似て非なるものだと悟りました。特に、文化(音楽など)・政治・宗教に関わる話をスラング混じりで言われると全く分らず、思わず「TOEFLでは、そんな使い方してなかった」と告白したところ、周りに爆笑されてしまいした。

②欧州人の英語
ドイツやフランス人は苦戦している感じですが、概して英語が上手い感じです。特に、文化や人種もアメリカ人によく似ているので、アメリカ人と会話が会うようでした。また、スペイン語やポルトガル語は、南米で抜群の威力を発揮するので、陽気な人柄もあり、現地の人とも結構交流していました。

③インド・パキスタンの英語
英語が公用語ということもあり、英語を使うこと自体には苦労していませんでした(当たり前か)。ただ独特のイントネーションには、本人も自覚があるようで悩んでました。それでも、所謂日本人英語よりは、アメリカ人に聞き取りやすいようで、会話で通じず困っている、ということは殆どありませんでした。

④アジア人の英語
日本人同様、他のアジア人も苦戦しているのだろうと思っていましたが、そんなことは全くなく、リスニング・スピーキングともに非常に上手い印象を受けました。アメリカに住んだことがない中国人もいましたが、かなり流暢に英語を使っていて、中国の教育水準の高さを感じました。ただ、前述のように文化や慣習に対する知識がないため、聞き取れても意味がわからない、という点に苦労していたみたいです。

【日の沈む日本経済と、東洋の神秘としての日本文化】
プリティウーマンやウォール街といった映画で、「Nikkei Heikin」や「Tokyo Market」という言葉が頻出していた80年代・90年代は昔のこととなってしまい、現在では残念ながら、アメリカ人の日本「経済」に対する関心は薄れ行くばかりです。日本企業のプレゼンス低下です。日本にいると、家電などマダマダ日本企業が奮闘している感じですが、ホテルや空港などのディスプレーはLGなどの他のアジア勢にとって替われてますし、ソニーやホンダなどグローバル化の進んだ会社は最早「日本」企業だと思われていないふしがあります。

勿論、日本経済に対する関心が低いのは、日本企業や経済の衰退だけに理由があるわけではありません。なぜならアメリカというのは非常に巨大なDomestic Marketで、その中でビジネスが完結できてしまうため、そもそも海外事情にそこまで関心が高いという訳ではないためです。昔上司が、「国際金融を理解したいのならWSJ(WallStreet Journal)ではなくFT(Financial Times)を読め」と言っていたことを思い出しました。ただ、不動産が弾け、莫大な財政赤字と深刻な雇用問題を抱えるアメリカが、今後パクスアメリカーナをエンジョイできるかどうかは不透明であり、日本のようにガラパゴス化してしまうのか、かつてのイギリスのようにウィンブルドン化するのかは、非常に興味深いところです。

一方で、日本「文化」に対する関心は、結構高かったです。高い教育水準、豊かな風土・文化、洗練された食文化、に対する関心は、リスペクトに近いものを感じました。実際、日本食はコスタリカの奥地にさえ浸透していました。日本は洋の東西が昇華された国であるため、欧米人からみて身近に感じるのかもしれません。また意外なものが日本的だとされているのもびっくりしました。僕は結構食べるほうなので、ランチも2プレート頼んでいたのですが、みんなから「Mr. Kobayashi」だといわれました。ホットドッグチャンピオンのMr. Kobayashiは、日本ではそれほどでもないですが、アメリカでは一番有名な日本人の一人だと言っても過言ではないようです。

またアメリカ人のクラブ好きは凄くて、この旅行中も何度もクラブに行きました。2,3件掛け持ちすることも珍しくなかったのですが、僕もクラブは好きなので楽しかったです。「日本では、昔パラパラというダンスが流行っていた」とミッキーマウスのパラパラを教えてあげたのですが、何故かメチャクチャ受けてしまい、彼らはクラブでもずっとパラパラを踊っていました(曲がレゲエとHip Hopであったのにもかかわらず、、、)。これも、日本文化に対するある種のリスペクトのようなものだと、好意的に解釈してます。

【メンバーにみるBoothのCareer志向】
やはりMBA学生において最大の関心事はCareerについてであり、この旅においても、コスタリカの大自然と、サルの鳴き声、に囲まれ、「I-Bankingがどうだ」「コンサルがどうだ」という話をずっとしている仲間もいました。この旅で彼らのキャリア感を交えて、思った点は以下の点でした。

・ Professional志向が高い
他のビジネススクールも同じかも知れませんが、Boothはキャリアにおけるプロフェッショナル志向が強い気がしました。日本人のポストMBAとしては、それほどポーションを占めていない、HFやアセットマネジメントへのキャリアチェンジも、他の国では結構人気だということもわかりました。既にコンサル、PE、投資銀行などのプロフェッショナルファームで働いてBoothに来た仲間が多いので、商社でGeneral Managerとしてのキャリアパスを歩んできた私にとっては新鮮でした。日本企業でよくあるジョブローテーションや、商社という形態、MBAがプロモーションの条件になっていない日本企業、などは、彼らには理解が難しいらしく、説明するのに大変苦労しました。

・ 隣の芝は青い
一方で、理想のキャリアは何だろう、という疑問も深まったと思います。コンサル出身の友達は投資銀行を、投資銀行出身者はコンサル、という感じで、キャリアチェンジを考えている友達が多かったのですが、話を聞いているうちに「隣の芝が青く見えているのでは?」という感じもしました。MBA学生の人気就職希望先であるPE出身者も3人いたのですが、彼らもPEから他の業界へのキャリアチェンジを考えているらしく、「理想のキャリアとは何か」という疑問が沸々とわいてきました。ただ、The Economistも指摘しているように、Boothのキャリアサービスは大変充実しており、各業界の説明会や、性格診断などの自己分析も見てくれるので2年後には、キャリア感がかなりはっきりしているかもしれません。
Full-Time MBA Ranking 2010

【最後に】
日本にいた時は、大して旅行好きでもなく、1泊でも十分という感じだったので、「8日間も異国の地で、見ず知らずの同級生と過ごすのはどうなんだろうか」と思っていましたが、結果的には凄く楽しくて、充実した日々でした。学校が始まった今でも、グループのメンバーで食事に行くことも多いし、何よりクラスで既に友達がいる、というのは私のようなインターナショナルにとっては心強いです。ROE(Return On English)は、グループメンバー中一番高かったのではないかと思ってます。